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komさんのココロ@ファンクション!の長文感想

ユーザー
kom
ゲーム
ココロ@ファンクション!
ブランド
PULLTOP
得点
90
参照数
635

一言コメント

エロさの充実と、展開の丁寧な作り込みを高く評価したい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

私がプルトップに期待していることを一つ挙げるとすれば、「物語を通じて仲良くなったからこそのH」という部分について、丁寧に作り込んでいることである。ここ数年でスタッフが入れ換わり、「ころげて」というヒット作も出して、本作はどうかなと思っていたが、期待していた部分については十分満足できた。

展開。共通ルートでは謎のアプリを巡って、張られていく伏線に無理がない。個別ルートではヒロインと盛り上がりつつ、話自体はちゃんと着地する。
加えて、5人のヒロインそれぞれのストーリーについて互いに矛盾しないような工夫はもちろんのこと、重複部分をスムーズにショートカットするようになっていた。このような配慮が昨今の作品群でどれほど普及しているのかよく知らず申し訳ないが、手間ひまが感じられ、結構嬉しい。

エロさ。Hシーンを充実させようという意気込みが伝わってきた。「神聖」あたりからその兆しはあったが、性癖やシチュエーションという味付けをすることでHの流れに一貫性ができ、固有のカップルとしての説得力が増していて、安心して物語に集中できた。
声優の熱演も素晴らしい。性格をよく捉え、盛り上がっているんだけどやっぱりそのキャラ、という技術は本当にすごいと思う。
また、主人公の「相手の考えていることが伝わり、自分の考えていることが伝わる」能力も自然に取り込んでいる。美味しそうな設定を中途半端に活用しただけの作品も過去にあっただけに、ここは改善を喜びたい。
「ラブパッチ」はかなりエロいと感じた。仲良くなったキャラともっと仲良くなった先を全開で楽しめた。


それ以外。音楽はスタイリッシュで作品イメージをよく支えていた。特に主題歌一つめとタイトルページの曲は、この作品の象徴として大事な役割を担っていた。
画面デザイン、制服や建物のデザインも統一感が高く、必要十分な手の入れ方で好感をもった。

ところで。水菜ルートの終盤の展開がどうも受け付けなかった。設定自体はまあ仕方ない。しかし、他のキャラでも若干感じられたが、「Hシーンは別途作られていて、それをつなぐ展開を後から考えた」雰囲気があからさまな上に、そのつないだ部分については、水菜ルートは見られるレベルに無かったと思う。

とは言っても、他の要素はプルトップの過去作品と比べて充実しており、全体として十分高評価に値する。