OPみて期待するような、ダサかっこいいキャラ同士のスカッとするバトルものではなかった。
無印はやらずに遊びました。無印のときから存在は知っていてポンコツっぽいロボットが気になっていたものの、評価の微妙さがあってスルー。今回はOPをみて、変なポーズを取ったくわえタバコのおっさんに心をえぐられ、プレイする気になりました。
無印をやらずに始めたので、旧ルートにどういった演出が加わったのかわかりません。ただ、無印までのルートをクリアして、こりゃ無印プレイした人の大部分が不満を持つ内容だったのは納得。中盤くらいまでは異様におもしろく、どうしてこんなに評価が低いのか疑問に思いつつ。
女の子を守れる力をもった正義のヒーローになりたいと願った少年が、全ての記憶と引換えに、漫画のキャラクター「ストライカー零」になるというメタ展開。メタってオタク業界で流行ってる感がありますけど、上手くつかえないとおもしろさを減じちゃうんですよねえ。
主人公、それに対してお隣の先遣隊、同居人のジャックなど設定はほんとに良かったです。それで中だるみもなく、ぐいぐい読み進められました。ただ、おもしろいのは日常までで、話の核心部にいくほど、不満が積み重なり。たとえば、先遣隊とのバトルのほとんどが小手調べといった感じで、それぞれのキャラが出てきて能力をみせて、ちょっと戦ってはい終わり、といった感じ。おいしい活躍もするキャラもいますが、掘り下げが全然できてないので、イマイチのめり込めない。それがこの作品の全てにいえることで、おいしい場面は多数存在するのに、過程がきちんと描けていないので、味の足らないシーンに仕上がってしまってる。
ほんとうに、ほんとうに残念だったのは天(イチロー)の存在。初登場時、ミラーをも圧倒し、どれだけの活躍をみせてくれるのかと思ったら、カーチスとの戦いには参加せず、さやかを守って無抵抗でフルボッコ。バトルはそんだけ。追加ルートにも登場はしますが、冒頭で切り刻まれ敗退。
烈も無印だけだと、登場→零に新しい力を渡す→退場。OPにまで出張って、あんだけ期待させといて、これ。なんなの。まぁ、烈に関しては追加ルートでそれなりに出番はありますが。
無印グランドルートの空の章は、なんというか、なんというか。突然主人公がミラーとミラーの中にいるヤマトに交代していまい、実春奈もそっちにとられ、軽いNTR感。
また、ウルトラマンに最初からスペシウム光線つかえよ、と野暮なことはいいたくないけれど、つっこみを入れたくなるルールの矛盾も多数。
思い出と引換えにどんな願いも叶える思い出コレクター。案外簡単に現れ、しかも他人に無理やり契約させて、自分の願いを叶えることもできる。思い出といっても、個人の、楽しかった思い出とかそんなんで強大な力を得ることができるので、それじゃバランスがとれないでしょとつっこみたい。思い出コレクターの力があれば、いまごろ世界は誰かにとっくにめちゃくちゃにされているはず。
また、一度契約した記憶はコーヒーと混ざり合うミルクみたいなもので返すの無理、といった先で、結城ヤマトの記憶を落としてしまったのが原因で~と説明してるんだけど、いや思いっきり、コーヒーとミルクが分離してるやんと。
ミラー大佐はルートによっては先遣隊各メンバーの力をつかっているのに、自分が主人公になるルートだとそれつかってない。
記憶、記憶、といっておきながら、その記憶は人格そのもので、コレクターの倉庫から抜け出すと実体化までするっていう。ミラーの中で話しかけるし、ヤマトの記憶はまだそれまでの全ての記憶だから人格をもってる感じになっても納得できるところもあるけれど、春奈の記憶はヤマトに関する記憶だけなのに人格もってしゃべって動いてもなぁ。それに記憶と人格って別のものだと思うんだけど、記憶を奪われたらいきなり人格も変貌してしまうのも、なんか持っていきたい展開のために都合がいいようにしたなとしか。
空の章でも、光の章でも契約解除したことで、ヤマトたちは漫画の世界に戻って消えてしまうんだけど、ヤマトの肉体はじゃあどこいったんだという話で。
