シリーズ集大成。あと蓮華かわいい
※以下の感想では、この作品のみならず映画『君の名は。』のネタバレも含んでいます。
両方のネタバレがあっても構わない方のみ読んでください。
テーマは「運命の君と過ごす『日常』こそが奇跡」、というのが今の自分の結論。いや初回でスタッフロールを観た後は「輪廻転生」がテーマかと思ってたんだけど、全分岐を読んでから改めて転生する前を読み返したら、違うことに気付いた。この物語における輪廻転生は、手段であって目的じゃない。転生を繰り返してまで求めていたものは、蓮華との他愛無い日常だったんだ、とそう考えた。
ここで大事なのは蓮華と一緒であることなんじゃないかな。それを強調させるために、万華鏡世界から元の世界に戻る選択肢を選ぶと、どの時点の選択でも非TRUE ENDになるのかな、と。元の世界に戻っても日常は続くんだろうけど、その日常の中に蓮華はいない。
ところでもよか(というか妖狐)との違いはどこにあるんだろう。もよかだって深見夏彦を一目見たとき、彼が前世からの因縁の相手だと言うことを察した。そう思って読み返したら、2人の違いがわかった。もよかは狐の怨念に取り憑かれただけだから、蓮華とイコールの存在じゃあなかったんだ。
■『君の名は。』というか『前前前世』の歌詞世界とについて
転生後からスタッフロールが流れるまでの展開は、どうしても『君の名は。』のラストシーンあたりが想い起こされた。目が覚めるとなぜか泣いているところとか、ずっと何かを探しているところとか。自分が『君の名は。』を大好きなのも関係してるとは思うけど……あ、というより『前前前世』の歌詞世界の方が近いかな?生まれ変わりしてるし、100000光年って単語も出てくるし。『君の名は。』後に出た前作(罪と罰の少女)でもパロディセリフが出てくるし、シナリオライターはあれらの作品世界が好きなのかもしれない。シリーズ全体の筋はきっと、『君の名は。』発表以前から決めてたとは思うんだけども。
■もよかへのSNS中傷について
放火によって家族を失ったもよかに対する、根拠のないSNS中傷のくだりはタイムリーだったと思う。発売日はちょうど、テラハ出演者(木村花)へのSNS中傷事件が世間を騒がせていた時期だったから。もちろんあの事件とこのテキストに関連性はないんだけど、これからの時代では付きまとってくる問題だろうから書いたんだろう。
■料理のCGが多彩だったことについて
プレイしていて感じたのは、料理のCGが多彩だなーってこと。作中では蓮華が(霊力補充のため)食いしん坊に描かれてるから、料理CGが多いのはその絡み?ちょっと自分じゃあこれ以上の考察ができないから、他の方のを読んで考えることにしよう。
■転生後について
黒穴に呑み込まれる前に予想したような、すごいメタ展開ではなかった。予想してたのは、「さぁ、画面の前のあなたが深見夏彦の生まれ変わりです。『蓮華』を見つけましたか?まだなら見つけることが、あなたの理です。」的なもの。でも結局、深見夏彦がただ転生した感じであんまりメタくなかった。これなら別に名前を入力させなくても新しいキャラ名付ければ良かったような……そうすれば転生後蓮華のボイスで名前を呼ばせられるし。。。
■印象的なシーン
万華鏡世界で探した記憶の欠片がすべて、愛の記憶だったことの理由を理解するシーン。音楽として主題歌のオーケストラver.が流れることが大きく響いて、良かった。初回は、名前を入力させたことがメタ展開に繋がるのかと思って軽い鳥肌が立った。(のちに、考えていたようなメタ展開ではないとはわかったけれど)