パッケージの醸し出すほのぼの雰囲気からのグロ。以下未プレイの人は絶対読んだら駄目なネタバレ。
すごいすごいって昨今陵辱、寝取られ、真っ二つ、死亡なんでもありのエロゲ業界でもメインヒロインの生首って初めてみましたよ。Tomak以来じゃないかなぁ。その生首に霊となったヒロインが対面するなんて、よくそこまで残酷なシチュエーション描けたなと変な感心をしてしまいました。
よくみるとゲーム開始時にグロだから気をつけろ的なメッセージがあるんですよね。事前に想像していたのは同居の妖怪たちと繰り広げるほのぼのラブコメみたいな感じだったので、ちょっと展開に驚きました。
シナリオ自体はおもしろく、ノリのいいボケとツッコミの会話、安定感のあるプロットで読んでいるのが苦痛にならず、先に進められました。伏線がしっかりと張ってあり、丁寧な話作りには好感がもてました。ただ、少し勘のいい人だと序盤で話の展開が読めてしまうかも。伏線がしっかり機能している証拠でもあるのですが。加えてミスリードの誘い方など上手さを感じました。先が読めてしまった人もびっくりできるように、ビジュアル的にインパクト大な生首演出なんだろうと思いますが、もうひとつ想像を超える展開か、もっと大きなエピソードにつなげて描いて欲しかったかなと思います。
他の方もおっしゃってますが、個別ルートが短く、大筋が共通ルートと共用で、ぶっちゃけ琴莉にどういう道を歩ませるか程度の違いしかないんですよね。タイトルそのままです(なないろないけど)。全部終わったあと、琴莉が霊として残ったエンドのその後の話でも出てくるのかなと期待してました。
琴莉に関するそれぞれのエンドはプレイヤーがみたいものと、ライターの描きたいものは別なんだろうなぁと再確認させてくれたような終わり方だったように思います。
気になった点としては、ご都合主義にみえてしまうもろもろの設定の甘さです。
鬼は主人の希望する能力と容姿で誕生させられるみたいですけど、それなら心霊絶対成仏させるマンでも作ればいいのに。だからそうじゃなくて、主人公の家に伝わる鬼は付与できる能力が決まってるとか制限を設けておけばよかったのにと思いました。一応、限度があるとされてるものの、かなりあやふやな感じで、成仏させるマンは冗談にしても、それに近いもっと直接的に役立ちそうな鬼つくったほうが良かったんじゃないの。霊に催眠をかけて成仏条件を満たしたように錯覚させる能力とか?ただそんなんで片っ端から成仏させていっても、間違いなくおもしろくないでしょう。だから制限の条件をもっとスマートにしてほかったんですよね。
鬼が物理干渉できるのも制限しとけば良かったのにと思います。たとえば、犯人の家に行って遺体の写真撮ってくるぜ、でも鬼だとカメラは心霊現象で無理だぜ、だから主人公が行くぜっていうのは、なんでそんな無駄なことするのか理解できませんでした。そんなことしなくても、鬼を忍び込ませて小火を出し、消防隊員突入させるとか、生首を家の窓際に置いといて通報するとかやりようなんかいくらでもあるはずです。逆に主人公が認知したことのない場所には行かせられないとかの制限を設けるだけでも良かったんですよね。
捜査に関しても、鬼たちの力をつかって情報を集めロジックで向かっていく雰囲気を作りながら、運と偶然で事が運びます。一応、座敷わらしのおかげかなって推論も入るし、それらの行動のおかげで次が開けるわけなので無駄ってわけじゃないんですが、どうしても都合がいいなってみえてしまうかなあと思います。せっかく捜査、探偵向きの能力の鬼を作ったのに、勝手に手がかりが転がりこんでくるんじゃ、面白味が半減してしまいますよ。
細かいツッコミはまだありますが、大きく気になったのがこの辺です。
ある部分では手放しで理屈を放り投げていながら、ライターの持っていきたい方向のためには鬼はカメラをつかえねーとか、霊は精子うけつけねーからとか、変な制限や小理屈が多くなり、都合のいい印象を持ちました。
個別ルートはおまけみたいなもので、特に琴莉以外は数合わせみたいな感じでした。見せ場もあり、短いながらもしっかりとしたシナリオなんですけれども。それも含めて、全体的に人物の描写が薄っぺらいところはあります。
主人公も大学で何やってんだか、どういう人生を歩んできたんだかもわかりません。あっさり御役目を引き受けてしまって、ちょっと想像をすれば、つらく悲しい体験が待ってるとわかりそうなものなのに、ほとんど否定的な感覚もないんですよね。どういう人なんでしょ。人物や物語に厚味を出すためにも、ここら辺は描写を増やしてもらいたかったです。
座敷わらし兼幼なじみも、昔の思い出なんてほとんど語られないし、個別ルートはおまけのおまけだし、人気の出そうなキャラのわりに、いろいろ損してそう。端々で主人公のことを心配したり、目にかけているのは伝わるんですが、それらをこってり描いたエピソードを用意してもらいたかったです。他のキャラクターにもいえることです。
由美にいたっては過去の経緯が主人公の口から簡単に説明されるだけで、挙動不振な態度から入り、鬼の説明をしたら怒り出し、その行動に無理はないんだけど、こっちが由美のことを好きになれるエピソードを先に描いて欲しかったかなと思います。感想書いてて思いましたけど、本当にかわいそうだったのは琴莉じゃなく、これらのおまけヒロインたちかも。
犯人もステレオタイプなモブで、それ以上でもそれ以下でもなく、もっとどうにかならなかったんでしょうか。犯人に迫っていく緊張感や対決の緊迫感、犯人に対する怒りなどもイマイチ盛り上がりませんでした。まぁ対決シーンは、主人公たちが黄門様化してて、緊迫感より爽快感を優先させてるところがあるんですが。ある意味こんなんに殺されてしまった被害者たちの無念は伝わってきました。
泣きのエピソードも多く、こっちも泣く準備ができてるんですけど、琴莉以外の描写不足でもうひとつ感情移入をさせてくれなかったような気がします。個人的には序盤の犬の成仏シーンがピークかなぁ。
結局、琴莉成仏でシリーズものの第一巻みたいな感じで、何かいい意味でも悪い意味でも物足りなさを覚えました。
エロシーンの絵がエロく、この手のシナリオゲーにしては意外でした。
Mおじさんは反則だ。大笑いしました。昇天キックのネーミングも。
伊予の顔芸にも笑ってしまいました。
琴莉はただ殺されてただけならともかく、死後されたことを考えると個人的には鬱ゲーです。
鬼たちはちょっと狙いすぎですね。みんな系統がバラバラなので、誰かしらがツボに入るかもしれません。
さすが精液で鬼を従わせてるだけあって射精量が。あんなお預けしなくても1日交代でエッチしてやったらいいのに。
自分の中でシルキーズ=抜きゲーという単純な式が成立していたのですが、この作品はいい意味で裏切ってくれました。この路線を支持します。ただ次はもうちょっと優しい話がいいなぁ。
いいゲームでした。