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kaza-hanaさんのBALDR HEARTの長文感想

ユーザー
kaza-hana
ゲーム
BALDR HEART
ブランド
戯画
得点
84
参照数
847

一言コメント

BALDRシリーズの期待に応えたよく練られたシナリオ。仕様はバルスカと同じだが、燃えゲーというよりは読み物としての趣向が強い。原画はプレイすると全く違和感ない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

共通ルート

過去に救えなかった幼馴染(みさき)に重ねて任務中に見知らぬ少女を助け、チップが壊れて兵装が使えなくなった蒼。
除隊することになりユーリと共に府嶽を離れて故郷の海神へ異動となるが、そこで蒼を探していたという助けた少女(妖精)と再会し、その仲間(兵装少女)の力を借りて再びシュミクラム戦闘が行えるようになる。
見知らぬ男(カトウ)から学園の潜入捜査の依頼を受け、生徒の監視を行うことに。

月詠ルート

・甲華学装隊を語る生徒達と府嶽へのテロリストに関係はないと判断。罪を被せて邪まな私欲を満たそうとしていた直翔から生徒達を救い出す。

・海神は府嶽との契約を打ち切り、対立する府嶽とテロリストへの対策としてベオウルフと契約。

・甲華学装隊の小隊データを見つけた功績が決め手となり、人員不足から生徒達も兵として招集される。
蒼は島に残って生徒達を守ることを決断。
それを率いて襲撃から小隊を守るが、別地で訓練していた下級生から脳死者が出てしまう。

・府嶽に賠償金の代わりとして島に必須の施設であるナノアセンブラ・プラントを要求される。
それに伴い、統合政府の視察団が訪れることになり、テロリスト集団の掃討作戦を実施。府嶽兵の妨害を受けたことから、素性の怪しい蒼と月詠が内通容疑にかけられる。

・視察日にテロが起こり、混乱とマスコミの煽りによって海神の民と府嶽兵が対立。
茉緒の行動により凪の声明が届けられて沈静化したのもつかの間、茉緒が中継先で銃殺されて過激化。

・上部層に裏切られ、生徒達はテロリスト容疑で囲まれるが博巳と奈々夏の自己犠牲もあって任務を遂行。
友人の死に月詠は絢夜歌へと完全に意識が移り、過去に霄様を匿ったプラントの奥へ。
絢夜歌の記憶が戻り、秘密裏に未規制のままのバイオアセンブラが残っていること、過去に忠義を誓っていた霄様から自分の殺害とその悪魔の装置の破壊を願われたことを思い出す。
自分の命も顧みず施設を破壊しようとする月詠を正気に戻すために戦闘へ。

Bad End

戦闘の末に月詠は絢夜歌から意識が戻ることなく亡くなり、蒼は心が壊れて無所属の傭兵として流浪生活を送るようになる。
薬に手を出して荒れくれ、自分の前に電子体として現れる月詠を亡霊として殺し続ける。

Good End

月詠が正気に戻り、偽装された悪魔の装置を壊すという過去に絢夜歌の成せなかった目的は過去の過ちの贖罪としてフレイアが受け持った。
海神は府嶽に敗北して廃墟となり、蒼と月詠は名前を変えて府嶽の手の届かない地へ移り、新たな生活を歩み始める。


茉緒ルート

・凪から菜緒は離脱者の両親に会いに行っていると聞き、確かめに行った先でテロから茉緒を救い和解。
学園に残った蒼は茉緒に頼まれて戦闘訓練を引き受ける。

・直翔の企みを事前に知った蒼は茉緒と共に追跡して捕まるが、妖精の機転によって援軍が駆けつけて危機を脱する。

・府嶽との契約を切り、ベオウルフと契約。
警備団を続けようとする茉緒のもとにフレイアが訪れ、かつての生徒会長・紅音として後悔しないように忠告をかけている。
茉緒の言葉を受けた直後だったこともあり、月詠は自分の意識をしっかりと持っていたため絢夜歌とは別人と捉えられ、戦闘にはなっていない。

