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kaza-hanaさんのハナヒメ*アブソリュート!の長文感想

ユーザー
kaza-hana
ゲーム
ハナヒメ*アブソリュート!
ブランド
mirai
得点
77
参照数
3620

一言コメント

不満要素もあるけどそこそこ楽しめた。攻略順はポリーナ→玲奈を推奨、他は前後お好みで。最後にイヴ√がいちばんしっくりくると思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

かんなぎれいさんの原画と明るい配色に合ったテンポのいい音楽とストーリーでプレイしやすかった。
キャラが基本底抜けに明るいのがいい。
どんなタイプのゲームがわからなかったのもあって純粋にプレイできた。
バトルパートはカットイン演出は爽快だけど終盤まであまり変化がないので見慣れてくると飽きる。
あまりやり込む要素がないのが問題。
それでも演出の感じはよかったのでゲームシステムがより評価されているティンクルもプレイしてみたくなった。
周りの評価を見るとティンクルをプレイしてハードルが上がっていると物足りなく感じている印象を受ける。
そういう意味では特に期待せずにプレイできたのはラッキーだったかも。

体験版で妹の声が不評だったようだけどプレイして気持ちがわかった。
作ってる感じがすごいんですね、声に特徴的なかすれ具合があるので幼い声としては自然じゃない(序盤が特にそう感じたので声が掴めてなかったのもあるかも)。
声優さん自体に特別非難とかはないので頑張って欲しいけど、個人的には歌の方が評価されてもいいと思う。

特に好きなキャラは杏子、さすが人気投票1位。
でも元気なメアも保護欲にかられるポリーナもさばさば系のあーりんもゆるふわお姉さんのビーズちゃんもかわいい。
あと女王のあのキャラデザに沢澤砂羽様の声をあててくるのはずるい。
ありがとうございます。

マイナス面を挙げると、不自然に星王子の正体がわからないまま進行させる意味があったか。
学外からも人気の生徒会メンバーなんて一瞬で特定されて噂が広まっていた方が自然ですし。
正直気にする程でもないけど気になる人は気になるし、テンポよく進めてるだけにこういう要素でプレイヤーに違和感を抱かせてしまうのはもったいないと思う。
それと主人公にけっこうどうなんだと感じる部分があったので、もっと魅力的にできなかったのかと。
いちばんはたまに強制終了するのをどうにかして欲しいっていうのが切実なところ。

バトルに関しては、敵だったキャラと共闘するのはお約束の展開ですが、生徒会メンバーだけで女王が味方として使用できなかったのが物足りなかった。
クラハのシステムが外部にハックされたとか何でもいいけど女王を味方に敵対勢力と総力戦とかやって欲しかった。
カリスマ持ちの敵だった相手が味方になって共通の敵と戦ってこそ燃えるってもんでしょう?
まぁ似たような感じでシキが仲間になる展開があるので、その役はシキのものですよーってことですかね。
それはそれで良かったけど、女王も使って無双したかったという贅沢な要望ですはい。
さらに言うならビーズちゃんが隠れ最強設定とかで助っ人で現れてくれたりしたらよかったかも。

それにしても酷評が目立つけど、システムと不自然な設定に目を瞑れば言うほど悪くないと思うけどなぁ。
バトルADVとして出してる以上評価低くてもしょうがないけど。
買ってる層が求めてるものじゃなければ意味ないしね。
でも実際目を瞑っているわけだから自分でも評価があまいなーと思うし、作品の完成度自体良くないのでしょうがない気もする。

メアルート

虎春への好意を自覚するが、虎春の心はゲーマーとしてかつてのライバルで引退してしまったシキというプレイヤーに向いている。
そこには強さという意味でのライバル関係だけではなく、突然倒れた陽良子の看病の為、前回大会の決勝でありお互いの関係に決着をつける1000回目の対戦を欠場し、連絡を絶っていたことで勘違いさせたまま消えてしまった相手への負い目もある。
そんな虎春の意識を自分に向けるため、メアはシキよりも強くなりたいと対抗意識を燃やし、自分がゲーマーとして虎春のライバルになろうとする。
そもそもの強くなろうとしたきっかけが虎春にあることを改めて思い出したメアは、シキと思われる女王を破ってゲームで勝つ為に共に特訓し、恋人になる。
度々起こった不可解な現象は、学園長のナオがクラハのシステムに創造性を持たせる為に作った3つのAIの内の1つ、革新を司る人格を持つロキが暴走した為。
女王の正体は、ロキがクラハ最強のユーザーであるシキに接触して手駒にした為。
ロキがシステムを掌握したことにより、電影領域に閉じ込められた花姫と星王子。
理事長室からシステムを落とす奥の手もロキによって防がれ、クラハのシステムにのっとってPvPでメアが女王に勝つことでゲームを終える。
シキの正体と発覚したイヴ会長にも過去の事情を話して仲直りし、シキとして女王の座に参入。
メアはイヴに実力では未だ及ばないものの、恋人として虎春の傍で笑顔を見せる。

陽良子ルート

お兄ちゃんべたべたな妹が、取り返しが付かなくなって迷惑をかけてしまう前に兄離れしようとして空回りしまくるお話。
平然といけない関係になっておきながら全く罪悪感のない兄も、この想いは絶対に伝えてはいけないと急にシリアスになってるのもかなりおかしい。
現状に我慢しているところをロキにつけ込まれ、陽良子は新たな女王に。
理想の世界を作るというロキの誘惑に葛藤させられ、超巨大フーたんで街に被害も出してしまうが花姫達のおかげで無事ロキを追い出すことに成功。
騒動で今年のクラハは中止となり、虎春と陽良子は皆に認められて愛し合う。

