色々と間違っている作品
良いか悪いかで問われれば良い作品と答えるが、限りなくグレーゾーンに近い。ユーザーとクリエーターでの認識の違いが多分に生じている作品というのがプレイ中あるいはプレイした後の感想になる。
以下、認識の違いについての見解を述べる…あくまで個人的な見解なので不快に感じる人もいると思うが。
【①:主人公】
主人公のヘタレさは十分に許容範囲だったが、気になったのは主人公の「魔王」EDが極端に少なかった点。総勢16名(ディーネ、ジーナ除く)のエピローグで明確に魔王確定したのはリュアナとエヴァンだけというのは少なすぎ。
明らかにベクトルがズレている作品でない限り主人公はユーザーの分身と思うし、エロゲーという非日常的な世界であっても感情移入できる(あるいは感情移入したい)主人公が求められていると思う。その点、日常シーンのヘタレさは言い換えれば人間味に溢れていたので、求められるのは時間経過に従っての主人公の成長ではなかったのだろうか?タイトルが『「絶対」★魔王』ということも踏まえると、肩透かし感が大きかった。
【②:メインヒロイン】
メインヒロインのシナリオはすべて面白くなかった。リュアナ√は周囲のキャラがウザかったし、優希√は頭おかしい女の話といった感じ。セルシア√、エスト√はどっかからのテンプレ風だし、エヴァン√は他に比べて明らかにボリューム不足。
対照的にサブヒロインは面白かった。『魔王』に拘らなければシナリオはそこそこの出来だったと思うし、ユーメリアあたりは明らかにギャグに走っていて笑った。
個人的に「メイン<サブ」という構図だったため、メインヒロインの価値が見出せなかったのは残念。姉妹ブランドの流れに沿って声優は文句なかったので、攻略対象を広げるぐらいならメインシナリオに尽力を注いで欲しかった。
【③:√開放キャラ】
クーデルカ√自体は悪くなかった(むしろ個人的には好きな部類だった)が、何故あえてクーデルカだけなのかとも思った。キャラやシナリオの設定を考えれば、個人的にリュアナ攻略後のアンジェリカ√開放こそ自然と思うのだが…クーデルカだけ差別化を図った意味が理解できない。
【④:システム】
攻略対象が多い分だけ共通√が長くなるのは仕方ないと思うが、それならばスキップ機能を充実させろよという話。製作側は一人で全キャラ攻略をする(予定)のユーザーの身になっていないんだな、と。
システムとは少しズレるが、女子寮の部屋の内装がユーメリアを除いて全く同じだった点や『恋姫』の森や滝を流用している点には腹が立った。フルプライス以上で容量も6GBあるんだから、細かな部分であっても手を抜かず期待を裏切らないで欲しい。
【⑤:アイテム閲覧(おまけ)】
製作側の若手育成はわかるが、せめて声をあてて欲しかった。何の価値もないオマケにユーザーとしてはお金を払う義務は無いと思うのだが。
下手な小細工をするぐらいならエンカウントモンスターの紹介ページでも作ったら良かったのに…少しは迷宮探索する意欲が起きたかもしれない。
周囲の評価ほど悪い出来ではないと思うのだが…個人的には色々と間違っている作品だった。