よく作られた世界観とシナリオ。やや駆け足気味な展開で、見せ場においてもさらっと話が進んでしまうのはもったいなかった。見せ方によってはもっと高評価を得られた作品だと思う。
ゲーム版とアニメ版の違い(※ゲーム後にアニメ版を見て感じたことメモ)
ゲームではアドベンチャーパートで同時進行していた話がアニメでは分離され、話の流れがわかりやすいようになっている。
アルルゥ・カミュ・ユズハの3人がムックルに寄り添って眠るシーンは、その後に侵攻されて多くの死者がでる展開を前に平和なひと時をうまく演出し、儚さを際立たせている。
追加されたカルラがアルルゥに花で首飾りを作るシーンや、思い悩むハクオロをエルルゥが気晴らしに外に連れ出すシーンなども同様で、新たに日常シーンに取り入れたことでいい味がでている。
戦においてカルラとベナウィが実力もあり、優遇されている。
その分オボロの出番がゲームに比べると減っているが、全く歯が立たなかったベナウィとの本組手で惜しいところまで攻めるなど見せ場も用意されている。
18禁から一般向けのアニメに変わったことでシーンは全てカットされている。
病気で長く生きられないユズハは生きた証が欲しいという件から、原作では他界するも唯一子を授かったが、その話もアニメではカットされている。
カルラの契約の話自体はカットされなかったのはよかった。
・普段はトゥスクルをババアと呼ぶヌワンギが、暴走した部下がアルルゥを刺そうとしたのをトゥスクルが庇い傷を負った時の「バァちゃん!」と叫ぶセリフなし
・ササンテの隠れ強者設定カット ゲームではヌワンギを囮に逃げようとしたあげく母親と同じで使えないやつと言って逆上されて殺されるがアニメではあっさりハクオロに戦いもせずに殺される
・ユズハのいる隠れ里へ行くシーンで目隠しされない
・オボロ ベナウィと遭遇するシーンで自ら身を隠す隠密の外套を脱ぐ
・ハクオロが寝室でカミュと初めて会う前に湖で飛ぶカミュの姿を見ている
・カルラ加入の際の決闘がオボロではなくベナウィに
・テオロが亡くなった時のエルルゥの泣くシーンカット アニメでは泣くシーンは映らず、その後の泣き叫ぶアルルゥを薬で眠らせる姉としての強い部分のみが映る(ハクオロが気遣って同じ薬をあててエルルゥを眠らせた)
・抜け道(橋)での決闘 ゲームではトウカが自らの剣で橋を落としてしまいうっかり者の片鱗を見せるが、アニメではカルラと戦ったのちカルラが橋を落としている
・自分は何者なのか?と思い悩むハクオロをエルルゥが気晴らしに外に連れ出すシーンの追加(アルルゥとムックルもいっしょ)
・國でチャンバラをして遊んでいる子供たちがハクオロに膝をつき、「僕らも早く強くなっていっしょに戦えるようになります!」というシーンの追加 エルルゥが「みんなが大きくなる頃にはもう戦はなくなってるわ。だから戦う必要なんてないの。ね?」と言うと、ハクオロも「その通りだ。みんなはお父さんお母さんを助け、暮らしが元通りになるように頑張るんだ。」と返している
・オボロとベナウィの本組手→酒盛り 戦の暗い雰囲気から一変明るい日常の雰囲気へ
・デリホウライの一件が終わった後のカルラの夕暮れのCGのシーン短縮。ゲームではデリホウライを一目見ることもせず屋敷で外を見ながら座って佇むカルラを見つけたハクオロに昔話を例え話として語った後、「私はカルラ。あるじ様の…貴方様だけの所有物(もの)…それ以外の何者でもありませんわ」と契約に自らを捧げた身としてセリフを発した後、本心からハクオロに「サハリエ・ナトゥリタ(私の愛しい漢)」と言っている。対してアニメ版では、デリホウライが帰る所を遠目に見るカルラに「今行けばまだ間に合う。一緒に行ってもいいんだぞ?ただ一人の肉親なら尚の事」と言うハクオロに「あるじ様は勘違いしていますわ。ここに居るのはあるじ様に仕えるカルラという名の一人の女、…さよなら」というに留まっている。ゲーム板の方がカルラの徹底した意志の強さが見られるし、漂う哀愁的な雰囲気とカルラの魅力がよく出ていたと思う。
・カミュの吸血衝動の相手はゲームではハクオロも対象だったが、アニメではアルルゥだけに(アニメ版では性欲衝動の描写がないため?)その後アルルゥに嫌われたと逃げ隠れ、今まで友達のいなかった黒い翼のある自分を卑下するカミュに対し、アルルゥ・ユズハが当然のように友達として心配し駆けつけるシーンがあるが、それを見守るウルトリィの「カミュは…、あの子は、本当の友達と出会えたのですね」というセリフはカットされている。