青臭く、泥臭い物語
なんともまぁ、青春なストーリーだった。
「雲の回廊を渡る」という目標に向かっていくソアリング部の頑張りを追っていく一本道の話なのだが、ルート分岐を入れることで、それぞれのモーニンググローリーに対する想いが見られて、多面的に物語を楽しむことができた。
主人公がヘタレではなく、自分から行動して状況を変えていこうとしているのも良かった。
「かみのゆ」と並び、今年のエロゲの中でも好感の持てる主人公だった。
音楽も美しく、場面に会っていて、気分を高める効果を存分に発揮していた。
背景もminoriに匹敵するぐらいキレイだったと感じた。
マイナス点としては、些細なことだろうが、Hシーンで主人公のケツや股がアップになったCGを見せつけられたことが挙げられる。
女の子の裸が見たいのに、男のケツを前面に押し出されては、萎えてしまってしかたなかった。
まぁ、個人的に気になっただけだし、それ以外は特に不満点も・・・。
いや、あった。
あげはルートの物足りなさと、ほたるを攻略できなかったことだ。
パッチでアフターストーリーをやったとはいえ、ファンディスクでもっと深く掘り下げてもらいたい。
そして、ほたる、朱莉さん、佳奈子さんを新ヒロインとして、また新たな物語を紡いでほしい。
節に願う。
どのルートも同じような結末なのにダレずにプレイできたのは、まさに紺野アスタ氏の力量だろう。
特に小鳥ルートは、なんだかむず痒くなってくるようなやり取りや、足が不自由でも空を飛べるんだという強い気持ちが丁寧に描写されていて、非常に完成度の高いシナリオとなっていた。
朝妻ユタカ氏が退社して初めての作品になったが、これからのPULLTOPを支えるのは、この人になるかもしれない、そう思えた。
今後もPULLTOPには注目していきたいものである。