責められゲーとして悪くない……が『STARLESS』と言う過去作が存在していることが最大の問題か。
惜しい、そして物足りない。そんな言葉がよぎってしまうのは、おそらく過去作である『STARLESS』を神格化しすぎているかもしれないのだけど、それにしても不満は残ってしまう。いや、客観的に見て、エロシーンの数はそこそこあるし、CGも美しいし、文章はちょっと奇を衒おうとして意味不明な文章になっているところを除けば決して悪いわけではないのだが、どうしても『STARLESS』と比較してしまうと”薄い”と感じざるを得ないのだった。まあ濃い＝正義というわけではないだろうし、むしろ『STARLESS』はマニアック過ぎてついていけねーよ、と言われている可能性も無きにしも非ずなので、薄いというのは決して悪いものではないのかもしれないのだが、『STARLESS』の、読んでいるこっちが精神的消耗を強いられるほどの濃厚な責められ描写の後では、今回のテキストはいかにも物足りないのだった。
あと、どうもヒロインのキャラが薄さが気になってしまった。イリーザや智子がどんなキャラクターなのか、読んでいてもさっぱりわからないのだ。主人公との関係がどのように変化しているのかもピンとこなくて、突然イリーザが味方になった時はびっくりしてしまった。唐突すぎるし、主人公も簡単に受け入れ過ぎる。イリーザのビジュアルは最高なのにもったいないなあ、と思った。キャラ立てと言う意味では、むしろ男連中の方が立っていて、序盤の頃の、主人公を含めた三人がバカ丸出しでイリーザの入力を覗きに行ったりするあたり妙に楽しそうで、なにやらほんわかした。このシーンで彼らに親近感を抱いたので、バッドエンド（？）の展開にはちょっと驚いてしまった。でも、女性キャラじゃなくて男性キャラで感情動かされるのは、エロゲとしては間違っている気もする。まあ、こういう描写を増やしてくれると個人的には嬉しいけども。
あ、でも、今回の凌辱者であるマイザール母娘のキャラクターはけっこう良かったと思う。まあ、エロシーンのほとんどが彼女たち手動で行われるので、そこで楽しそうに凌辱してくるこの母娘のキャラが立つのは当然とも言えるのだけど……。この人たちは、間宮の方々に比べると大分人間らしいというか、まともな人間っぽいところが好感が持てますね（間宮の人たちはモンスター過ぎて、むしろそこがカッコイイのだけど、それとはまた別として）。希美子さんは、麻理絵奥様の宇宙版と言う感じなんだけど、その娘の亜美はけっこう可愛げがあって、わりと萌えキャラじゃないかと思う。わりとふつうにツンデレっていうか（ツンが外道の領域だけど）。主人公もわりと亜美のことを可愛く思っている描写もあって、これでなんで亜美エンドがないのか不思議なところだ。マイザール母娘の奴隷になるエンドとか、ドMゲーとしては必須とも言えるものではないの？そうでもない？
まあ、そうした不満はあるけれども、エロシーンの実用性は高いし、全体的に見れば悪いゲームではないと思う。『STARLESS』と比較してしまうと、どうしても厳しい観方をしてしまいそうになるけど、あれはもう枠外と言うか、極北と言うか、比較対象にしてはいけない作品だとも思うしね。
あーそれにしても亜美のキャラクターをもっと掘り下げて欲しかったなあ。亜美の父親に対する感情とか、母親との葛藤とか、そういう面白そうな設定を垣間見せているにも関わらず、結局、本編中ではなにも起こらないとか生殺しすぎるぜ。まったく。