残念だ。まず始めに言ってしまうと自分はこのライターと原画のファンであり、過去作で大炎上したディエスイレは思い入れのある作品だ。信者と呼んでもいいくらいのファンである。そんな自分にとって、今作は期待に応えてくれるという出来ではなかった。もしかしたら、信者から普通のファンに下がったかもしれない。
個人的な不満点を述べる。
万人向きを意識したせいか、このライターの個性や良い部分が霧散していったようだった。
このライターの中二病っぷりは素晴らしいものがあった。
その代わりにヒロインが可愛くないというマイナス面もあったが、それはまったく気にならなかった。
萌え?なにそれ美味しいの?と言わんばかりに素晴らしく尖っていた。
それが今作では萌えを意識したせいなのか、熱血さや中二っぷりは他の作品でも見かけるくらいのレベルになってしまった。
それなりに高いクオリティは維持しているのは間違いないのだけれど、それを補って余りある萌えや美少女というプラスは無かったのである。
そうして考えてしまうと、やはり失った部分が大きかったように思う。
他にも不満点はある。
中二っぷりが薄くなった代わりに、説教臭くなってしまった。
「おまえらが何をしようと俺はこれを好きなんだ」と過去作では叫んでいたのに
今作では「おまえら、どうしてこれの良さが分からないんだ? 説明してやる」みたいな感じである。
具体的には「男はこうあるべき、女はこうあるべき」とハイパーお説教タイムだった。
もしかしたら昨今のライトノベルに出てくる軟弱主人公と我の強いヒロインに不満が積もり積もっていたのかもしれない。それはそれでいい。気持ちも分かる。
でも、作品を通してお説教するのはNGだ。
ハイルヒトラーで見せてくれたエンターティメント精神はどこへいったのだ。
他は他。俺は俺。おまえら、俺の好きなものを見てくれという、そういう姿勢のファンだったのである。
辛口に批評してしまったが、決して悪い作品ではない。
高いレベルにまとまっているから、80点の燃え系作品がやりたい層にはおすすめだ。
ちなみにまだ1人だけヒロインを残してある状態だ。
期待値が高すぎたために、完プレイ前に不満をぶちまけてしまった。
残すはおそらくグランドエンディングなので、もしかしたら評価は上がるかもしれない。
そんな希望を残してラストのプレイいきます。