最高傑作。大切なものがここにはある。
今まで数々のゲームをプレイしてきたがここまで心地よいと思えるゲームは初めてだった
山田一の抜きん出た実力を認めずにはいられない
人生には幾多の苦労や悲しみがある
どうにもできない事もある
人が信用できなくなる
深い関わりを持ちたくなくなる
そんな社会の中でも手を取り合って生きる
そんな「家族」のような関係が持てる人に出会えたらそれはとても幸せなことだと思う
これは7人の相互扶助計画 『家族計画』 による擬似家族の物語
真っ当な人生を歩んでこれなかった、家族が欠落している他人同士が家族になる絵空事
並々ならぬ人生を歩んできた7人の生活は一見家族のようでも
それはいつ崩れてもおかしくない砂丘の楼閣であり
淡い日々は終わり、突きつけられる現実に1人、また1人と欠け、家族計画は終わりを迎える
それでも離れ離れになった7人は再び高屋敷に集まるのだ
もう大切な「何か」を見つけたから
家族計画の結末は7人が家族になるというものではなかった
しかし、例え本当の家族でなくとも確かにこの7人は「家族のような」関係で結ばれた
同じ家で共に時を過ごし、心の内でお互いを理解し、そして認めた
それは家族愛なのか、友情なのか、または別の何かなのか
何にしてもこれまでの苦境に満ちた人生を送ってきた7人にとって家族計画がもたらした物は大きい
司、寛、真純、青葉、準、春花、末莉
この誰もがそれぞれ社会的弱みを持ちつつも自分の意思をしっかりと持ち行動している
過去にあった出来事や現在の状況、行動と発言からどんな人間なのか、魅力的な部分、弱い部分が際立って見てとれる
加えて言うならば、家族計画においての立ち位置なども非常にわかりやすい
これだけ感動することができるのもキャラクターの内面を深く感じられるからだ
名曲として知られるOPの「同じ空の下で」とEDの「Philosophy」は、作中でもピアノverで何度も流れるが、これも本当に素晴らしい
愛すること、信じること、優しさ、許し合うこと
言葉にすれば何てことないフレーズだが、それが本当に美しい
誇りに思える「何か」が心の中に芽生え、人はちゃんと変わることができる
そして悲しみさえも未来(みち)を照らす
決して優しくはない、それでも確かに美しく温かみを感じる物語だ
作中で司がこんなセリフを言っている
「理不尽は、いつでもどこでも転がっていた。それを踏まずに道を歩むことはできない。かといって、立ち止まるわけにもいかない。」
まさにその通りで、程度の違いはあれ理不尽を感じずに生きてきた人なんていないだろう
この家族計画という作品で、そんな逆境に位置する7人が悲しみを乗り越えて行き着いた未来を見て
つらい現実にも立ち向かう勇気をもらった
私はそんなにつらい生活をしている訳ではないし、生きることに絶望もしていない
趣味を語り合う友人もいるし、今は離れているが家族だっているしたまに連絡もとっている
それでも、こんな世の中だ
高屋敷の人間に比べても、現実でだってそれは極々小さなものだろうが理不尽はあるし不満もある
そんな現実に疲れたとき
向き合って立ち向かおう 強い意思を持って生きよう そして未来(ミチ)を切り開こう
そんな気持ちになれる作品だった
一生の内にこのゲームをプレイできて本当に良かった
製作者様、そして関係者の皆様、ありがとうございました
ありがとう、家族計画