エロゲ界の司馬遼太郎サークル。「幕末」好きな自分には、前作よりも面白く感じた。「FDではなく、前作の補間、続編」という作品。 あくまで話の中心は、「赤穂浪士が幕末にいって新撰組と戦う熱い話」であって、前作ヒロインとのイチャラブアフター√ではない。
◆プレイ前
新撰組vs赤穂浪士、しかも、幕末って・・・wkwkw。
という感じで、自分が好きな要素がテンコ盛りで期待MAXでした。
◆プレイ時間
前作 評価 87点 プレイ時間 30h
今作 評価 87点 プレイ時間 本編√ 10h 新八√ 2h もう一つ√ 0.5h
◆前作より面白い
本編ルートは、前作よりも面白く感じた。
個人的に幕末が好きだったという事が大きいかもしれない。
戦闘演出は、間違いなく前作よりより上。
表紙からも分かるように、赤穂浪士vs新撰組で燃える展開。
だが、分量が前作の1/3程なので、そこが劣る部分。
やや、ダイジェスト展開が見られた点も落ちる。
◆新撰組の扱いについて
「扱いがひどい」という感想もみかけるが、それほどひどいとは思わない。
アニメや漫画だと変に持ち上げられているので、実際の新選組の事を調べると、「まぁ、こうなるよね」と。
今回は、「赤穂浪士vs新撰組」で、新撰組を当て馬にすることで、「武士道」を描いている。
赤穂浪士=武士道の鏡、新撰組=武士道に憧れながらも武士に慣れなかった者という構図。
そのため、新撰組の武士道からそれるポイントに光を当てて演出している。幼女商人が拷問されたりね。
やっていることだけ見ると、どちらもテロ行為?みたいな物だが、その意味合いの違いを感じ取ることができる。
だが、やはり現代の人気者である「新撰組」と悪者にしているので、少し「えっ」と思った所はありますね。
チンピラ集団というか、ヤクザ映画のキャラみたいでしたね。
映画のダークナイトみたいに、「悪者だけどかっこいい」だったらよかったのですが、「悪者で、しかもげすい」
という感じで、かっこよくなかった。中途半端な悪になってしまったのが×。徹底的に悪にして、日本転覆計画ぐらいでもよかったかも。るろ剣のししおみたいに。
又、新撰組のイメージの変化がやや急だった。池田屋事件前までは良かったのですが、そこからが・・・。新撰組がそこまで出世、手柄が欲しい理由を上手く描写できていれば違う物になっていたと思います。
このサイトのどなたかの感想で見ましたが、
「己の信念を貫けなかった男など、生きていても死んでいも惨めなものだ」
という言葉がぴったりきます。新撰組に。
◆熱さ、燃えについて
今作は燃えゲーでした。
燃えゲーは、一番作るのが難しいゲームだと思いますが、続編でここまで燃えるとは思いませんでした。
「正義(赤穂浪士)vs悪(新撰組)」という構図でした。
正義vs正義になればもっと燃えたと思うのですが、そこが残念。
新撰組が手柄を求める理由が今いち分かりにくかった、ただ出世したいだけに見えたので、悪になっていましたね。
しかし、「己の信念を突き通す熱い男(美少女ですが)が戦う話」としては燃えたと思います。
信念と信念のぶつかり合い、という意味合いも適度に感じる事が出来ましたので。
プレイ後は、「名作エロゲを徹夜でやりとげた時に感じる、精神をあらわれた感覚」を感じました。あっぱれ。
◆史実について
前作でもそうだったが、この作品、歴史の事を中々調べて作っている。
司馬遼太郎作品よりも、こちらの方が読みやすくて良いよいだろう。
オリジナル要素や独自解釈の場面を面白く、「あれ!」っと思う所は少なかったと思うし、展開にも納得できた。
勢いでごまかしている所も多々あったと思うが。
◆シナリオロックについて
本編√クリア→新八√、誉石√解放になるのだがこのロックいらなかったと思う。
シナリオ的にも、二つとも完全に独立しているので。
ご褒美的なゲーム要素だと思うが、ちょっと面倒だった。
本編√の全てのエンドを見なければアンロックされない点がね。
◆新八√について
このサイトで評価が高い新八√ですが、自分、前作でも新八に魅力を感じなかったので微妙だった。
「典型的な盲目的妹キャラ+強い+横乳デザイン」が魅力なのだと思うが、どうも記号的キャラ過ぎて。
キャラ萌√なので、話し的には特に何もないです。
◆大石内蔵助さんが大物すぎる件について
作者の考察を代弁するというか、数百年後の評論家のような意見を言うキャラに感じた。
「全ての把握しているから言える意見」という感じ。
「ほんとに江戸時代の人か!」というぐらい有能。
前作も凄かったが、今回はさらに凄い。いつも正しい事をいうキャラという感じで、他のキャラから浮いていた。
◆タイムスリップなどの考察について
今回も、細かい所はズボズボなのでスルー。
そういう所を楽しむゲームではないので。
◆今回は長州側の話で、高杉優遇。
吉田松陰の思想に代表されるように、忠臣蔵の武士道に新撰組よりも近いからか、高杉が優遇されていた。
普段は、名セリフワロスという立場だが、高杉のセリフは中々かっこよかった。
「志を立てることは、人と異なることを恐れてはならない。世族の意見に惑わされてもいけない
孤独を耐えれるのは強者のみ」
「出来る人間とは、確固たる己の価値観、頑強な信念、熱い心と冷えた頭、強い運を金揃えたもの」
◆シナリオについて
熱量と勢い、つまり面白いと感じた場所は、以下の順。
池田屋>長州征伐>禁門の変
池田屋事件は史実を上手くアレンジし、新撰組の怖さを上手く出せていたと思います。
長州征伐は、ちょっとダイジェストすぎて前作の討ち入り前の様な高揚感はなかったですね。
元々の話し自体が複雑なのでしょうがない部分も有りますが。
しかし、今作も読ませる。
とまらない。
「勢い」と「熱量」は健在。
正直少し驚きました。まさか、前作の勢いと熱量を保てるとは。
この二つを保つのって結構難しいと思います。
他レーベルの作品を見ればそれがよく分かると思います。
◆エロシーン
エロシーンは一部アニメが入っているが、実用向きではないと思う。
前作と同じなので、前作のエロシーンが気に入れば合うし、合わなければ合わない。
又、前作のサブヒロインとのエロシーンもあるが、う~んどうだろう。
小夜やお初がなく、奥野や磯貝があるのは、需要に合ってないような気もする。
◆FD特有のヒロインとのイチャラブについて
一応、前作ヒロインのアフター√はあるが、どれも0.5h~1h程の内容で、イチャラブ成分も薄し。
この点には期待すると、がっかりすると思う。
◆まとめ
「FDではなく、前作の補間、続編」という作品。
あくまで中心の話は、「赤穂浪士が幕末にいって新撰組と戦う話」。
◆今後
11月末に新作(同人の頃のリメイク)があるようなので、期待。