・テロリストに襲撃に遭うが月詠の存在を気にかけたフレイアの援護もあって生き延び、ベオウルフと合流してテロリストを打倒した生徒会は凪によって直属の護衛部隊として任命される(引き止めることを諦め、戦場で生き延びる力をつけさせるため)。

・両親の安否確認を兼ねて過去の紅夏と絢夜歌の情報を聞き出そうとしたところ、府嶽に所属したフレイアと出会って、過去に自身が離脱者になったこととその間に甲華学装隊が化け物になっていたことを聞く。
茉緒の両親を含む離脱者が集められた府嶽の施設でウイルスが暴走するが、府嶽がそれを見捨てたことを知って救出に向かい、人体実験の後を目の当たりにする。

・月詠ルートでは犠牲を出したテロリストの襲撃を死者無しで乗り切り、内通者の存在が上層部にあると予想を付けて視察日に合わせて蒼は特殊捜査に。
規制がかかる前のアセンブラ・プラントを発見し、ログデータを抽出する。
タイミングよく再会した直翔の存在を疑問視し、現実に戻って茉緒が銃殺されるのを防ぐが共に撃たれて身柄をテロリストに確保される。

・表向き死者として隠蔽されて雄大に囚われるが、トリックスターに助けられた月詠や妖精の行動で状況を把握した凪と中佐の偽装工作により裏をかいて状況を打開。
雄大を捕え、その繋がりを逆手に府嶽を退けるが、ここで作戦に協力した学園生から数名の脳死者が出る。

・亡霊の出現ポイントが戦艦内にあると突き止め、突入するが作戦は失敗。
無限に亡霊が湧き出る戦艦の装置を止めるため、島の頭脳であり都市機能を支えているバルドル(中枢)を破壊することを決断。
フレイヤは雄大のもう一度現実で生きたくないかという誘惑に乗ったように見せかけて黒幕を潰そうと反撃に出るが敗戦。
そこに月詠が助けに現れる。

Bad End

過去に呑まれ、月詠に襲い掛かる自らを討って欲しいというフレイアの望みを汲んで倒した茉緒。
フレイアの記憶を自らに残したいと願い、カトウを見逃すことを条件に協力を要請する。
凪とユーリはバルドルの破壊と共に脳死。
島を導く者がおらず衰退を辿る海神の地で、蒼は精神が安定せず情緒不安定な茉緒を椅子に縛って身の回りの世話をし、回復を待つ。

Goog End

フレイアが過去に呑まれることなく、優勢に立った蒼がカトウを戦闘で撃破。
命を伴う破壊実行役は離脱者の病にかかっている紅音が引き受け、戦争は統合の介入で終結。
文明の基盤を失った島からは多くの住民が離れたが、前途多難な状況の中、残された希望を抱いて生活を続けていく。


ユーリルート

・トリックスターに生徒達の前で愛玩用被造子である秘密を暴かれてしまい、学園から去ろうとするが、借りを返す意味も含めてその素性を暴く。
正体はユーリの施設時代の同期で犬猿の仲である頭脳強化型被造子のカンナ。

・直翔に攫われた生徒を助けに行った際、妖精の力を借りて直翔とコンタクトを取り府嶽の怪しげな動きを掴む。
証拠を引き出すためにカンナもユーリに強引に協力を要請され、蒼絡みで勝負になったユーリは無茶をして単独で直翔へ色掛けをしてアジトに潜入するが、蒼のことがチラついて失敗。
囚われたところを助けられる。

・中佐に凪の護衛を任された蒼は、無駄な犠牲がなくなる可能性にかけて府嶽へ対談に向かう意志を示した凪の依頼を受けることに。
出航日、テロリストとの戦闘に援軍として現れた中佐にも反対されるが、それを押し切ってフレイアが味方をしてくれた隙に船を出す。

・カトウに打ち込まれた被造子専用の特殊弾で蒼に異常がきたし、自身の存在を確かめる為に故郷へ。
蒼は中佐に保護されているが、幼馴染のみさきを目の前で撃ち殺したのも中佐だったことが残っていた映像から発覚する。

