「マシーナクロニクル」第二弾。外伝と名が付く割には(おそらく)前作とほとんど繋がりを持っていないのですが、淫具開発とカードバトルを中心とした構成はまさに『機械仕掛けのイヴ』のプロトタイプと言ってよいでしょう。カードバトルはようやくその萌芽を見せ始めた状態で大いに改良の余地ありという感じですが、淫具開発はほぼこの時点で完成されている上に、バカノリな雰囲気にぴったりで作品単体として今現在(2010年)でも十分評価に値する完成度だと思います。ツンデレイリスの可愛いさは半端じゃない。
※本感想は、Ninetailの『機械仕掛けのイヴ』プレー前提で書いている部分が多々あります。
『機械仕掛けのイヴ』(以下イヴと略)や『天ツ風』と比較すると見劣りすることは
明白なのですがそれでも一作品として魅力があるように思います。
タイトルから明らかですが、『オゲレツ大百科』の次の作品。
マシーナクロニクル(以下MCと略)作品としても第2号ということになります。
と言いつつも本作は、前作＆イヴのように時系列で順番に繋がっていないので
前作との関連性は薄く、加えて表面的な世界観もほぼ別物。
むしろ、イヴと共通する部分の方が山ほどあります。
自分は本作よりも先にイヴをプレーしていた所為もあってか、
ゲームシステムや登場ヒロインの類似性には結構驚かされました。
具体的な内容ですが－・・・
本作の主な登場人物は、
フィル：主人公、街の機械技師
イリス：自律動人形、イヴのイリアにそっくり、でもこっちの方がツンデレ
ユニア：幼馴染、教会＆孤児院を経営
の3人。後者2人が攻略可能ヒロインということになります。
作品世界こそ産業革命期のような時代に、特異な発展を遂げた蒸気機関、魔石、秘石
といった空想技術が登場するスチームパンク(？)な感じですが、雰囲気は明るくバカノリ。
敵役のNut’s団やその幹部、もう一体の自律動人形のサリィなども突っ込み所多すぎて困ります。
彼らの妨害をカードバトルを通して払いのけつつ、孤児院を救うために淫具を開発して
期日までに孤児院の土地買収に必要なお金を稼ぎ出すというのが大まかなお話になります。
■ゲーム性
淫具開発とカードバトルの2本柱と言ってしまうと
カードバトルの方を過大評価しすぎてしまうでしょうか。
□淫具開発□
より完成されているは明らかに淫具開発。
イヴより随分前に発売された作品なのでプレー前は舐めていましたが
予想を上回る完成度でした。
裏を返せば、この時点で問題が浮き彫りになっていたはずなのになぜ
イヴにて改良されていない点があるのかとも言えそうですが－・・・
基本的な流れは、
【暗号解読→淫具制作→淫具試験運転(エッチ)→販売】→目標金額へ
という感じ。
注目すべき主なパラメーターは、
・技術／設備
・体調
・秘石メーター
・製品需要
・製品の品質
・原材料の相場
技術／設備以外はランダム変化するので、しっかり戦略を立てないと死にます。
特に重要なのは、早めの設備投資、ランクよりも需要、製品は高品質、秘石の状態
の4点。この辺りの戦略はイヴにそのまま引きつかれているようです。
その他にもサブで、
・イリスのパワーアップ
・建物の修繕
などにも注目する必要があり。
こちらは金さえだせばなんとでもなる感じではありますが。
イヴと大きく違う点は、店番／外出コマンドでしょう。
こちらは、選択すると様々なイベントがランダムで発生するのですが、
ヒロイン攻略に欠かせないイベントも含まれているのがポイント。
イリスなら店番、ユニアなら外出コマンドを選択していくつか
イベントをこなしてゆく必要があります。
どうやら見ないとトゥルーエンドに到達できない可能性もあるらしい。
かなり玉石混淆で、設備が上昇することもあれば、単に酷い目に合うだけ
の時もあり、何が起こってもめげずにコツコツお目当てのヒロインの為に
選択し続ける必要があります。
エッチしてもヒロインの好感度が変化しないのはイヴと大きく違う点ですね。
というわけで、効率性を求めるとイヴとほぼ同じ戦略を取ることになるのですが
本作の方がより運任せな部分が大きいと言えそうです。
人によっては安定した進行が阻害されると感じるかもしれません。
ただ、イベントによっては胡散臭い業者にお金を支払って、材料の価格破壊を
引き起こすなど主人公にあるまじき行為なども選択できるのでこれはこれで
イヴにはない魅力はあります。
必然的にSave&Loadを行うかどうかで難易度が大きく変化します。
□カードバトル□
カードバトルのシステムはまだまだ未熟。
ジャンケンであること、あいこの場合は札の数の大きさで勝負がきまる
といった部分こそ同じですが、特殊能力なし、チェインコンボもなし、
リミットブレイクでパワーアップなどもなく、あるのは必殺カードのみ。
必然的に敵の個性なども巧く表現できていません。
相手の癖を見きるまではまさにガチンコでジャンケン勝負をすることに。
しかもかなり頻繁に何度も手札が一色に染まる自体が発生するので
