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kill_u_さんの西暦2236年 -Universal Edition-の長文感想

ユーザー
kill_u_
ゲーム
西暦2236年 -Universal Edition-
ブランド
Chloro
得点
84
参照数
37

一言コメント

作品の雰囲気や理解できない事象の連続で度々恐怖(!?)を覚えたが深く印象に残った作品だった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

SFチックボーイ・ミーツ・ガールだと思っていたら予想外の角度からぶん殴られた。

哲学的思想、論理…非常に難解な作品ではあったが前半ハルとシオンの出逢いからふたりの少女が世界から消えるまではとても面白かった。
ただ後半から怒涛の世界観と話が壮大になりすぎて自分の理解の範疇を超え、恐怖の対象になっていくこのゲームが心底恐ろしかった。普通のギャルゲーや恋愛物の愛し合うふたりが最後笑いあってその先はプレイヤーで考えてね。でエンディングを迎えることが多い作品に対し、この作品は衝撃的な結末を迎える。
エンド1の自己に対する俯瞰で親への呪縛から逃れることに対してわたしをフカンするゲームと謳っているのかなと考えたがそんな考えは最後のエンディングで吹き飛んだ。
人を好きになって、結ばれることが幸福への道とは限らないことなんて知っているはずなのに何故こんなにも打ちひしがれるのだろう。物語の中では幸福を俯瞰していたいというプレイヤーのエゴなのだろうか。

アリスとかアカシックレコードとか記号の無意味さ…とにかくヨツバ同様に困惑する作品だったがものすごい体験ができたのでプレイしてよかったと思う。ところでタイトル画面で流れている音楽が好きすぎる。
この作品に対して、わたしは受け入れたいとも思うが別に受け入れる必要はないのか…?そんな感じの感想しかでてこない。正直お高くとまってんじゃねえよとも思うし。(自分の理解が及ばないせいなので作品は全く悪くない)

意味なしアリスってマジでなんなんだと思っていたが続編を待てとのこと。今年でちょうど10周年のようだが音沙汰はないようだ…