・茉緒や月詠、一度は蒼を殺そうとしたユーリの救出により府嶽を脱出。
海神に戻って暴動を止めるために声明を出し、雄大を確保。
府嶽にも攻め込まれるが、ベオウルフが海神のバルドルを占拠して通告を出し、暴動を抑える。
しかし、もはや退路はないと中佐は海神の衰退より亡霊の排除を優先してバルドルの破壊へ。
話し合った末に、バルドルと亡霊の渦巻く戦艦との接続を切り離して戦艦を破壊するという確実性の低いカンナの案に協力を得るため、蒼は直接対決で力を示す。

・カトウによって凪の電子体が拉致され、作戦遂行と共にカトウに指定された戦艦に向かう。
老朽化で爆発ボルトを遠隔操作できないトラブルが起こるが、中佐が手動で起動させて命を代償にバルドルと戦艦を分離。
蒼はみさきと意識の中で再会するが、ユーリが現実の楽しさを教えてくれた過去を思い出し、死んだみさきと出会うことよりも今の現実に目を向けることを選択。
将軍を倒して先へ進み、カトウは将軍の不意打ちで排除される。
リンカネーターに繋がれた凪を発見するがすでに手遅れで、凪の別の何かに変わる前に破壊して欲しいという願いを受けて装置の破壊を決意。

Bad End

負い目の残ったユーリは、蒼をハッチの外に出して密閉空間で装置を爆破。
統合の介入で戦争は終わったが多くの仲間が死に、蒼は学園生達の墓を作ってその無念を晴らすために亡霊を狩る旅に出る。
傭兵に戻って冷徹な機械のように亡霊を殺し続け、サポートするカンナに心配されながらも終わりの見えない戦いを続ける。

Good End

ユーリと共に起爆ボタンを押して心中を計るが、妖精の力で爆発の瞬間にワープされて助かる。
統合の介入により戦争は終わり、府嶽の悪事も暴かれて海神は平穏を取り戻す。
蒼は臓器移植を受け、ユーリと共に海神を第2の故郷とし、傭兵を辞めて司令部に勤めて復興を目指す。
妖精の記憶は消えたが同じ姿をしたぬいぐるみが残り、カンナも含めた3人で仲睦ましい生活を続けていく。


凪ルート

・凪を積極的に生徒会活動に誘ったことで、問題が早期発見される。
府嶽の施設の調査でテロリストに襲われ、非難した先で離脱者の人体実験とウイルス化を目撃。
端末から府嶽がテロリストである証拠を入手。
直翔を倒し、それが企業ぐるみの犯行であることを見抜く。

・府嶽は真相をもみ消す為に海神と停戦状態に。
蒼は凪に挑まれたシュミクラム戦闘に勝利して騎士に任命される。

・バルドルから過去に攫われた地点を割り出し、戦艦内部へ。
甲華学装隊の最期やリンカネーションの装置を目撃するが、カトウに待ち伏せられて投降。
学園生を人質に府嶽に降る交渉を迫られるが、真実を知ったフレイアの救援によって脱出。
そのまま真相追究の為に再びリンカネーションの下に行き、凪がカトウによって装置に入れられるが、離脱者であるフレイアが捨て身で障壁をこじ開けて救出。
フレイアはカトウに自身が亡霊であることを告げられ、自覚したことで存在が希薄化。
逃がす為の犠牲になろうとするが、学園生とベオウルフが駆けつけて共に脱出し、最期に海を見たいという願いを叶えて消滅する。

・真相が闇に葬られては海神の平和は保障されないと凪は海神へ帰らず府嶽の会長に会いに行くことを決断。
蒼は立場上賛成できない中佐との勝負に勝ち、実力を示す。

・訓練を積む学生を残し、先行隊として故郷へ。
かつて囚われていた施設の奥で無意識(エス)の海に入り、みさきと再会。
過去の故郷や思い出が虚構だったことを知る。

・府嶽との話し合いで真相を知り、交渉は決裂。
偽装して同行していた統合の特殊部隊G4Cの一員である中佐によって証拠が抑えられる。
爆発ボルトを起動させて戦艦はバルドルと分離され、カンナのハッキングにより戦艦は府嶽へと転送。
府嶽上層部は統合への協力を認め、戦争は回避される。

