何をしなければならないかでは無く、何をしたいかを前向きに考えろって事でしょうか。
この作品のヒロインはどこか義務的に生きているように感じました。
自分以外の何かの為だとかそうしなければいけないからだとか、義務を運命に変えて半ば自動的に思想を掲げています。
未来は書きかえれない。例えば今日私が忽然と仕事をやめたとしても書き換わったことにはなりません。
それなら何を書き換えるのか?
運命とは何か。
鍵を守らなければいけなかった小鳥。
鍵を殺さなければいけなかった静流。
鍵を発動させなければいけなかった朱音。
一応同じ立場のちはや。
(ルチアルートは他ルートと世界観やキャラクターが著しく異なったので、Moon、Terraをそのまま楽しむ為にスキップしました。時間がある時にプレイしたいと思います)
皆何かに捕らわれて生きているんです。
正しく義務。自分の為に生きていません。
彼女達の生き方を変える事こそが、運命の意味を変える事こそが、Rewriteだったのではないでしょうか。
コタロウが選んだヒロインは、まるで呪いのように目的が果たされなくなります。
鍵を守る小鳥も、鍵を殺す静流も、鍵を発動させ人類を自分とともに滅亡させようとした朱音も、まあ一応同じ立場のはずだったちはやも。
静流ルートでは、朱音の目的は果たされたと言えるでしょう。
小鳥ルートとちはやルートでは、静流の目的は果たされたと言えるでしょう。
小鳥の目的だけは難易度が劇的に高いので良い形では達成しませんでしたが、まあ鍵が殺されずに発動すれば一応達成になるのかな?
コタロウが傍にいなければ、まあ悪くない確率で義務が果たされるのです。
しかし、該当ヒロイン以外の義務が達成されたキャラクターは該当END後幸せだと言えるでしょうか。どこかの誰か以外の何かに、なれたでしょうか。
個別分岐後、コタロウは誰かのための自分である為に尽力しました。
何処の誰にもなれなかった彼はサークル崩壊後、誰かの為の自分であることから始めるのです。
それは同時に相手が自分の為の誰かある事を切望する事であるので、まあ結局は自分の為ですね。自分がどうしたいか。どうなりたいか。その為に何をしたいか。
コタロウのそれは思想では無く思考であり、組織にとってはただの不純物です。
多分そのせいでヒロインは背負っている義務のいくらかを失ってしまいます。
コタロウの怪我を背負った静流、未来都市を残してしまった朱音、まあ一応あっさりと組織を裏切ったちはやも。
小鳥だけは最後まで逃げようとしましたが、結果的にガイアに保護されなかった鍵は殺されてしまいました。
ただ個別END後、各ヒロインはしたい事を出来るようになったのでは無いでしょうか。思想を思考に変えれたのではないでしょうか。義務に負われた運命を、変えることが出来たのではないでしょうか。
個人の印象になりますが、プレイ中なんでこんなにちはやには魅力を感じないのだろうと疑問に思ってました。嫌いなわけでも邪魔くさいわけでも無く、ひたすらに存在が薄いキャラクター。
コタロウがヒロインの生き方を書き換える役割を持っているとして、書き換えるはずのヒロイン(ちはや)が生き方に捕らわれていなければ、そのヒロインは役割を与えられていない事になります。
多分、だからこそちはやルートは咲夜ルートになっていたのでしょう。
・小鳥ルート
個別ルートで一番好きなルートです。
振った者と振られた者特有の距離感が非常に丁寧に描写されていました。
いつものロミオ通りに一周目と二周目で印象が変化し、二周目は小鳥の母性がガンガンと伝わってきます。
・朱音ルート
2番目に好きな個別ルート。
小鳥ルートでも感じましたが、今までのkey色というか麻枝色とは違い、汚いものも描写されています。
麻枝シナリオを書かせたら麻枝を越える者はいないと思うんですよ。誰がやったって劣化版麻枝になってしまう。
リライトはそこに懸念がありましたが、ロミオはkey色の中にしっかりと自分の色を混ぜてくれました。
これもまた二周目で気づいた事ですが、朱音が吉野に厳しかったのは、自分が保護しているコタロウを敵視する存在だからでは無いでしょうか?
個別に入ってコタロウが頼った時の事も考えると、朱音もまたコタロウに母性めいたものを持っていたのだと思います。
・静流ルートとちはやルート
両方とも試験的なシナリオに感じました。
入れたいものを多く入れて、補強するように出来事の繋ぎを書いているような……。
やりたい事を多くやってると感じているのにも関わらず何故挑戦的に感じなかったのかは自分でも解りませんが、もしかしたら詰めすぎた結果感じる物が少なくなったのかもしれません。
スピード感溢れるシナリオは、多分キャラクターを自分のものにしなければ難しいんだと思います。
ルチアルートは少し自分のものにしすぎた感がありしましたが、ちはや・静流ルートは逆に借り物感すらあります。
小鳥・朱音ルートは他のキャラクターを排除することによってヒロインを掘り下げていましたが、勢力が対立する物語であれば他キャラクターも書いた方が臨場感は出るはずです。
今の状態でも充分に楽しめましたが、そういったライター同士の遠慮が無ければもしかするともっと良いものになっていたのかもしれません。
・terra
一番好きなシナリオ。というか、terraでのコタロウが一番好きです。
鍵を見逃さなければ各個別へ繋がり、見逃せばもう一つのルートに突入すると解釈したいのですが、咲夜の存在がそれを難しくしてますね。
ここから繋がるちはやルートは多分咲夜のいない世界になっているので、このパターンでのちはやルートを見てみたいです。
咲夜がいなければちはやもヒロインらしいヒロインになっていたのではないかと思います。(殺されていなければですが)
・おっぱいEND
すごくふざけたノリですが、結局はこれがすべてなんですよね。
環境保護では無く、本能のまま分布し開拓をしていく。
魔物使いが持つネガティブシンキングは、地球で生息する人間種が限界近づいていることによって起こるシンクロニシティなのかもしれません。
みんなポジティブにおっぱいおっぱい連呼して、本能のままおっぱいに似た星に移り住めば結果生命が抱えた問題も解決出来ますし。
前を向いて生きろという簡単なようでひどく難しいメッセージを感じました。
これはあくまで願望ですが、吉野が母親をママンと呼ぶことやアウトロー気取りながらも学校皆勤なのは、塾っ子時代の吉野を不良から助けたアウトロー(コタロウ)の教えの影響……だったらいいなぁと思っております。