構成が裏目に出た非常に惜しい作品
本作のシナリオは片岡ともが雛姫シナリオ以外を書いているらしく、やはり完成度は非常に高い。
ただし、惜しいことにそれを構成が台無しにしている。
まず、この作品は基本的な構成として、すみれシナリオ→雛姫シナリオ→あかりシナリオの順で進む一本道ゲーで、各シナリオ中の選択肢で高い好感度を稼いでいた場合各シナリオの最後にHシーンが挿入される、という構成になっている。
つまり、各シナリオではヒロインの問題自体は解決するが、好感度を稼がなければHシーンに至らないし、好感度を稼いでもエピローグ的にHシーンが挿入される程度なので、必然的に恋愛要素が(少なくとも主人公からの恋愛的好意という形では)殆ど無い。
それどころかあかりに至っては本編では一度たりともシーンがない(尤も、シーン数自体はクリア後おまけで補完されるため他ヒロインと同等)
個人的にはこの恋愛要素の欠落とエロシーンがおざなりにされている感じがとても気に食わなかった。
全員を救済しなければ意味のないシナリオであるので一本道でないといけなくて、それ故に恋愛要素が欠落したのかもしれないけど、それならそれで姉妹ブランドであるコットンソフトの『アンバークォーツ』のような分岐システムにするとか色々やりかたはあったはず。
少なくともエロゲにおいて恋愛要素やエロシーンをおざなりにするような構成は褒められたものではないと思う。
勿論、ねこねこ信者として片岡ともの物語が読めるのは嬉しいし、話自体は期待に応えるものだったと思う。
「ぼっち」を経験したことがある人ならすみれシナリオは心に刺さるものがあるだろうし、あかりシナリオの病院の看護師たちがモラルに欠けすぎているのは物語の都合に動かされている感じがして少し気になったりはしたものの、他のシナリオもかなり良い。なんならおまけモードも信者としてはとても楽しめた。
だからこそ、上述した構成のせいで点数としては10点以上マイナスすることになってしまったのがとても惜しく感じたのだけど。
とにかく各シナリオをどうにかしてひとつのルートとして独立させて、恋愛要素もきちんと入れていれば名作になり得た、まさに「名作のなりそこね」といった作品だと思う。
あ、BGMや歌はねこねこらしく最高でした。スカーレット2015好きです。