期待していた雛ルートが大はずれだった。締めであるこのルートさえなかったら高評価だったのですが…
公式で雰囲気ゲーと言っていたのに、冒頭で美しい向日葵畑を背景に、エフェクトありの殴り合いを始めた時はもう絶対クリア出来ないなと思いました笑
ですが、なんとかクリアまでいけたので感想書いてきます。本筋は一言感想で書いた通りです、具体的に雛ルートの何が駄目だったのかを挙げていきます。
たくさんありすぎて本当にもやもやしているんですが、まず一番駄目だったのが主人公の陽介。基本的に他のルートでは有能でかっこよく映っていたのですが、雛ルートでは心ブレブレで、もう何がしたいのか全くわからなかった。
一つ目、最初は雛を養子にしてお父さんと呼ばせたいみたいなことをいってたのに、夢かも分からない雛とのキスシーンだけで急に娘を意識し出すって相当まずいと思うんですよ…普通は娘から大好きって言われるだけでこうなりますか!?
仮にも10年近く育ててたら普通は父性がつくんじゃないんでしょうか?そういえば脱線しますが、身寄りがなくなった女の子を中年のおっさんが引き取る漫画アニメがありましたね。これアニメしか見てないんですが、どうやら漫画だと二人が結婚して一部?のファンが怒っていると聞きました。(アニメしか見てないので過程は知らないんですがほぼ同意見)
これと同じようなことが、向日葵の教会でも起きていたと思う。雛から主人公へ好意が寄っていくっていうのは別にいいんですよ!幼少期に屋根から落ちそうなところを救ってもらったのが初恋のきっかけだったと書かれていましたし。でも、主人公から気持ちの整理もつかないまま祭りの夜にキスしたのは本当に訳がわからないよ!!急な展開にただただびっくりだった。なんで、養子縁決まって正式に親子になるって決まった夜にそんなことするんだ!陽介はお父さんになりたいって10年間言ってたんでしょう!?もう波乱展開に持ち込めばいいってもんじゃないと思うんですよ…
まぁ攻略対象である以上仕方のないことなんですが、養子系ストーリーは結ばれない方がハッピーエンドだと思いました。っていうか月子ちゃんとくっついていた方が綺麗なシナリオ書けたと思うんですよ、雛の葛藤とか組み合わせて。ここでルート分岐があったらまぁ納得はできました。
しかし、シナリオの月子ちゃんの扱いはひどすぎた。主人公との縁談は相手が月子ちゃんだと知るや否や陽介から取り消され、その埋め合わせとして月子ちゃんがささやかながら夏祭りに一緒に行きたいと誘うのですが、それも(上記した問題のシーンによって)取り消されていて不憫すぎた。一人生き遅れているって何度も明記された状態でこんなことされたら、雛よりも月子ちゃんに感情移入しちゃいますって…そこがプレイ中に辛かった原因の一つです。
エピローグで月子ちゃん自ら、私は傍観者(読者)って言われて一応納得はしました…けどあんなにキャラ濃い魅力的な傍観者がいていいのか?すばひびにも傍観者がいたけどあれは許せる不思議だ。
二つ目、主人公の黒井さんに対する扱いが謎すぎました。黒井さんというのは、雛の母親を保護・支援していたハイパーいい人なんですが、学生の頃の陽介はまるで悪の根源であるような謎の捉え方をします。この理由は、雛の母親が無責任に娘を捨てたという(全然そんなことない)勝手な思い込みからで、雛の母親に!殴りかかろうとしたところを黒井さんに返り討ちにされたためです。どう考えても先に手を出したほうが悪いのに(しかも女性相手に)それでボコボコにされて逆恨みってありえないでしょう…
まぁ学生の頃で若いから仕方ないって思うかもしれませんが、10年後大人になって黒井さん自ら良い情報を持ってきてくれたにも関わらず、先制で小石を投げ付けるって…まるで成長していない…せめて話を聞いてから殴りかかってください。その上、さん付けを嫌がったり、大嫌いな奴と言ったり一体なんなんだろう。雛の母親も黒井さんも事情ありのキャラだってことは読み手にとっては大抵分かると思うので、この主人公の思い込みは他ルートの賢明なイメージに反していて正直不快でした。
三つ目、他ルートの不思議現象が全く関わってこなかったこと。詠ルートでは寝子麗様関連、ルカルートでは青バラ、ダイヤルートでは仮面、といった物語に惹きこみ更に伏線回収も見事だったのに対して、雛ルートでは特に盛り上がる要素がなかったこと。
完全に黒猫化したヨミが最後に一発どどんとアクションしてくれるんだろうな~と期待していましたが、そんなことはなかった。他ルートは楽しく、雛も好きだったために、本当に残念な最後でした。
だらだら書きましたが、他ルートはなかなか良かった。特に詠ルート!!結構伏線散らばってたのに、それに気づかせずに読めたのはテキストが良かったからだと思います。
あと、詠の猫哲学的なものがすばひびに関連づいているようでとても良かったです。たしか、すばひびでは動物は死を知らないから幸せ的なことを最後ら辺のシーンで語っていたと思います。それを細やかに描いたものが詠ルートにあったと感じました。病弱になった本物の詠から死を知って、拠り所を失った陽介に対して猫から人に姿を変えて接していった姿には感動しました。全ての生き物よ、幸福に生きよというメッセージがすばひびとはまた違う方向から描かれていて、とても良かったです。
詠ルートが最高だっただけに、雛ルートが楽しめなかったのが本当に悔やまれる…「さくらとことり」を読破後に気持ちよく聞きたかったからやった身としては、やっぱり残念の一言です。