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kirigoeさんのいろとりどりのセカイ WORLD'S END -RE:BIRTH-の長文感想

ユーザー
kirigoe
ゲーム
いろとりどりのセカイ WORLD'S END -RE:BIRTH-
ブランド
dramatic create
得点
82
参照数
30

一言コメント

長い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 声優の澤田なつさんが好きだから!という理由で気軽にプレイし始めたら超大作だった。たまたま売ってたという理由でVITA版を買ってしまいプレイ。えっちなのはないが、特に問題を感じなかった(シーン前後のカット部分がはっきりわかる)。後述するが、本編が長すぎることが問題なのだがさらにシーンまであったら余計に長くて鬱陶しく感じるかもしれないのでこっちでも良いかも。ただ現在は全部入りHD版があるのでそちらを買ったほうが絶対に良い。VITA版を買ってしまってすまない。

 作品に対する評価が非常に難しい。一言で表すと「長い」。とにかくプレイ時間が長いために魅力がスポイルされているが、この作品は絶対に全部読まないと意味がない。特に「セカイ」の真紅ルートで世界の仕組みが明らかになってからエンディングまで、そして「ヒカリ」の真紅アフター後編で色んな事実が判明してエンドに向かうための物語が展開されるところ。よくこれだけの世界観とストーリーを構築したものだと思う。思うが、いわゆる日常パートが退屈気味になりがちなこと(はっきり言うとギャグパートが面白くない上に乳の話が多すぎて食傷気味になる)、重要なシーンでは本質情報をしっかり長文で提示することにより話が長くなり、しかも終盤でも容赦なくぶっこんでくるため(セカイの夏目鈴、ヒカリの鹿野上悠馬(本物))、グランドエンディングまでさらに長くなってしまっているのが勿体なかった。ヒカリ真紅アフター後半は#40くらいまであるんだろうかと思ったら#60まで続いていて、真紅アフター後半だけでも10時間以上プレイしていた気がする。
 とダメ出しをしているが、話自体はしっかりしていて個人的には好みの部分に入る。主人公が「プレーヤー視点」を狙ったキャラなのが判明して「勝負してきたな」とも思った。偉大すぎる類似作品(その作品のネタバレ防止のためタイトルは伏せる)を見ているため既視感はあったが(類似作品に影響はされたんだろうなと思っている)、このような仕組みの作品をいろセカで初めて見た人は引き込まれたのではないだろうか。一方で「セカイ」ではいろんな情報不足もあることからヒカリという巨大パッチを充ててさらに良い物語になっていた。アフターストーリーの話をこういう風に意味を持たせたのもゲームとして良かった。ただやっぱり長すぎて好みではあるものの人に勧めることができない。
 あと何がよくて何が悪いんだろうと考えた時に、主人公の鹿野上悠馬(偽物)が圧倒的に魅力のないキャラというかあらゆるギャルゲエロゲ界の中でも最上位クラスのクズなのでなかなか感情移入が難しかった。やっぱりギャルゲエロゲといえば魅力的な男キャラがヒロイン以上に重要であり、時雨さんをもうちょっと魅力的にしても良かったのかもしれない(夏目鈴にだいぶ食われていた)。