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kazu28シュトラッセさんの時計仕掛けのレイライン -朝霧に散る花-の長文感想

ユーザー
kazu28シュトラッセ
ゲーム
時計仕掛けのレイライン -朝霧に散る花-
ブランド
UNiSONSHIFT:Blossom
得点
98
参照数
533

一言コメント

三部作の最終作。おまるの「ここまで来るのに色々あったんだね」という台詞は感慨深く、忘れられない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

今作の個人的評価が高くなった理由として、私は「待たなかった」ことが大きかったと思ってます。
前作「残影」からリアルタイムで二年間待たされたユーザーさん方は、レビューを見ても大体分かるのですが、
それはもうモヤモヤしたことでしょう。
ですが、よほどのひねくれものではない人は皆、高評価の印を押しています。
これは二年待たされた不安と期待を吹き飛ばした今作の完成度からもうかがえます。
私が一作目から指摘していたことですが、レイラインシリーズはミステリーノベルとしては些か展開というかインパクト度は控えめ、弱めです。
ですが、物語を急かさせず、一回一回整理しつつ慎重にシナリオ進行していった部分については、
置いてけぼりを喰らう最近のライター自己満足型作品と比較すれば、いかに丁寧なシナリオだったのかがよくわかります。
シナリオの内容について色々細かく賛辞したいところでしたが、
ysm0624氏をはじめとする高評価レビューをしたユーザーさん方が自分が書きたかった事を全て代筆して下さったのでこの部分は割愛。
代わりにキャラについて少し感想を。
メインヒロイン憂緒ことモー子はやっと今作でデレましたね。嫉妬しまくりで可愛い。
後、ふひとちゃんも可愛い。中の人の演技とキャラがホント良くマッチしていたと思います。良い意味でいやらしい萌えキャラtop3に入ったくらい。
さらに、小太郎ことおまる。今作は出番が少なめとはいえ、ここぞという場面で登場して、おいしい所を見事もっていきましたね。
過去と現在の境界線での別れのシーンは思わずウルウル…
しかしその後、20年後のおまるとあっさり再開でオイィィィとずっこけました。でもこのシーンもなんだかんだで好きです。
ミステリー作品に必要な「悪役」というキーパーソンは居るっちゃ居ますが、実際は、
その要因たるホムンクルス(雛、ふひと、聖護院)という人外的存在の、思惑のズレによるすれ違い行動であったことが今作で明らかになり、
悪意をもって悪事を働こうとした完全なる悪役というのが居なかったのは良かったです。雰囲気大事。ここんとこメーカーさん分かってる。
繰り返しになりますが私は「待たなかった」というのがやはり大きかったと思います。
一気にプレイできたからこそ世界観に馴染めましたし、レイラインという物語を楽しめました。
三作分の感謝を込めて98点という評価をもって今作の感想の了とします。ありがとう。