ピュアガ、イノガと比べて変態要素は減ったもののこれはこれでかなり尖った萌えエロ作品
フロントウイングのななかまい作品はピュアガール、イノセントガールに続いて三作目。
このラインの作品はななかまいの可愛らしい絵柄で変態的な濃いエロをやる、という萌えゲーと抜きゲーのいいとこ取りみたいな作風なんだけど、『ピュアガール』→『イノセントガール』→『ゆきこいめると』と新しくなっていくにつれて萌えゲーのほうに寄っていっている。
特に今作はイノセントガールと比べても大幅に萌えゲーに寄せていて、わかりやすい例として、前作までいたCVみるの変態ギャグ担当の男の娘キャラがいなかったり、ハーレムルートがなかったり、挙句共通でのHシーンすらなくなってしまった。
でも、この作品が牙を抜かれたような、ただの萌えゲーに堕してしまったかというと、あながちそうでもない。
このゲームは萌えゲーとしてもかなり尖っていて、ルートの長さがほかのキャラの1.5倍ほどある姫廻たるひルートを除けば、あとの三人は付き合うまでの過程がかなり短い。
それこそルートに入ってから10分ちょっとあれば付き合うところまで行くんじゃないだろうか。
で、しかもこのゲーム、シリアスなシーンはほぼ皆無と言っていい。つまり、ルートに入れば即付き合って、ひたすらいちゃいちゃデレデレして、Hして、またいちゃいちゃして、の繰り返しで終わる。
これだけだとむしろ欠点に感じるかもしれないけど、そこは流石ピュアガールの系譜というべきか、いちゃラブとHシーンでメリハリをつけているので、あまり退屈はしない。
Hシーンではピュアガイノガの系譜らしく、尿、玉責め、発汗・体臭などヒロイン各々がフェチズムを持っていて変態的な要素は健在だし、シーン中のテキストも、萌えられてなおかつエロいという素晴らしい出来になっているので、ヌキ要素自体は下手すると前作以上かもしれない。
つまり、この作品は付き合う前の描写すら省略してしまうほどにいちゃいちゃとエロ以外を、それこそほかのいちゃエロ系のゲームに比べてもかなり徹底的に排除している。そういう意味でかなり尖った萌えゲーだと思う。
欠点としては、萌えに寄せていった影響で舞台となる『ふゆ部』が前作前々作の『ドリームハウス(荘)』と比べると、わりと常識人の集まりというか、Hシーンでは各々の変態性を見せるもののそれをあけっぴろげにするようなノリではないので、ガールシリーズにあった日常部分での下ネタエロネタはかなり減っていて、そのせいで共通部分の面白さはかなり減っている。
前述したとおりCVみるの男の娘もいないし、花鳥塚会長を意識したと思われるうさぎ部長もただの良い先輩という感じだし。
まあふゆ部の活動そのものに一切のエロス要素がないから仕方ないのかもしれないけど。
でも正直な話、ガールシリーズのあの日常部分のバカエロな感じがものすごく好きだったので、個人的にはこの点はかなり残念だった。それこそこの点のマイナスだけでイノセントガールより低得点をつける程度には。
ただし個人ルートの出来は、いちゃいちゃとHに特化していて、そのクオリティはかなり高いため、個人的には前2作より高評価をつけたい。
特に出色の出来だったのが雫里ルート。(ここからは微ネタバレなので注意)
このルートは雫里が持っている『変態的な嗜好のある自分』というコンプレックスを主人公が肯定してコンプレックスを解消していくシナリオなんだけど、これが素晴らしい。
コンプレックスを肯定してくれたから主人公を好きになり、そこで性行為を重ねることであらたな変態的嗜好に気づいてしまい、それでも主人公は『それも興奮する』と肯定するからさらに主人公が好きになる……という感じで、エロといちゃいちゃが地続きになっていて、その点がとても良かったし、雫里の変態性も今作の中では際立っていている方で、実用性も高かった。
上で前作と比べて舞台となる空間が常識的というのを欠点として挙げてしまったものの、雫里ルートは『常識的な空間』でないと出来ないシナリオ展開だし、このルートはピュアガールから続くシリーズのコンセプトを踏まえたシナリオとしてはひとつの到達点だとすら思う。
もちろん、ほかのルートも全員が可愛く描けているし、今回は特に捨てルートというか、いまいちなルートがなかったのも良い。
主人公も積極的な場面が多くて好感が持てる。
キャラクター的にはたるひが特にかわいい。かわいすぎて溶けるほどに。
あとキャラクターの体型の描き分けができてるのが地味に良い。スポーツ好きな嘩音は締まっていたり逆に母性的な雫里はやわらかそうだったり。雪姫だけはロリ巨乳を書き慣れていないのかちょっとアンバランスすぎる絵もあったけど
総評としては、多少短いし、「それしかない」ってくらいいちゃらぶとエロしかない尖った構成であるものの、いちゃらぶとエロを高い次元で兼ね備えた良作だと思う。
「付き合うまでが早い」というのが致命的な欠点にならないと思ういちゃらぶ好きならやって損はないかと。