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kumokukereさんのHimeのちHoneyの長文感想

ユーザー
kumokukere
ゲーム
HimeのちHoney
ブランド
ASa Project
得点
80
参照数
621

一言コメント

ギャグと楽しい日常を味わえる。よく考えれば粗はあるのに不思議と気にならず心惹かれる作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

お気に入りの作品です。
いわゆる傑作とかではありませんが、この作品の良いところは、独自の雰囲気があるところ。
といっても設定が独特とかそういうのではなく、むしろそれはありきたりなほうです。
しかし、笑えるギャグがあり、キャラ(きよら、恵理栖、理緒)が生き生きと魅力的に描かれています。
個別シナリオのストーリーも一部を除いてありきたりといえばありきたりだし恵理栖のそれなどはあってないようなものですが、
ヒロインとの日常を楽しむ、という面において上手くそれを下支えする形になっているので、気になりません。
というかそもそもストーリーを主目的にしてプレイし始めるゲームではないと思います。
一度クリアしたらセーブしておいた楽しいシーンを何度も楽しむ、といったことがしたくなるゲームです。

プレイ状況はきよらルートと恵理栖ルートをクリア。他はクリアするつもりはありません。
以下、原画、曲、声優、シナリオの順で感想を書きます。


●原画
好みです。一枚絵は出来が正直微妙なものがありますが、きよらと恵理栖の立ち絵は魅力的です。


●曲
・OP曲は明るくて何故か何度も聞きたくなるメロディー。ヴォーカルも良いです。

・BGM
 私はこのASa Projectのゲームは「めいくるっ!」「HimeのちHoney」「あっちむいて恋」と3作プレイましたが、
3作ともBGMはとても優れていると個人的には思います。シナリオにマッチしているのです。
別に特別良い旋律があるとかではないのですが、「BGM」として本来の役割を果たしていてゲームの世界作りに一役買っています。
特に日常シーンやキャラのテーマ曲が良い傾向があります。キャラのテーマ曲は聴けばそのヒロインが浮かんできます。
今作は日常シーンはあまり記憶にないですが、きよらと恵理栖のテーマが私はお気に入り。二曲ともそのヒロインにぴったりです。


●声優
・恵理栖の声が非常に気に入りました。
・個人的にきよらのボイスはオフにしました。


●シナリオ
構成としては序盤は学園に編入し発生するトラブルとその解決、そして中盤は放課後になると、どのヒロインのところへ行くのかという
選択肢が出る、というのを何度か繰り返しそしてルートに入るという形です。
以下に全体の特徴を列挙します。一般的には欠点とされるようなことでも私はそれはそれで気に入ったものがあるので、
あえて長所か短所かは明記していません。

・とても生き生きとしたヒロイン(きよらと恵理栖)
 魅力的です。会話が自然に楽しく表現されています。

・笑えるギャグ
 序盤~中盤にかけて今作のギャグ要員の理緒との笑いイベントがいくつもあります。
 声優さんの熱演も伴ってかなり笑えるものとなっています。
 ただ、恵理栖ときよらの個別ではあまり出てきません。
 きよらシナリオは(理緒以外で)笑いどころがあるといえばあります。反面恵理栖シナリオはあまりなかったと思います。

・前述の通り個別シナリオのストーリー自体は一部除いて普通です。普通ですが上手くヒロインの魅力を引き立てています。

・きよらシナリオの前半~中盤にかけてきよらと仲良くなりキスをするまではなかなか良かったです。

・個別に入るとそのヒロイン以外ほとんど出てこなくなります。

・共通・個別通して、ヒロイン同士の掛け合いというのはほとんどありません。例えばきよらと恵理栖はそもそも
会ったことがあるのかどうかすら私は覚えていません。ただ、これはこれで特に気になりませんが。

・最近のゲームにしては少々短めのような気もします。


まとめると粗はあるものの、きらりと光るものがあってそれが気にならない、というところでしょうか。
いまいちどこが良いのかを伝えきれない感想になってしまいましたがお気に入りの作品です。