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kesikasuさんのできない私が、くり返す。の長文感想

ユーザー
kesikasu
ゲーム
できない私が、くり返す。
ブランド
あかべぇそふとすりぃ
得点
91
参照数
648

一言コメント

詩乃√のためのゲーム。逆に言えば、詩乃√が合わなければ評価は真逆になってしまうのかなと。また、細かい設定のあらが気になってしまう人もあまり楽しめないのではないかと思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

名作とは言えないが、詩乃√に関して言えば、非常にいい話だった。
詩乃√以外も、ゆめ√を除けばまずまずの出来だった。

CGはなかなかに綺麗で、音楽もOP・ED・BGMどれも質が高く、特にOP「Re:Call」はRe:Call√クリア後に聞くとまた違った一面を見せ、思わず涙が溢れてくる、そんな良曲だった。

以上のことから(良い点のみを挙げたのだが)、私はこの作品を購入してとても良かったと思っている。

少し曖昧な点、不満な点などの詳細を以下に記すのでネタバレ注意。





















プレイ中に1度は気になってしまうのが「時間は巻き戻せるが、未来は変えられない。」という言葉の「未来」が何を指すかということ。
確かに詩乃の死は変えることができなかったが、Re.Call√での詩乃の発言は1周目(詩乃√)とは大きく変化しているし、陸に対して抱いている感情も1周目とは全く違っている。
さらに気になるのは、もし未来が確定しているのなら、篤史と香澄の仲は陸の時間遡行がなくても自然と近づいていったのではないかという点だ。
おそらく前者については、最終的その日にに死ぬ運命は変わらないという意味で未来は変えることができないという言葉を使ったのだろう。
しかし、後者については明らかに説明が足りていないというか、寧ろ作者がそこまで考えていないのではないかとしか思えない。
このことを考慮するなら、「時間は巻き戻せるが、時計の持ち主が1度体験した未来は変えられない」という表現のほうが適切だったのではないかと思う。

ここまで時計の設定の曖昧さについて書いたが、自分の中では時計に対する疑問はある程度解決しているため点数を下げる要因とはならない。



それよりもこの作品の1番の問題点はゆめ√である。
ゆめ自体のキャラクターは良いのだが、話の山場を作るために美羽という人物を強引に押し込んできたところが非常に良くない。
美羽が出てくるたびに、とても微笑ましいとは言えない罵詈雑言を、これでもかとばかりに浴びせられるのでは流石にプレイヤーとしても参ってしまう。
さらには陸の去勢を示唆するような発言や、ゆめへの虐待など、とことん不快キャラとしての道を突っ走っていく姿は、驚愕を通り越して呆れてしまうものだった。
ただ、ここまでならただのウザキャラで説明がつく。
ゆめ√の何がいけないのかというと、その後ゆめと美羽で3Pに発展する点だ。
正直、こんな最低キャラとのHシーンをあの話の流れで持ってこられると非常にきつい。
さらに、「ゆめとHした一物で美羽とHをすればゆめと美羽が繋がったことになる」という謎理論もあまりに受け入れがたい。
もう少し上手いやりようがあったんじゃないのか…と感じずにはいられない√だった。


もう一つ、少し不満な点を上げるとすればHシーンの少なさだが、抜きゲーではないしこの点についてはこれ以上言及しない。



以上、気になる点や不満な点を書いたが、やっぱり1つでも良い√があるとそれだけで買ってよかったと思ってしまうのも事実。
システムにも不満はないし、結果的に見れば良作なのだと思う。