ミラーは強大な力の代償に心臓を病んだ、という設定で、それが強化人間の限界であって、真に最強の強化人間になるためには人工心臓を手に入れなきゃならないという話なのに、強化を繰り返し、ミラーすら圧倒するカーチスは健康体そのもの。
天、鋼ルートでストライカー研究所にあんだけ固執してたカーチスはなぜ光の章ではそれをスルーなのか。
空の章で自分の記憶を春奈に移植してくれと思い出コレクターに頼み、それを受ける思い出コレクター。それじゃ思い出コレクターの手元に記憶は残らないのに、それもありとか……。
敵が仲間になった途端に弱くなるのは、まぁ早打ちスペシウム光線かなw
他にもつっこみどころがたくさん。ライターの都合のいいように設定がころころ動いてる。半分しらけ、半分もやもや。
超で追加されたルート。ヒルコルートはFDのようなストーリーで、あれはあれでFDだと思えばありだけど、天→空ルートみたいなものを期待すると肩を落とすことになると思います。物語の最後に影がさすのは残念ですが、ヒルコに萌えたい人には満足できるんじゃないかとw
鋼の章のヒロインふたりは、どっちを選んでもほんの少しエピローグと途中が変わるだけ。で、最終の光の章の過程の話なんで、イマイチヒロインになりきれた感じがない。
光の章は物語の最後を締める章として十分なデキ。ただ無印での、いわば礎石がグラグラしてるので、やっぱりおいしいシーンがイマイチ機能してないような気もします。それから、このエンディングはこのエンディングでいいんだけど、選択肢も欲しかったです。みんながこの世界に残って平和な日常を謳歌していく。それをヤマトも残されたメンバーもいったん受け入れていたのに、簡単に手放してしまう。う~ん。天の章で天の今回はこうなっちゃったけど、みんなを助けるって選択肢を忘れるなよ的な話の伏線はなんだったのか。
そもそも子供ヤマトは単なる記憶であるはずで、零であるヤマトはヤマトがストライカー零になったもののはずなのに、記憶がないというだけで、別人扱いみたいのも納得がいかない。
他に不満点として、
・ジャックって何者なのかと。驚きの攻略なし。どうみても零以上の力がありそうで、全ルート終わらせても、まだまだ力の全てを出し切った感じもない。師匠が思い出コレクターの力で忍者になったらしいけど、どうして一般人であるジャックがあんなに強いのか。そして、火のやつと戦うところ以外、ほとんどバトルが描写されることがなく、敵を分断する、罠をしかける(が、その後罠について触れられもしない)、棒手裏剣を投げる役目の人。日常の賑やかし要員だったわけですが、こんな中途半端な扱いにするなら出すなよといいたいくらいです。本名メリーでいつか攻略できるものだと。
・システムも使いにくかった。構造上スキップに頼るようになってるのに、話と話の間でセーブするかどうか聞いてくるのでスキップが止まる。またアニメのあとでスキップが止まる。たぶんシステムから設定変更できないと思う。またシステムを呼び出すのに、いちいちシャッターが閉まるような演出が入るので、少し手間がかかりイラっとする。
・全ルート共闘。共闘を前提として、関係を築いていったような感じがありますが、そればっかりじゃ複数ルートのあるゲームの意味がない。子供ヤマトの記憶がとりつかない、漫画の設定通りの最凶最悪のミラー率いるバルボラ先遣隊との死闘をみたかったし、それがあってこそ、共闘したときの感動が引き立つと思うんですが。
・どうして巨大ロボットvs巨大ロボットじゃなかったのか。あれは完全に天ルートのアレが出てくる展開でしょ。そのためにさやかが向こうに残ったんじゃないのか……。わかってない、ほんとにわかってない。
ほとんど不満点になってしまいました。実際、プレイ後、満足感より不満点、もやもや感ばかりが残りました。最高の設定とOPがありながら、どうしてこんなことになってしまったのか。無印だけなら60点といったところです。