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koron08さんのQuartett!の長文感想

ユーザー
koron08
ゲーム
Quartett!
ブランド
Littlewitch
得点
90
参照数
211

一言コメント

弦の調べ、虹の彼方へ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

とても良かったです、絵もシステムも音楽もキャラクターも。

音楽学校にひょんなことから通うことが決まるバイオリニストの主人公フィルと、カルテットを組むことになる女の子三人との青春物語でした。魅力的なキャラクターが多いのも特徴でしたが、やはり吹き出し調の漫画のようなテキストの見せ方が素晴らしかったです。コミカルで勢いのあるシーンでは絵が飛び交い、感動的なシーンでは大きなイラストが視覚にばっちり訴えかけてきて、やってて本当に楽しかった。

その大変凝った演出のために、割りと早めに終わってしまう印象を受けるのですが、一つの物語としてまとまっているため、読了感を味わうことができました。音楽を題材にするだけあって、歌もBGMもレベルが高かった。歌では、「ランピン’」と「ツブオト」が好き。そして、BGMでは作中で演奏されたクラシックの「愛の挨拶」と「咲き誇る季節」が印象に残っています。僕は登場人物達がこれらの曲を演奏するシーンが"Quaretto!"の一番の見所だと思っています。

ちぐはぐだったキャラクター達が、時間をかけて心を交わしていき、演奏を楽しもうと取り組んでいた姿が良かった。「愛の挨拶」ではフィルとシャルの想い、「咲き誇る季節」では合宿でのメイとシャル(とその他大勢)、本番でのシャルとおっさん(名前忘れました)の想いの交錯が感じられました。こうして見てみると、シャルロットが音楽を通して、感情を伝えたり伝え合ったりして成長している姿が浮かんでくるようですね。想いが音楽に乗っていると感じると、途端に密度を増すようなメロディーになるので、それを味わえたのが良かったです。

あと、メイは良キャラでした。一度しかないというビッグチャンスに対して、「そんなチャンスいくらでも転がってるわ!!」とか言えちゃうのがかっこよすぎた。自分の才能を信じて、他人に左右されないって素晴らしいですね。

大槍さんの絵でまたFFDがみたいなぁ…。