絵の質に関しては既に保障されているようなモノですが、システム、ストーリーについては地味と言わざるを得ない。
登場人物同士の会話が極端に少なく、物語全体も起伏に乏しい。キャラクターに思い入れを感じて面白い物語をプレイしたいと言う人にはお勧めできないでしょう。特殊な設定はあるものの極めて現実に近い世界で、なんとなく悩みを抱えている主人公の日常を追ったゲーム、といった感じです。その特殊な設定をどう捉えるかでこの物語の価値は変わってくると思います。主人公は話上手でいつまでも悩んでいたりする性格ではないので、鬱になる話はいやだ!という人でも問題は無いはず。文章主体のゲームの中身を物語の動き、登場人物の内面の動きに分けるとすると、このゲームは後者を重視されたものであると言えるでしょう。しかし、話自体がとにかく主人公の内面に関わるものなので主人公に共感できる部分が全く無いとすると、楽しめる部分はほとんど無いのでは。
システム面も充実しているとは言い難いですが、これ以上の機能が必要だとは特に感じなかったので問題はないかと。ただ、メッセージスキップの速さは感動的ですらあり(笑)一瞬キーを押しただけでもクリック5回分位は飛びます。なので、繰り返しプレイにもあまり時間は掛かりません。
総合して、良くも悪くも淡白にまとまった作品ではないかと思います。CARNELIAN先生の絵が好き、という人でないと厳しいかもしれません。Hシーンは少なく、無いキャラすらいるのでCARNELIAN先生と聞いて「顔の無い月」等を連想する人は気を付けて下さい。