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kaza-hanaさんのFate/EXTELLAの長文感想

ユーザー
kaza-hana
ゲーム
Fate/EXTELLA
ブランド
マーベラス(マーベラスエンターテイメント、マーベラスAQL)
得点
85
参照数
187

一言コメント

Fateシリーズの強いキャラ性、濃厚なシナリオに、爽快なバトルアクションが加わったアクションゲー。演出にはかなり気合が入っていてアツい展開も多い。サブシナリオも全サーヴァント完備。システムとしてのやり込み要素、キャラゲーとしての趣向も強い。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・始まり

月の聖杯戦争勝利後、勝ち抜いてSE.RA.PHの王となった主人公は、王権登録の為にムーンセル中枢へ。
アルキメデスに騙されて未明領域に赴き、セファールである巨神アルテラと対面する。
そこで巨神アルテラに捕まった主人公は、アルキメデスの真の目的を知った事もあり、殺されると錯覚して自らレガリアの力で精神と魂を転移。
その後、精神はメインサーヴァントだったネロの、魂はサブサーヴァントだった玉藻の元へと戻り、残った肉体はアルテラの虜とされる。
アルキメデスは、ムーンセルがSE.RA.PH運営のために召喚したソロ・サーヴァントだが、その役目を放棄した元管理者。
感情という曖昧なもので完成から遠ざかっていく人間を嫌い、遊星側に。
システム更新を正常に完了させるため、という名目でその後SE.RA.PHに現れ、遊星を導く為に分離したレガリアの統一に動く。


・ネロルート(焔詩篇)

ネロはこのままでは消滅してしまう自らの奏者を元に戻す為、早期のSE.RA.PH統一に動く。
半月で領土の50%を制圧した玉藻を破り、魂のマスターと玉藻の絆を見てレガリアだけを回収することで話を収める。
一度は受け入れた玉藻だったが、レガリアが修復されることで主人公も1人に戻ることを知って拒否。
悶着の隙にエリザが玉藻のレガリアを奪うが、レガリアに認められず防衛プログラムが発動。
玉藻のレガリアは消滅してしまう。
そこに突如現れたのがアルテラともう1人の主人公。
僅か半日で領土の80%が掌握されるとネロは再進撃し、アルテラの予想を上回る力を見せ、降伏勧告を真っ向から拒否する。

エリザの遊星という発言から、アルキメデスによりムーンセルの目的が語られるが真実を交えた嘘。
ネロはアルテラを制し、破壊だけが自身の在り方だと思っていたアルテラは自身を見つめ直す。
臣下に迎えようとするネロだったが、アルキメデスによってアルテラはセファールへと変貌させられる。
ネロはそれを破り、肉体のマスターはアルテラと同様に消えることを受け入れて消滅。
セファールが消えたことで目印がなくなり、ヴェルバーの到来は回避される。
アルキメデスは平行転移で別の可能性の世界(蘭詞篇)へ。
その後レガリアは修復され、王に選ばれたネロは、肉体が消えたことで失われた奏者の精神の復活を願った。


・玉藻の前ルート(蘭詞篇)

何よりもご主人の存在が第一。
レガリアに選ばれたことで手に入れた、過去に得られなかったご主人との関係を再び失うことへの恐怖から傾国モードを解禁している。
太陽の化身である彼女はヴェルバーの存在とその恐怖を知っている為、世界の滅びを諦めている。
その為、SE.RA.PHの危機よりも反対勢力の壊滅に精を出し、レガリアの統一に動く。
エリちゃんは小間使いとして働き、主人公を気に掛けるツンデレを発揮。
アルキメデスは焔詩篇での失敗を活かし、レガリアが適応されるように霊基を調整してエリちゃんを新たな統一者へと誘導する。
エリザは想定通り玉藻がネロを倒して得たレガリアを奪取するが、予想外にもそれを食べてしまったことでレガリアは消滅。
ヴェルバーの力を受け入れ、レガリアの力を取り込んだエリザは反英雄の宿命か性格が変化してしまう。

その後、世界を救う気などなかった玉藻だが、矛盾する在りようでレガリア(ご主人)を狙うアルテラが気に入らないと対立。
レガリアの力を使い、人から学んだ知恵と勇気でアルテラを打ち破る。
現れたエリザによってアルテラはセファールへと変えられ、最終局面へ。
半英雄である自分はいずれご主人を不幸にしてしまうと諦め、ご主人を死なせたくないと思いながらも幸福のまま終わりを迎えたいと願ってしまっていた玉藻だったが、ご主人の言葉で幸せな未来の為に抗うことを決意。
セファールを倒し、傾国モードは止めて慎ましく良妻としてご主人に寄り添って生きていく。
アルキメデスは平行転移で再び別の可能性の世界(未明篇)へ。
力を得たエリザも共に付いていく。


