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kiharuerogeさんのめいくるッ! ~Welcome to Happy Maid Life!!~の長文感想

ユーザー
kiharueroge
ゲーム
めいくるッ! ~Welcome to Happy Maid Life!!~
ブランド
ASa Project
得点
49
参照数
28

一言コメント

アサプロの原点。現在の片鱗も見せながらも昔っぽさも感じるのは良いが、メイド設定が活かされていなかった

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


メイドゲームとして本作に期待するのはあまりオススメしない。あくまでもメイドというシチュエーションを基にしたドタバタ同居コメディ。

アサプロっぽく、賑やかに共通ルートを描き切って、さぁ個別ルートへ!というところで息切れしている感じは、他のアサプロ作品とも大きく変わっていないから、ある意味では昔からアサプロってアサプロなんやな~と感じた。

☆シナリオ:26/50
決して悪いシナリオではないんだよな、依音ルート以外は。

まず共通ルートに関しては、結構出来は良いと思ってる。ボリューム感も問題無かったし、学園にメイドさんたちが実習に来てくれて、そこから色々あって共同生活をするという流れも分かりやすくて楽しめた。
メイドたちが一部戦闘メイドみたいな感じになっていたのは絶対人を選ぶだろうなとも感じたが、こういう無駄に変な展開になるのは昔の作品ってことでご愛嬌。

ただ、先ほども言った通りメイドものというよりは、ドタバタ同居モノっぽくなってしまったのは残念だったと思う。そもそもメイドが家に複数いることで、「ご奉仕」という概念が少し薄れてしまっていたことが原因かなとも思う。自分はそこまでメイドにこだわりがあったわけではないから楽しめたが、こだわりがある人は厳しい目で観ざるを得ないと思う。

残念だったのは個別ルート。
シンプルにボリューム感が少なすぎる。各ルート30分程度で読み終わってしまい、「もうED!?」みたいな感覚を味わった。自分は中古で1000円くらいで買ってるから別に何とも思わんが、これを新品定価で掴まされたら文句の一つもいいたくなるだろう。

内容としても、恋人になる過程がほぼ0であるため、恋愛ゲームとしては落第点。コメディとしては全然需要はあるが、個別ルートは割とシリアスな内容(記憶喪失、親の不幸)などがあるため、思ったよりも楽しい気分になれなかったのが残念だった。
とは言え、最低限の起承転結はしっかり守っているので、内容が崩壊しているわけではなく、しっかりと読めるシナリオになってはいた。

ただグランドルートっぽい依音ルートは少し厳しい見方をしている。そもそも記憶喪失というリリナルートでも若干擦られた内容があって、かつ共通ルートで全く伏線などが張られていなかったので、突如現れた設定のような形になってしまい、いまいち感情移入ができなかった。
依音の気持ちもあんまりよく分からない。「記憶喪失になったからそれ以降の自分は以前と別人」という感覚があまり理解できなかったのも大きいかも。
このルートに関しては、サブキャラの動きもイマイチ意味不明だった。なんで陣くんはメイドたちを雇ってまで主人公を止めようとしたのか…
解決方法も主人公があっさり励まして終了だし、結局何したかったんだよ…で終わってしまったのが残念。これが色々あるルートの1つなら良かったけど、グランドルート的な立ち位置だったから読了感も少し悪かったし、これなら他のメイドたちのルートの方がいささか内容は良かったように思える。

☆キャラ:20/30
アサプロらしいにぎやかなヒロインたちが魅力的だった。
キャラに関しては、共通ルートがそこそこボリュームあったため、割としっかり愛着を持てるようになっていたのはよかった。
サブキャラも妹の恵理栖を始めとして、いい味を出していた。てか恵理栖のルートをつくれよ…って思ってたらなんかミニFDみたいなのがあるらしい。

メイドたちはロリ、眼鏡、姉系、長門系と多種多様なキャラが揃っており、みんな魅力的だった。特にリリナは裏と表がある感じが可愛かったし、なんなら個別ルートでは幼馴染ヒロインという属性も手に入れて、最強ヒロインと化していた。
一方でセンターヒロインの依音は、賑やかし要因としては良かったものの、序盤から好感度マックスだったため、あまりそそられる存在ではなかった、個人的に。

☆グラフィック:1/10
ちょっとキツイ。
2007年の作品だから仕方ないかな~って思ってたけど、最近やった戯画のショコラ(2004)とかの方がグラフィック安定してたし、塗りやキャラデザもなんかCGごとに差があって統一感が無かったのが残念。
背景CGに関しては及第点だった。
ただこれは絵師の問題というよりかはグラフィックチーム自体が上手く統率取れていなかった感がある。
今のアサプロはグラフィックつよつよだから全然いいけど

☆その他:2/10
特に加点してあげられる要素がない。
もちろん、コメディよりで賑やかな作品だったのは間違いないが、恋0とかと比べるとギャグのキレも少し弱い気がするし、グラフィックも問題あり、システムも昔ながらで使いづらい。
他のアサプロ作品と比べて勝っている要素が少ない作品だなと感じた。

☆総評:49/100
別に本作、自分は嫌いじゃない。てか普通に好き。
でもこうして項目ごとに並べると、ハイレベルな作品でもなければ、ボリューム感も少ないためこのような点数になってしまった。

シナリオに関しては粗が目立ったが、とは言えコンパクトにまとめ切ったと言えばそうなので心の中でツッコミながら読む分には楽しめると思う。

変顔CGやメタっぽい発言なども、今のアサプロを構成している大切な要素なので、これらの土台を創り上げた本作にはリスペクトを持っている。

今も元気なブランドなので、これからもアサプロには期待していきたい。