タコ殴りになることもしばしば。
またシステムに加えて、幹部を全員倒すとそれ以降ぱったりバトルはなし。
ラストの盛り上がりの場面でバトルとかそういったことは一切なく唐突に
さりげなく戦闘終了しており使い方がかなり中途半端。
中盤までは、イリアを模して造られた自律動人形サリィとの戦いなどで
普通にイヴを彷彿とさせるような熱いバトルも繰り広げただけに終盤の失速、
というか空中分解的な展開は残念。
せめてラスボスくらいはいても良いのではないか。
戦い前後の会話とは普通に愉しいのでバカノリの表現の一つとしてのバトル
くらいに考えおいたほうが良いでしょう。
□ADVパート□
プロローグやエンディング以外では、淫具開発(エッチや店番／外出)・バトルの
合間を縫って、固定やらランダムで日常のシーンが挿入されています。
基本的に微笑ましく、賑やかで、おバカなイベントが多いので普通に愉しい。
この辺りはイヴの日常パートに近いものを感じます。
特にイリスのツンデレっぷりはかなりの破壊力。
イリアが無感情キャラだっただけに、本作での表情や感情の豊かさには心揺さぶられます。
特にあの冷たい目線、たまに照れる姿、エロシーンの乱れ具合のギャップがたまらないですハイ。
イヴでイリア好きだったら相当ウハウハ出来ると思います。
加えてイリスはシナリオもユニアと比べてかなり優遇されており、イリスにとって
「仮」マスターである主人公が深い絆で結ばれて、本当の意味でのマスターに
なるまでを温かに描けていると思います。
イリストゥルーエンドは非常に気持ちの良い終わり方なので、基本バカゲーの
割に良好な後読感でした。
■エロ
予想外にエロかった。
絵さえ許容できれば、イヴと同レベルの実用性を誇ると思います。
総シーン数40(アイテム数は32)
アイテム以外は、ヒロインやサブキャラとのエッチ。
プレーの種類は多岐に渡りますが、製品需要にある通り概ね
【SM系・道具系・フェチ系・汁濁系】の4種類くらいに大別できるでしょうか。
特にフェチと汁濁が優秀。
フェチは元の性格を捻じ曲げてイメクラ＆コスプレエッチ系が多く大変興奮します。
中でもクールなイリアの寂しがり屋のうさぎさんプレーやユニアの卑しい雌豚プレーは秀逸。
汁濁は単純に母乳やお風呂プレーなど精液も体液もでまくりでエロい。
基本はどんなアイテムでも最終的には快感でアヘアヘになるのですが、
SM系の一部は軽く凌辱系のアイテムが含まれていてこちらは例外。
プレー終了後リアル泣きされたりするので普通に凹みます。
中でも「リンカーン」というアイテムが最悪。
使用すると文字通り輪姦されます。(ユニア)
しかもプレー後ユニアが心に傷を負う非常に嫌な展開に。
「これまで通りの態度で接するから…もうお互い忘れましょ」と
痛々しい表情で言われるとか勘弁してくださいという感じ。
どうやらユニア攻略の際には開発してはいけないアイテムらしいです。
その他の特徴は－・・・
イリスは普段とのギャップが大きいので激しく喘ぐとそれだけで
気分が盛り上がりましたが、個人的な嗜好によるものかもしれません。
ユニアの場合は、開発に成功しさえすれば淫具を試した後に、
普通のノーマルエッチになだれ込む場合が多いので長くイチャイチャ
グチャグチャしていられます。
またイヴと違って奇抜すぎるプレーというのがあまりないので、
常に恋人同士のマニアックなイチャイチャプレーのような雰囲気が
漂うのも興奮の材料と言えそうです。
色々書きましたが、イヴのエッチシーンがありならば多分許容可能。
体験版でエッチシーンがあったと思うので確認してみるとよいでしょう。
■その他
前作同様、どうも他のサイトなどのレビューをみるとシステム面の内容が
大きく違うのは廉価版をDL販売で購入しているからでしょうか。
少なくともDL版はバックログやボイスリピート、サウンドの音量調整など
最低限とはいえ基本的な機能は備わっており、ストレスになるこはなかった。
■まとめ
というわけで、カードバトルの完成度が低いのが痛いですが、それ以外の
部分ではイヴに繋がる部分や、作品独自の魅力ももっている作品でした。
機械仕掛けのイヴファンの方で本作未プレーの方は是非。
とまでは言えませんが、イヴで
・コメディ部分が楽しめた人
・淫具制作に実用性を見出すことができた人
・イリアに冷たい目で見られると思うと興奮する人
・イリアに朝起こされたい人
・イリアルートなくて怒り狂った人
・イリアのエロシーンが少なすぎて泣いた人
・イリアの薄い胸とか細い手足にハアハアする残念な人
・クールなイリアがデレるところが見たい人
・とにかくイリア最高だったと言う人
などは魅力的な部分を見つけることができそうな気がします。
前作同様現在入手するのであれば廉価版をDLショップでということになると思います。
価格を考慮するのであれば、個人的にはお勧めしてもいいくらいの作品。
興味のある方は情報集めをしてみてはどうでしょうか。
嗜好が合えばどうぞ。