・アルテラルート(未明篇)

巨神アルテラは、セファールの本体。
地球を破壊するため、1万4千年周期で訪れる捕食遊星・ヴェルバーが地球の記録を管理するムーンセルに落とされた遊星の欠片であり、情報体。
目的は発達した星の文明の破壊・及び収穫。
当時分身であるセファールが地球で聖剣に敗れ、その際に本体は未明領域に囲まれて封印された。
ヴェルバーはそのまま星々の海へと旅立ち、残されたアルテラは石室で1万4千年の時を過ごす。
英霊アルテラは、1万3千年程前にセファールの亡骸から発掘された少女の存在が後に英霊となったもの。
元が破壊の化身でありながら、人としての一生を経験し、それは巨神アルテラにもムーンセルを通して伝わっている。
今回、巨神アルテラがマスターを得たことでサーヴァントとして霊子化。
巨神アルテラにとっては夢のようなもので、気持ちは共有しているが人格は別の自律した存在。

ムーンセルより召喚されたイスカンダルはアルテラの在り方を見届けようと、ジャンヌはルーラーの立場よりも自らの感情で見定めようと、揺らぎを知って自ら境界を切り裂いて現れたギルガメッシュは主人公の結末を高みの見物するためにそれぞれ破壊の軍勢に加わる。
初めは脱出を考えていた主人公も、巨神アルテラと対話を重ねてその内にある本質を感じ、孤独な石室から解放してあげたいと思うようになる。
その後、統一したレガリアを破壊することでムーンセルは機能停止し、ジャミングが消えて星舟によるムーンセル制圧が行われる事、それに伴い英霊アルテラは消滅する事、巨神アルテラも役目を終えて石になってしまう事を知る。

エリザからレガリア統合によって今のマスターの記憶はなくなってしまうことを告げられた巨神アルテラは、やはり自分には破壊しか残されていないと自閉。
ネロとの闘いで自身の在り方を見つめ直した英霊アルテラは、自らの意思でアルキメデスに対立する。
英雄王の介入もあって人質に取られたマスターは解放され、戦闘に勝利。
マスターにレガリアを返還し、自身を助けることを拒んで、人として世界の敵である自身を隔離するように告げる。
しかし、激高したアルキメデスによって自閉していたアルテラがセファールとして呼び出され、英霊アルテラは自ら本体に終わりをもたらして共に消滅。
残されたマスターはわずかな時間でレガリアの力を行使し、過去の並行世界の自分に今の記憶の一部を送る。


・ネロルート2(金詩篇)

未明篇でのマスターの記憶を受け取った状態のネロルート。
倒すべきはアルテラではなく、敵はアルキメデスとヴェルバーだと理解している。
現れたアルキメデスを退けたネロは、SE.RA.PHをローマ同様に統一し、月のサーヴァント達と連携を取ることを決める。
対話からマスターとネロの決意を感じ取った玉藻はレガリアの統一に合意。
主人公は精神と魂が統合されて自己を取り戻す。
協力したネロと玉藻は現れたアルテラの攻撃を防ぎ、主人公は世界とアルテラを救うと目的を告げる。
アルテラはそれを受け入れず一度は別れるが、改めて戦闘の末に対話し、並行世界から受け取った記憶を絡めてアルテラの存在を認めたことでその秘められた想いが引き出される。
肉体のマスターは並行世界で記憶を送ったことで、「その時間に存在が消える」という変えられない前提を負っていたためにそこで消滅。
マスターを失ったことで英霊アルテラも消えてしまうが、人類の希望として、軍神と遊星の力を併せ持つ宝具がネロに託される。

その間に自閉モードの巨神アルテラを封印していたアルキメデス。
コントロールを奪った星舟をムーンセルに飛来させるが、力を欲したエリザが結界を壊したことで意識が戻っていた巨神アルテラにより防がれる。
星舟の内部に入り、ムーンセルを破壊しようとするアルキメデスに対し、ネロは軍神の剣を通して神霊・美神(ヴイナス)を顕現。
遊星の欠片は破壊され、干渉を阻むために存在していた未明領域はSE.RA.PHから消滅。
セファールである巨神アルテラも霊子となって消滅するが、愛するものを救うヴイナスの威光によって遊星とアルテラの繋がりは絶たれ、アルテラの核が新たな命として残される。