・凪が行方不明になり、会長直属部隊との戦闘の末、妖精の力を借りてG4Cの中佐と共に神免会長の私有空間へ突入。
会長はすでに亡くなっていて、カトウの陰謀だったことが明らかに。

・みさきの統率によって亡霊から戦艦の制御を奪われ、リンクするバルドルの演算でアカーシャ(エス)からみさきが呼び戻される。
阻止するためにカンナのハックで戦艦を突入させたところ、反転して天ヶ原一帯はアカーシャに飲み込まれ、凪はみさきを振りきってエスの海へ飲み込まれる。

・みさきの見せる夢から覚めた蒼は、エスの海へ向かい、妖精の助けを得て凪を救出。
戦死した将軍や消えたフレイアの助けもあってみさきから逃げ切り、戦艦を爆破させて現実へと帰還する。

・自分は岬ではなかったという真実を知ってみさきは自我が崩壊して暴走。
カトウの感染ルーチンを奪い、リンカネーターと同化して亡霊を吸収したみさきを討ち、みさきの意識は消えて赤ん坊の姿に変わる。

Bad End

妖精が赤ん坊と共にアカーシャへ還ろうとするが、カトウを倒せていなかった為に赤ん坊の身体を乗っ取ったカトウに殺される。
動けなくなった蒼を庇い、凪はカトウを道連れにアカーシャに身を投じる。
死に際のみさきに凪の記憶を奪われた蒼は現世に戻ると記憶を失い、傭兵を続けて仮想に寄生したカトウの亡霊と戦い続けるがカトウに撃たれたウイルスの影響で死を覚悟。
戦いの末に動けなくなるが、最期に電子体幽霊としてずっと傍にいてくれた凪の存在が見えるようになって記憶を思い出す。
凪に自分がやってきたことを認められ、共に亡霊を巻き添えに自爆して一生を終える。

Normal End

凪と共にアカーシャへ入り、ただのデータの集合体ではなくアカーシャにも存在の生死があることを知る。
妖精によってアカーシャに残るカトウの記憶からプロテクトの解除コードが取り出され、蒼は現世へと戻されるが、体のない凪はアカーシャに残ることを選ぶ。
海神と府嶽は関係を修復し、バイオアセンブラの接収と亡霊の情報拡散阻止の為に海神は統合の直轄保護区に。
学園生は亡霊を知る存在として人手不足のG4Cの手伝いで警備団を続ける。
凪の記憶を失った蒼はそれを取り戻す為に島を離れることを決め、偽名で乗り込んだ船で大切な人を探しているという転生した凪と再会。
記憶はなくとも確信めいたものを感じた蒼は、お互いの目的を叶えるまで旅を共にすることを決める。

Good End

みさきが死の直前に心を取り戻し、蒼は凪の記憶を奪われていない。
学園生はG4Cのサポートにまわり、いずれ来る世界の改変に向けて生き残る実力をつけるために学園も新たに開校されることに。
現世に戻った蒼は冷凍保存されたままの凪の実体が残っていることに気づき、過去に電子体幽霊から目覚めさせた時と同様にキスをして意識を呼び起こし、再会を果たす。


過去

海神で非人道的扱いを受けていた兵士用モデルの被造子・神免航一郎と愛玩用被造子だった後の妻が脱走し府嶽の村に逃げ込む。
幸せな日々を過ごすが再び追っ手が現れ、世界に安住の地はないと絶望。
逃げ出した2人は当時統合に所属していた将軍に保護され、海神を告発。
海神は被造子製造を制限され、没落の一途を辿る。
その後、神免は府嶽で会社を立ち上げ、会長となって超大企業を築く。

約50年前

神免夫妻が共に肉体を捨てて不死者に。
長男である中佐はこの時、成人。
神免航一郎と決別する。

約40年前

天本博士が神免会長に接触。
自らの研究を売り込む。
その後、海神バイオ部門と府嶽によって
① 消滅した電子体を再構成させる技術
② 「殻」と呼ばれる複製体を使って電子体の意識を実体に蘇らせる技術
の開発が目的のアカシック計画が秘密裏に進行。
この時すでに離脱者の病を発症していた岬は消滅している。
その後、バルドルで岬の意識を探す為に思い出の光景を情報としてばら撒いた結果、関係のない意識も集まってしまい、リンカネーターの起動によって情報量の少ない亡霊が仮想空間に発生してしまう事態に。
また、電子体の意識を書き込める被造子「殻」として、海神頭首のDNAをベースに霄と凪が生み出される。

