狂気ホラーかと思いきや
家族愛がテーマ 家族の中のわだかまりと超常の能力の代償を乗り越える話 この時代の王道モノに対抗して近親相姦という独自のジャンルで攻めた作品だそうです ボリュームはないですがその分欠点も少なく完結されてます
・世界観
この物語の世界観に引き込む工夫が沢山なされています 通常のシーンでは部屋の隅に置かれたカメラで場面を撮影したような構図で描かれていてSDキャラが可愛いです 会話シーンに移ると普通の立ち絵に変わります そして同じシーンの回想が何度も何度も繰り返されます スキップできないボイスだけの回想が行われた数日後にまた同じシーンが文章付きで回想される この様子は主人公が記憶を思い出していく過程を表現しています BGMや遠景が細かく移り変わることでスライドショーのようになりノスタルジックな気分が味わえるので間延びするのを回避する工夫もあります
このゲーム特有の特徴は”最初から始める”を小刻みに何度も繰り返すところです 一日あるいは一つのシーンが終わるごとにタイトル画面に戻されます 4日という短い期間に閉じ込められた主人公が何度もループへのダイブを繰り返す表現の一つでメタな表現です
・人物
登場人物のほとんどが家族関係で赤の他人で重要なのは数えるほどです 何も知らないでプレイするとこの家族関係が分かりづらいです 2chのネタバレを見て初めて把握できました 親世代の人物が登場しない人も含めて6人いて それぞれが交わった結果 子供世代が4人産まれます 全く同じカップルの親から生まれた子どもは一人もいませんし 連れ子もいます それが一つ家の下で暮らしていて 実の兄弟や親のように振る舞うので余計にややこしいです そこに親友と恋人と恋人以上の絆の人外が関わって来る訳です 人外と主人公は他人の精神エネルギー(?)を糧に無限の寿命生きている存在だと思われ 主人公が他の登場人物とのわだかまりを解消させつつも 他人の不幸をエネルギーに生きる事に何らかの解決策を見つけて結末に至ります どうしてそのような能力を得たのかや空間に閉じ込められた原因などはあまり語られることがないので そういうもんなんかな~とあまり追求しないのが正しいのでしょうね
・その他
おまけが笑える:シーンの終わりごとに入る「盲点」やクリア後の「狐の嫁入り」では本編とは全く関係ないネタものから ちょっとした考察まで寸劇が展開され スタッフのこの作品に対する愛情が感じられる 本編に登場するラジオも全然関係ないけど面白い 盲点は一周目はオフにして本編の世界観を味わい 作業になる二週目以降にオンにするとよさそう
システム:スキップが未読部分を一瞬でスキップしてくれるので快適である また「最初から始める」を何度も繰り返す仕様は欠点もあり一方通行な仕組みとなっていて 分岐でセーブを忘れると戻ることが出来ず リセットしてもう一度最初からやる事になってしまう ミスってリセットしてると無駄なプレイ時間が伸びるかもしれない 回想のデータは保存されるので全く最初からというわけではないのが救い
CG:文章とも相まって官能的であり世界観を醸し出すのにマッチしている ただ古い作画なので実用性があるかどうかはプレーヤー次第だと思う
雰囲気に満足感のあるゲームだが細かいシナリオに関してはよく分からない部分も多かったと思う