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kugyuiroさんの好き好き大好き!の長文感想

ユーザー
kugyuiro
ゲーム
好き好き大好き!
ブランド
13cm
得点
100
参照数
2526

一言コメント

陵辱フェチ系は本来こうあるべき

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一つの言動について関わる人物があれこれ繊細に考えることがこのゲームの醍醐味だと思う 陵辱フェチ変態と言った要素のあるゲームは数あまたあるがここまで心理描写にこだわった作品は珍しいだろう もはや考察の必要もないほどに心の揺れ動きが説明されている フェチであるということはその性癖に対して並々ならぬこだわりがあるはずで その繊細さを描かいていない他の多くの作品は 魂の抜けたものになるのは当然であると この作品は気づかせてくれる
この作品の題材はフェチだけではない ほのか√では純愛 みるく√では独占欲や依存 りか&るか√では愛憎が共存する様子が丁寧に描かれている それぞれでボタンの掛け違いかたによって微妙に違った結末を迎える 
主人公が完全に孤独な人間であれば物語はとてもシンプルなものになっていたはず 主人公に好意を寄せている または過去に好意があった人物が次々と現れ おせっかいや興味本位な行動を取る 主人公はきっぱり断れない性格なので ずるずると主人公が意図しない方向へと誘導されてしまい焦燥感を感じる この構図がただの陵辱ゲーではない事を示している 
CGに関してはこの程度が妥当だと思う 派手な絵では陰鬱な感じは出ないし CGが主張しすぎても文章のエロさが伝わらなくなってしまう CGをパット見た瞬間はよく分からない感じのものもあるが よく見ると人体の肉感は表現されている ほのかは立ち絵ではなく個室のベッドの隅からこちらを見つめている一枚絵となっていて ほのかと狭い部屋で対峙している感覚を与えてくれている みるくはウザさが際立ちすぎて若干邪魔してる気もするのでもう少し地味めでも良かったと思う りかの衣装が大学生にしてはダサいなーと思った ゆかりがエロCGになると幼くなるのは よく分からず立ち絵や研究室で座ってるイメージと違いすぎた
妄想という形で非現実的なプレイも網羅してる
BGMは単純な繰り返しだが一番陰鬱な世界観に貢献している気がした
このゲームが楽しめない理由としては プレーヤーも主人公と同じく憂鬱なメンタルであり なおかつ同じ思考や趣味をそれなりに共有する必要がある そういう作品なので多数の人から支持される名作には当然ながらなれないと思う プレイする前の印象は狂気的な感じだと思っていたが案外ハートフルな作品だった

登場人物ごとに考察
・ほのな
主人公が助けた後出会っていればこの物語は存在しないというのが面白かった それ以外のENDではお互いに理解し合えたものも含めてハッピーなENDは存在せず不遇な感じだった 最終的に一緒にならないのはみるくと対照的でプレイする側としてはウザいみるくよりこっちとハッピーになりたいと感じると思う その他のルートの場合も忘れ去られたり 嫉妬を買って殺害されたりなかなか鬱である 純愛関係となるENDでは主人公が逮捕されるが案外軽い刑で恋愛生活が続いたらいいなと思ってしまう
・みるく
何故か分からないが このキャラは全11ENDのうち6ENDも関わってくる エロゲなのでプレーヤーは重複する文章も読むわけで キャラのウザさが必要以上に際立つ事になってしまう ほのなが不幸に終わるENDの多さと比べると不公平な感じもする このキャラは主人公に依存し独占することが最大の幸せなので そこに部外者が入る事=BADとなる 主人公とみるくで先に凶暴化したほうが主人となりもう片方を隷属や監禁させるところは面白い もう一方で主人公の性癖を改心すること無く受け入れてくれるのは このキャラだけである
・るか&りか
瑠香が莉果を好きで 莉果が主人公を好きで 主人公が瑠香にトラウマがあるのはすぐ分かるが 莉果も瑠香が好きで主人公も瑠香に性的に惹かれる部分があり より複雑な関係だったことが死んでから分かる 違う形であれば主人公が妄想したように三人が互いに仲良くなる未来もあったんじゃないかと思わざるを得ないが この二人のルートが1つしかないのが残念である 主人公と瑠香が勝敗をめぐってセクロスし 殺して後悔したり 同じ条件になるために莉果が交わるのは女性誌的で新鮮だった
・ゆかり
魅力的なのにも関わらず このキャラだけ脇役なのが残念だった 唯一異常者ではなく 主人公のメンタルを救える可能性もあり 姉弟のような関係と発言してるのでENDが一つも用意されていないのはもったいないと思った 両者の関係をもっと掘り下げたり もっとエロがってもいいと思った