約30年前

海神を売って府嶽に取り入ろうと考えていた雄大は、それに気づいた先々代の党首を謀殺。
府嶽は機密保持の為、海神の諸施設の占拠に動き戦争に。
甲華学装隊は雄大に罠にかけられ全滅し、テロリストの汚名を被る。
雄大に偏愛を向けられてショックから家出していたフレイアは事故に合って離脱者に。
天本博士の暴走により復活した甲華学装隊は亡霊と戦って自ら正体を知り、天本博士の研究所を襲撃。
その後、戦艦内部に篭城して自ら命(意識)を絶つ。
絢夜歌は自らの使命を全うし、攫われてリンカネーターに繋がれていた凪の兄・霄を救出するが、別人へ変わる前に死ぬことを望まれて殺害。
それを見たフレイアによって絢夜歌も殺害される。
この事件で凪も攫われそうになっているが、中佐によって助けられている。
リンカネーターによって蘇生された岬の意識(妖精)は、霄が持っていた形見の人形に身を隠している。
甲華学装隊と共に戦い、亡霊の存在に目を付けた中佐は統合にスカウトを受け、G4Cに配属される。
戦争の末、計画は失敗に終わるが装置は戦艦内に残ったまま。
天本博士は府嶽の施設に逃げ込み、「殻」である霄を失った為に、代わりに蒼を生み出す。

約20年前

会長直属部隊による鈴宮家誘拐殺人事件が起こり、凪以外の党首の血筋は全て失われる。
この時、殺された凪の両親を依り代にみさき(母のお腹にいた胎児)が電子体として誕生。
神免夫妻の記憶を移された凪はみさきに反抗して捕食されるが、中佐が戦艦に潜入したことで警報が鳴り、その隙に妖精によって助けられる。
その後、捕食された影響で昏睡状態に陥った凪は中佐によって保護され、冷凍状態で保存。
神免会長はみさきに殺され、カトウが影から府嶽を支配。
凪を助けに戦艦に突入したフレイアはこの時に戦死し、気づかぬまま亡霊となっている。

約16年前

逃げた天本博士によって府嶽の施設で研究が続けられていた。
ユーリ、カンナなどの違法被造子が造られる一方で、蒼は「殻」としてみさきと共に施設の奥で過ごす。
蒼には霄の声が聴こえ、夢の中で妖精に導かれて電子体幽霊(ワイヤードゴースト)になった凪の意識を目覚めさせている。
ユーリ・カンナが脱出を試みて外部にネットを接続させたことで亡霊が現れ、それをもみ消そうとした会長直属部隊に襲撃を受ける。
その後、情報を掴んだベオウルフが救援に駆けつけるが施設は崩壊。
みさきは射殺されて電子体を失い、航一郎の記憶を持っていなかった蒼はヴィルヘルムに保護される。
施設から逃げたユーリも拾われ、後に情が移った中佐に提案して蒼の監視の役目を引き受けている。
避難して生き延びたカンナは、そこで見た不思議なものの存在を知りたいと調べ、後に海神の仮想近辺で妖精の目撃情報が多いことを知る。

約10年前

凪の肉体が昏睡状態から奇跡的に回復したという嘘のニュースが流される。
カンナはこの時すでに海神へ来ている。
それから凪自身が嘘の広告を本当の事と思い込み、その時点で唯一凪を認識できた蒼が会ったことを口外したことから仮想で目撃されるようになり、噂が広まって現実でも認知されるようになる。
野垂れ死にそうになっていたカンナが凪に拾われ、その腕を見込まれて秘匿で中枢の管理者の職にありついたのはその後。
おまけで学園生のサポートを行うようになる。

現在

蒼が妖精と出会い、チップが壊れたことで海神へ。
カトウが凪と引き合わせるために蒼に接触する。
妖精は海神のバイオプラントの過去データから絢夜歌のレシピを使って実体を複製、それを依り代に月詠が現界。


