これは人を選びそうな作品だと思いました。しかしBGMの「紅い瞳に映るセカイ」は神曲でした。
【シナリオ】
良かったルート順は真紅ルート抜きで 加奈=澪>鏡>つかさ でした。
鏡とつかさは本当にもうおまけ程度で、凡百の作品並という出来でした。
しかし反面、加奈と澪は良く出来ていて、特に加奈ルートの力の入り具合は一線を画していました。
肝心のTUREルートこと真紅ルートは他の方も書いているとおり、確かに良かったです。
じわりじわりと読み手の心を追い詰めていくような、そんな感じの演出は良く出来ていたと思います。
それまでの伏線の回収もそつなく行い、物語の整合性としては一応納得はできました。
しかし感情的な部分でどうしても解せないのが、主人公。
なんなんだよお前はって突っ込みたくなるような展開――というか真実に、一気に冷めてしまいました。
おかげでその後の展開に感情移入も共感もできず、ただ文章だけを頼りに「あぁそうですね」という冷めた心情で最後までやり遂げました。
ただ私は基本的にえちぃシーンは飛ばしているのですが、真紅とのソレはシナリオ的にもキャラ的にも気になったのでちゃんと読んでみるとかなり純愛分が豊富で、もし主人公に共感したりしてドップリと「いろセカ」の世界に没入していれば、それはそれは甘いシーンなのだろうと思いました。。
ということで真紅ルートを入れると 加奈=澪≧真紅>鏡>つかさ という順で良かったです。
【CG】
これはもう文句の付けようがない。
安定した立ち絵とCGは安心できるし、何より塗りが個人的には業界最高峰に美しい。
ですが敢えて不満点を挙げるなら、わざとらしいパンチラが余計だと思いました。
OPの最後の方に出てくる真紅と加奈と澪のCGで、澪のパンチラは「ないわ」というのが正直なところ。一応メインビジュアル(なのかな?)なのに、パンチラはいらないだろうと思わず突っ込みたくなりました。
そのほかにもわざとらしいパンチラが多く、せっかくのちょっと真剣なシーンでパンチラが出てくるとなんだか気分が萎えていきました。
WEBラジオを聞いて知りましたが、絵師の司田カズヒロ氏はパンチラを反対したらしいのですが、ディレクターの水間ホシひと氏がパンチラを強要したとか何とか……
【音楽】
OP曲の「アレセイア」は良く出来ており、歌詞もちゃんと作品に合っていると思いました。
BGMは「一言」でも書きましたが、やはり「紅い瞳に映るセカイ」が個人的にかなりツボでした。
効果音は違和感ないほどには無難だと思います。
【システム】
必要十分で細かいところまでちゃんと行き届いていました。
特に不満はなかったです。23.6型の画面(だったと思う)でもフルスクリーンにちゃんとなりました。
【総評】
私は攻略順が期待していないルートから始めるという「美味しいものは後で派」で、つかさ→鏡→澪→加奈という順でやっていったのですが、やはりというべきか、コンプ後にこの攻略順が最善だったと思えました。
加奈と澪のどちらかを攻略した後でつかさか鏡をやると、興ざめしてしまっていただろうなと思い、作品全体の構成を考えると、やはり徐々に盛り上がっていくというのが定石なのだろうなと思いました。
まぁメインビジュアル(っぽい何枚かのCG)でもつかさと鏡がいないのであまり期待はしていなかったのですが、やはりルート事の差が酷かったのは頂けなかったです。
そして真紅ルートで感動できなかったのが一番の痛手でした。端的にいってしまえば、まだ加奈と澪のルートの方が感動的でした。
という訳で、総評としては凡作以上、良作以下というのが私個人としての評価です。
主人公の事情を納得でき、さらに真紅との関係に納得・共感できたなら、人によっては神作になっていてもおかしくはない出来だとは思います。
前作「星空のメモリア」が期待以上の出来だったので、思わず同レベルかそれ以上を求めてしまったのがいけなかったのか、とそんなことを感じてしまいました。
誤字脱字があれば失礼を。