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kobazeroさんのSummer Pocketsの長文感想

ユーザー
kobazero
ゲーム
Summer Pockets
ブランド
Key
得点
100
参照数
1019

一言コメント

ただ泣き続けた 忘れられない夏になった

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


最近の鍵に全く期待してなかったが長らく出ていなかったので惰性で購入しました。
前半の手ごたえもよく、しっかりキャラ全員の個性を描いてあり、それぞれの思いを読み取れる内容で
何度も泣いてしまいました。
OPも作品に合っており、BGMも邪魔になる事は全くありませんでした。
キャラクター、シナリオ、鍵特有のミニゲーム、システム面において、
遊んでいて不快に思う点が自分は全く無く本当に完成度が高いと思います。
仕事を始めてから夏はただ暑くてうっとうしいとしか思ってなかったですが、
終わってから小さかった頃の楽しかった記憶を沢山思い出ししみじみとしてましたw
来年休みを取って島に行ってみようかと思います。

















ネタバレを含む感想


しろは
至って普通のギャルゲっぽい軽めの話
後半に全てを詰めているため割とあっさりしてます。
ただ手抜きと言うわけではなくALKAに繋ぐための伏線とでも言える√です。
面白さは他の個別と比べると大分下ですがしっかりやらないとALKAがわからなくなります


ひと夏の冒険のお話という感じでした。
鴎が消えた瞬間の喪失感が半端無かったです。
ただ物語自体にはあまり詳しくは関与していませんが、しっかりと面白いところをついていて
単体でもとても泣ける内容でした。
最後についてですが、二度と覚めない眠りと母親は言っていたので死んではおらずきっと
再会できたと自分は思っています。


島の不思議や七影蝶についての詳しいお話といった感じでした。
自分の我侭で大切な人が犠牲になって自分が目を覚まさなくなってでも助けたいと
必死になる蒼の姿を見て想う事がたくさんあり涙が止まりませんでした。
最後のきっと何年も待ってようやく蒼が目覚めたと思われるシーンは中々の名場面だとおもいます。
また、気付いた方も居るとは思いますがはいりが触れた蝶の一つには、
紬と駆け落ちしようとしていた男の記憶がありわかった瞬間胸が締め付けられる想いでいっぱいでした



個別√で一番完成度が高かったと個人的には思います。
ローソクが並び紬が消えていく場面はわかっていても涙が止まりませんでした
絶対に消えてしまうとわかっていても最後まで思い出を作ろうと必死で行動する姿に感激しました。


ALKA
ちらちらと見えてはいたがまさか羽未がこの物語の一番重要なキャラだとは思わず震えました。
幼児化していき意思の疎通が取れなくなっていきそれでも必死に思い出を作ろうとしていくはいりや
母親を知らなくてもただ優しくそれこそ本当の母親のように接するしろは
家族の優しさや親から子に対する思いをとても濃く演出していて涙が止まりませんでした。
色々な事を忘れていく中最後に現れる花火のシーンは本当に胸が締め付けられ号泣してました。

ポケット
総締めにふさわしい内容でした、どうすればしろはが消えないか七海が必死になる場面は彼女の
立場を考えてみているととても辛く進めたくない思いでいっぱいでした。
ここで気がついたのですがはいりは、ただしろはが亡くなったから羽末を島から遠ざけていた訳では
なく力に目覚めさせんとするため彼女を置き去りにして回忌に連れて行かなかったと
小鳩と同じ事をしていると気がつき、とても良くできているんだなとただ痛感しました。
ALKAの親の立場とは逆に子が親を思う立ち位置で物語が書かれており両者の思いがぶつかれば
必ずおこる矛盾をこれでもかと書かれ涙が止まりませんでした。
七海は過去を変え自分が消えてしまってもしろはを助けたいが、
しろはは自分を犠牲にしてでも彼女を救いたい
この矛盾がただただ辛くそして優しさに満ち溢れていて本当に感動しました。

最後のシーンは力を使えなくなったがためにぼっちにならず、
儀式も無いためプールに居なかったしろはと、はいりは出会わず島の食堂で会うただの客と店員の
関係のため何かがおきるわけでも無く時間だけが過ぎ、蔵の整理も終わろうとすると出てきた虹色の紙飛行機
見えた景色の先には一人笑顔で立っている少女が微笑んでいた
ALKAで最後に一緒にできなかった紙飛行機が二人を繋げそしてきっと羽末が生まれてくるであろう
本当に良いゲームでしたFD待ってます