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kmbon28さんのCLANNADの長文感想

ユーザー
kmbon28
ゲーム
CLANNAD
ブランド
Key
得点
93
参照数
256

一言コメント

前作よりも「笑い」の要素が強化されており、思いっきり笑えました。また、「家族」の話を軸とした感動の要素もかなり含まれています。長いですが、最後までプレイする価値はあります。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

色んな形の「家族」を軸にすえて展開するストーリーが中心となっており、いわゆる「家族モノ」が好きな人にとってはとても満足できる作品だと思います。
また、春原との日常会話がコント調になっており、ゲームブックなどの細かいネタも含めて思いっきり笑わせてくれました。
このゲームはすべてプレイすることに意義があると私は思いますが、長時間のプレイが必要だというのがネックといえばネックでしょう。

ストーリーについて、特に良かったのはAFTERを含む渚ルートとことみルートです。
渚については創立者祭での演劇部の発表の流れも良かったのですが、特に同棲編以後の流れが印象的でした。
私は素直に朋也と渚にはお互いに助け合いながら幸せになって欲しいと思っていたので、初回の残酷な流れには涙せずにはいられませんでした。
そのため、TLUE ENDを達成したときはとてもうれしかったのを覚えています。
ただ、欲を言えば3人で仲良く生活しているところをもう少し見せて欲しかったなぁと思います。
次にことみについてですが、最初、「大したことないだろ」と侮っていたところ見事にやられました。
ことみのために奮闘する主人公や友人たちの姿も印象的でしたが、特にことみの両親からのプレゼントと手紙のくだりはボロ泣きでした。
渚の両親である早苗と秋生は素晴らしい両親であることを渚ルートから感じましたが、ことみの両親も同じくらい素晴らしい両親であるということをこの物語から感じ取ることができました。

以上のように全体としてとても素晴らしい作品と言えるのですが、主人公の行動や展開が気に食わなかったルートが2つあります。
1つ目は、春原ルート。主人公が親友とはいえ兄妹の問題に首を突っ込むのはどうかと思います。
また、自分から事態を掻き回すだけ掻き回して、芽衣ちゃんを強く止めもせず、辛い思いさせているようにしか見えませんでした。
プレイしたときは妹のピンチに駆けつけた春原に感動しただけでしたが、今思うと「あれっ?」という感じです。
2つ目は、藤林杏ルート。双子が1人の男性に恋をするというありがちと言えばありがちな話で、妹の椋と付き合っているのに姉の杏に気持ちが及ぶような選択をし続けていけば分岐するルートです。
自分の本当の気持ちを隠し続けてきた杏も杏ですが、主人公の馬鹿野郎が自分の気持ちをはっきりさせずにうだうだと事態を先延ばしにしていたのには頭にきました。
あと1週間話が伸びていたら、画面を思いっきりぶん殴ってやろうかと思ったところです。
このルートで一番かわいそうなのはもちろん椋で、自分が一番傷付くことで円満に解決を図るような行動を取りましたが、個人的には主人公に罰を与えるという意味で主人公をもっと苦しめて欲しかったです。

ちょっと不満を述べている文が長くなってしまいましたが、それは他のルートが良かった故に余計に気になってしまったからです。
ただ、これらを差し引いても「家族モノ」、「感動モノ」として十分にお勧めできる作品であることは間違いありません。