雄大の目的
・府嶽にある天本博士の技術によって、偏愛を抱いている娘(離脱者になった紅夏)の意識をアセンプラ・プラントで複製した茉緒の肉体に蘇らせること。

神免会長の目的
・自身と岬の意識を書き込んだ被造子(殻)に自らを蘇らせ、生まれ直して愛し合っていた日々をやり直させること。(すでに岬からの愛を失ってしまった自分では実現できない為、別の存在になっても記憶を持った新しい生命としてそれを実現させようとした)
・海神頭首の娘の影武者として臓器移植用の複製体として密造され、機密保持の為に愛玩用被造子として登録されていた岬を次期頭首として蘇らせることで、海神頭首の血統を乗っ取って復讐を果たすこと。

府嶽上層部の目的
・天本博士が残した負の遺産である亡霊の排除(リンカネーターを停止させること)と府嶽が関わった証拠の隠滅。

カトウの目的
・リンカネーターによる輪廻の中で人類が仮想で生きる権利を選定する新たな世界システムを導入し、それを管理する不死者の独裁社会を作ること。
正体は太古に開発された脳内チップや脳髄に寄生する人格奪取ウイルス。
本来の使命は、人類の進化と、仮想空間のルールの変革により人類を黄金期に導くこと。


総評

BALDRシリーズとして内容は期待通りの十分な出来。
SKYには劣るけどあっちは2部作だしそもそもの段階でしょうがない気もする。
最初はSKYよりもシナリオが軽くなったなーと感じたけど、全体の構成がしっかりあって進行していくのでその辺のゲームをするより楽しいし、思っていたより話が展開していって読み応えのある内容になった。
特に凪ルートは話もバトルもBALDRやってるなーって感じがあった。
戦闘ぬるいなーと思ってたら(ノーマルだけど)凪ルートの終盤から急に難易度上がってちょっと笑った。
それでもSKYの方が難しかったけど。
気になるところもあったけどそれを考慮しても良ゲー。
原画が変わったことでイメージが変わるかなと思ったけどライターが同じだからやっぱりBALDR。
それでもSKYに比べると設定上アツい展開が少ないので、単純に読み物として楽しめる人に向いてるかも。
どっちが先かわからないけど結果的に原画のイメージには合ってると思う。
兵装少女は甲華学装隊のメンバーが宿った妖精ということで、設定自体は面白いけど何か物足りないしおまけみたいなものかなーという感じ。
最近の流行だしね。
シナリオのイベントジャンプとサバイバルモードは1ルート終わったくらいで出して欲しかった。
同じルートはEndパターンも続けて見たいけどジャンプできないからセーブからやり直した上に別データだから未クリア扱いになるし、凪のEND見てもうすぐ終わりのいいとこでサバイバル解放されても兵装取りに行く気にならない。
まぁその後のやり込み用なのかもしれないけど。
Bad合わせて全End見るだけでかなり周回するわけなので、そこまでの範囲で多くのプレイヤーが楽しめるようにもっと早く出してもよかったかなーと思う。


シナリオで気になった点

・記憶を忘れているはずの妖精が絢夜歌を蘇らせるためにバイオプラントで行動を起こしたことの不自然さ。
蒼と出会ってからの何も覚えていない状態を考えてもおかしいし、仮に絢夜歌のことを覚えていたら少なくとも関連することを何かしら覚えている方が自然に思える。

・月詠は海神に現界してるはずなのにどうして船に乗って現れたのか。
記憶がないので府嶽に渡る理由はないはずだし、渡っていたとしてもその時も一文無しですね。

・凪が電子体幽霊から目覚めた後、すぐに襲撃にあって蒼が中佐に保護されたのが16年前、それから中佐と共に海神に着いて凪が奇跡的に復活したという嘘のニュースが流れているが、それが10年前。
6年間経ってるの?

・大体の事情を知ってる当事者であれば凪の実体が残っていることは容易に矛盾から導けると思う。
仮想ならAIのシステムでまだわかる。
けど現実ではもはや個人の記憶の改変とかの問題じゃない。