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kumokukereさんの秋空に舞うコンフェティの長文感想

ユーザー
kumokukere
ゲーム
秋空に舞うコンフェティ
ブランド
etude
参照数
1378

一言コメント

(GiveUp) シナリオが微妙。シナリオ以外を軽く感想書いてから、シナリオについて長く感想。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

共通~沙夜ルートの途中(1回目H直前まで)までクリアしてギブアップ。
沙夜エンドまでスキップして流し読み。以下の感想は全てその元による。
演出、背景は優れているが、シナリオに問題あり。
(といっても最低基準はクリアしているし、これよりひどい作品はいくらでもある。)

OHP等をちら見したら演劇を主題にしたいわゆる一般的な学園生活ものと思い、興味が沸かなかったが、このサイトでの比較的高評価とOPムービー
(とOP曲)とを見てプレイ。
結果的に(いい意味で)予想に反し伝奇要素がからんだのは良かったのだが、全般的にシナリオの出来があまり良くない。
以下、演出、システム、背景、原画、曲について述べ、最後にシナリオについて順にレビューする。


●演出
非常に良い。
近年、やたらと演出が作り込まれていて目を惹く作品が年に数本でるが、今作もその内の一つ。

・タイトル画面
 ゲームを初めて起動してタイトル画面を見たプレーヤーはきっと心躍るに違いない。

・落ち葉
・雨
・雲
 演出とはいっても所詮は雨、などど思うべきではなく、美しい背景のなか、単に画面中に雨の動きがあるだけで物語世界への没入度は
格段に異なったものになる。
ただし残念なのはメッセージウィンドウを非表示にするとその間落ち葉等がそのまま停止してしまうこと。
(描画はされるが停止された状態になる)

・アイキャッチ
アイキャッチがここまで凝ってるゲームははじめて。素晴らしい。

・立ち絵に関する演出はほとんどなかったように思う。立ち絵の過度の演出は煩わしい気もしなくはないので、これは一概にマイナスではない。


●システム
細かいところまでよく作り込まれている。
何気ないアイコンがアニメーションしたり、セーブ・ロード画面でのルート突入後の表現など(これはびっくりした)。
一つ気になったのは、ゲームエンジンの問題だろうが、フルスクリーン時にマウスを上部に持って行ってもメニューバーが出ないので
ウィンドウに手軽に切り替えられないこと。何か方法があるのかもしれないが気がつかなかった。


●背景
良い。
上述の演出とマッチしている。


●原画
どうやら賛否両論あるみたいだが、私は嫌いではない。
ただ、なんというか頭と顔のバランスが変な気はする。
少しうつむくようにしたところに正面顔を描いた、とでもいうか。
まあ、好みの範囲内。


●曲
OP曲はとても良い。
BGMは、レベルは高いと思うのだが個人的にはあまり耳に残っていない。
ただ日常で使われるBGMの一曲にハミング?というのか声が入ってて個人的には嫌だった。
なんか「てすたー」とか聞こえて気が抜ける。
盛り上がるシーンでもないBGMに声はいらない。


●シナリオ
ギブアップの原因。
まず、今作は単純な学園物ではなく、大まかに言えば演劇を舞台装置にしながら伝奇要素がからんでくる、といった感じ。
よって単純ないちゃらぶ学園物を求める人は合わないと思う。私としては伝奇がからんだほうが好きなので、その意味ではよかった。
部分部分で不平がたくさんあるせいで結局全体的につまらなくなっている。
肝心のシナリオ中核になる終盤を読んでいないのでそこが評価できないが、それ以外がつっこみどころ満載。

・キャラのかけあいがつまらない。生き生きとしてない。

・全体的に言えば前半~中盤まで山場もつまらなく、というか軽すぎて、面白くない。かといって日常描写が魅力的かと言われると……

・序盤の山場?である演劇部存続問題で、主人公が受け身。最後の最後になってやっと行動する。
はっきりいってプレーヤーの爽快感がない。だるいだけ。

・他のレビューでも言われてるが、序盤のヒロイン達の行動が奇人すぎてさすがに違和感がある。
雨の中たたずむ沙夜に話しかけると罪がどうとか言い出す。
雪は噴水につかってセイレーンの気持ちがわからないとか言う(セイレーン自体は演劇に出てくる)。
二人ともこのシーン以外ではそこまで奇人ではなく、はっきりいって読んでて混乱する。整合性がおかしい。

・沙夜ルート。共通中盤でどのヒロインと出かけるのか選ぶ選択があるが、あまりにも不自然。
今までそういう雰囲気がない相手を誘うにのに葛藤とかほとんどなし。

・恋愛描写がてきとー。主人公に惚れる過程の描写が薄い。沙夜はいきなりキスしてくるし。沙夜シナリオで初Hが始まったとき私はギブアップした。
どうみてもまだそんな関係じゃないと思うんだ。もうちょっと惚れるのに説得力あるようにしてほしい。

・雪はリボンの色で性格が変わる。私は雪ルートをやっていないのでわかりませんが、これは謎があるのかな?
とりあえず、共通まででは「演技みたいなもの」で説明終わり。読んでて違和感がある。っていうか寒い。
仮に伝奇的謎があるとしても、表現技法に問題があると思う。
少なくとも共通の間は伝奇ばりばりワールドじゃないので、日常世界でそういう非日常をされるとなんとなく違和感がありつつ読み進めなければいけなくなる。


思うにこの作品、企画の段階ではなかなかに魅力的なものだったんじゃないだろうか。
演劇と伝奇という取り合わせはなかなかだし、神社があって祠があって、丘のある街というのも良い。
雨の夜出会った女の子が落としたノートにある場所に行ってみるというのも。
終盤はやってないのでわからないが、序盤~中盤はやり方次第でずっと良いものになったと思うと残念でならない。

ぼろくそにけなしたが、(少なくとも私がプレイした部分では)最低基準はクリアしてるので、読めないほどひどくはない。
だから他のレビューでシナリオが褒められていることを考えると私にあわなかっただけなのかもしれない。
期待しただけに気になる点が沢山あるだけで。
もしかしたら気が向いたらちゃんと最後までプレイするかもしれない。