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koron08さんのすみれの長文感想

ユーザー
koron08
ゲーム
すみれ
ブランド
ねこねこソフト
得点
75
参照数
702

一言コメント

うーん、シナリオが微妙でした。15周年記念ということで、おまけに力が入ってしまった印象。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まずすみれルート。メインルートだと思ってたんですが、結構あっさり終わった印象を受けました。
話の内容は、ぼっちがクラスメイトに逆切れするまでの過程を描いたものでした(多分これで合ってる)。
逆ギレの部分は割とすっきりしたので、読んでる時は楽しかったです。しかし、ここでルートが一つ終わってしまったのが問題だったと思います。上記の展開後、すぐに主人公による選択肢が現れて、すみれLIKEorすみれLOVEを選ばされます。それで、後者選んだら(なぜか)すみれちゃんもやる気満々で、エンディングに…。心理描写とか皆無だなって思いました。すみれちゃんを一回ちゃんと妹置きして欲しかった。せっかく苗字初芝で、声優も雪都さんなんだから、もうひとりの愛依ちゃん的な感じでもっと過程を大事にして欲しかったかなーって感じです。てか、絶対行為にいくまでがはやすぎた。全員の問題を解決した上で、誰を選ぶかっていう展開の方が良かったのではないかと思います。

あと、すみれルートで気になった点が二点。
まず、クラスメイトに健ちゃんが彼氏ではないとバレるところ。そこは、別に高々と彼氏宣言してないんだから、また寝たフリにもどる必要なくないか?って思いました。プリクラとか見せてアピールに見えたのかもしれないけど、周りが勝手に解釈したように見えたから、多分すみれちゃん悪くない(読者に見える部分では)。それに、彼氏じゃなくて義理のお兄ちゃんですって本当のこと言ったらよかったのにって。そうしたら、それはそれで騒いでくれると思うんですがねー。

次に、すみれゲーム内でプレイ推奨とされたみずいろ日和ルート。あれを長い時間やらされ結果、そこまでストーリーに関わってこなかったことが納得いきませんでした。プレイ推奨した意図としては、推測するに、すみれ主人公との引き合いのためだっただろうとは思います。割りと重要な場面で、主人公が、みずいろの健ちゃんのようにはなれない…と投げ出すシーンが何個かありましたし。決定的な場面で、問題を放棄してしまう主人公でしたが、そこは現実味が感じられて良かったです。ですが、正直、みずいろ健ちゃんのかっこよさってのが伝わりませんでした。周りを気にせずコーヒーカップを一人で回すとこがかっこいいのかなーって。シナリオのボリューム不足を昔のゲームによって補うようにみえてしまいました。

織姫ルートはすみれルートとほぼ同内容でした。ぼっちが社会性を身につけるまでのお話。正直パターン化してたので面白くはなかった。私の超個人的意見としては、すみれより織姫の方が心に傷を負っていたので、もっと暗い展開にしても良かったかなーと思いました。BADエンドで自殺するとか重い展開があっても良かったんじゃないかなぁと。というか、プレイ前はこういったもっと重い展開になると考えていました。その考察理由は、二点。屋上から飛び降りそうなCG の存在。あと、OPの「私は眠りにつく」という歌詞です。この歌詞を聞いた時に、現実から目を背ける眠り(寝たふり)が死へと発展して、永遠の眠りへとつながっているのではないか?と過剰な考察をしてしまったためです。自分の期待通りのシナリオじゃなかったから、低評価なのか?とつっこまれえるかもしれません。しかし、ねこねこさんは今までも結構欝な展開を書いていましたし、また、すみれルートとの差別化としても、こういう展開はありだったのではないかと思いました。前述しましたが、超個人的な意見として受け取ってくれれば幸いです。

最後にあかりルート。正直このルートはよく分かりませんでした。公式が周回プレイしなければ理解できないかも、と言っていましたがやる気が起きません。やる気が起きない理由は、私自身あかりに共感ができない部分が何個もあるからです。
以下列挙
・10年間も仮病で入院し続ける。
もうこの時点でフォローの仕様がない。
・仮病で父が自殺
父の会社がうまくいかないなどはありましたが、父親が生き悩んでいた時にも仮病で眠り続けるあかり。決定打を打ったのは彼女なのではなかろうか。
・よく分からないSFチックな物語
これが一番よく分からない

共感はできないですが、あかりが蒔いた種を自分で何とかしようとした点は良かったのかな?と思います。でもその方法が、ギャルゲ学園っていうのはどうなんだろう…。

全体的には、ネトゲと現実での二面性があるという設定は面白かったです。でも、その二つのつながりっていうのが以外となかった気がします。二面性の性格が、場所によってくっきりと区別されていたのが残念でした。