NTRの持つ玄妙な味わいを初めて実感させてもらったという意味で記念碑的作品
最近になってようやくNTRの良さに気が付き始めたにわかネトラレストの自分です。古参の方々、どうぞよろしくお願い致します。
さて、そんな自分がプレイしたこの『かがち様お慰め奉ります』は、すめらぎ琥珀氏の肉感的な、いやさ肉々しいと言ってよい美しい原画と声優陣の熱演によって、いまさら自分が語る必要もないほどにコストパフォーマンスに優れた抜きゲーでありつつも、自分のようなNTRゲービギナーにとっては非常にとっつき易い作品と言えます。
まず自分が入り込み易かった点は、NTRゲーでありながら、完全バッドエンドの少なさです。NTRゲーと言うのは(浅薄な知識で申し訳ありませんが)愛しいヒロインが間男とのセックスに溺れていく展開に終始するため、それを貫徹する場合はハッピーエンドに持っていくことが少なく、大抵は悲惨なエンディングを迎えることが多いのではないか、と言うのが自分の印象としてはありました。別に自分はハッピーエンド至上主義者と言うわけではなく、むしろバッドエンド好きであるくらいなのだけど、それでもNTRゲーに対する二の足を踏む感覚があるとすればそう言ったところにあったように思います。
それに対して、今作は寝取られることは寝取られるにしても、結果的に現在の関係性は変わらないと言いますが、(社会的、人間関係的に)完全な破滅を迎えるケースはごく一部となります。他人との快楽に溺れつつも愛し愛される関係は変わらなかったり、あるいは主人公が間男に対して一矢報いたり、別の女性を自分のものにしたりと、主人公側が完全に喪失を味わうケースが少なかった。まあ、人によってはヌルいという意見もありましょうが、自分のような底浅いNTRゲーマーにとっては、まずは安心してNTRを楽しめる作品になっているように思います。
そうした安心感の上で、ヒロインが汚い親父共の玩具になっていく展開の背徳感を味わうことが出来るとともに、作り手の持つ(NTRを普遍的エンタメとして描く)バランス感覚を称えたいと思います。シナリオライター側の、背徳感とエンタメの間を上手く渡ろうとする姿勢はもっと賞賛されるべきではないでしょうか。もちろん、自分の知らないところですでに評価されているかもしれませんけれども。
なんにせよ、自分にとってはこの作品はさまざまな意味で忘れがたいものになったように思います。今後、NTRというジャンルに目覚めたことによって、自分の人生にいかなる価値が付加されたのかも考えさせられますが、それはそれとして筆をおかせて頂きます。