ポリーナルート

虎春に惹かれたポリーナは恋という感情を知り、人間らしく恋愛していく。
クラハも順調に進んでいくが、残り1週間となった時点で突如現れたコピーポリーナ(CP)に襲撃を受ける事態に。
女王の暴走を止めるためには100は存在するCPがいる中、女王を倒さなければならない。
現実的な方法はCPを消失させることだが、その為にはオリジナルのポリーナのデータを消す必要がある。
ポリーナはAIとしての「人間を守る」という性質もあり、自分を消してくださいと提案する。
ポリーナの失っていた記憶は、自身が優勝者であるシキの願いで作り出された存在であることと、そのベースが3つのAIの内の1つである抑制を司る人格を持つオーディンであること。
現実に実体化した際に記憶を失ったのはロキを止めようとして罠にハマった為。
花姫と星王子で協力するが状況は打開できず、オーディンの傍で待機していた虎春はポリーナと共に遂にデータを消去する。
それから合流した虎春と花姫達で女王を打ち破り、ロキは封じられ、ポリーナを犠牲に世界は危機から救われた…ように思われた。
真実はロキを欺く為にナオが嘘をつき、データを抹消すると見せかけて回収したとのこと。
元に戻らない可能性があったので公言は避けられていたが、優勝した花姫チームの願いであるポリーナとの再開は、1ヵ月後に人間そっくりの独立したロボットとして戻ってきたことで叶えられた(データとして現実に存在できたのはロキの行動による副産物と仮定された)。

玲奈ルート

恥ずかしがりながらもアグレッシブな玲奈の好意に惹かれ、告白して恋人に。
玲奈のプログラマー目線での着眼や、業界で魔術師と言われるナオを知っていることからくる違和感により、クラハで起こった不可解な現象を調査。
神冠対戦では玲奈の開発した戦闘支援アプリによって戦況を打開するが、ナオを除いた星王子は女王の操り人形となり、玲奈は表面上全ての原因を押し付けられてハッキングした犯人扱いされる。
ナオから受け取ったメモで裏事情があることを知った2人は、理事長室からクラハのシステムに入ってオーディンと出会い、事態を把握。
オーディンと共にロキに襲われたフレイヤはフーたんに変えられ、類い稀なる幸運を持つ陽良子に引き当てられていたことも分かる。
進入に気づいたロキから逃げて修正プログラムとオーディンへのログデータを持ち帰り、データを初期化することで事なきを得たかに見えた。
ポリーナとフーたんの異常は解消され、玲奈を犯人に仕立てたのは秘書だったことも判明するが、ナオのバックアップへと自分を複製していたロキは再び復活。
玲奈の発想とナオの協力で、金髪ハイパーモードのチートキャラとして生まれ変わった玲奈によりロキは倒され、技術者としてクラハを越える面白いゲームを作りたいという玲奈の支えとして虎春は将来を誓い合う。

イヴルート

創作小説を通じて親睦が深まった虎春に恋をしたイヴは、過去の別れを思い出して動揺しているところを揺さぶられ、ロキに体の支配権を奪われてしまう。
強制的に電影領域に移った先で虎春は女王に挑まれたPvPに勝利し、その戦闘スタイルとシキへの想いからイヴは支配権を取り戻す。
ロキは苦しみながらも女王の体からイヴを別離。
元の力は女王に残り、シキは初期値のステータスでだったが、白雪姫よろしく王子のキスで神姫の力を取り戻す。
全員で女王に勝利し、ロキはデリートされることを受け入れるが、イヴの擁護もあって今のロキのまま更正されることに。
そして迎えた第三回神冠対戦決勝は、前回実現しなかった神姫と神王子を各陣営のトップに置き、王も戦闘に参加できる仕様で過去の約束を果たす形となる。

あやねルート

兄のアイドル好きからアイドル業を始めた隠れブラコン。
虎春が気にかかるもライバルは多く、神冠対戦でもディフェンスタイプの影響もあって目立てずに自分のファンが減ってしまい、アイドル業を両立して頑張って貧血で倒れてしまう。
悩むあやねを気にかけた虎春は、イベントのリハーサルにスタッフとして誘われる。
ステージでは楽しみながらも今の自分に自信がないというあやねに、そのままサポーターを続けることを決める。
本番前日、やることはいっぱいあるのに期待に応えようと無理をして未完成な新しい曲を作ってきたあやね。
素直に頼って欲しかったって伝えればいいのに、身勝手な苛立ちからその行動に対して中途半端と非難したシーンは虎春の株を下げざるを得なかった。
優しさで怒るならわかるんですけどね、怒った理由が相手の為じゃなくて頼られなかった悔しさの当て付けですもん。
苛立ちのやり場がないから怒ってすっきりしたから優しくなるってねぇ。
これで好きとか言い出したらどうしようかと思いましたが、その後に素直に認めて反省し、打ち明けていたので温かく見守ろうと思い直しました。
本番はサプライズで各地に中継を繋ぎ、多くの観客を前にステージは大成功を収める。

生徒会ルート

朝から校舎修繕の取り掛かる生徒会メンバーを見て感動し、手伝ったことから王と女王の立場を入れ替える1日限定イベントへ。
絆を深めた虎春はそのまま生徒会に入る。

杏子ルート

父からの電話後、神冠対戦に集中できていない杏子。
声をかけると、その内容はお見合い話だったことを打ち明けられる。
ショックを受けながらも受け入れた虎春だったが、虎春の好意に気づいたメアに後押しされて気持ちを自覚。
さらにメイドの桜和に杏子のために妨害して欲しいと頼まれ、杏子ダイアリーを読んで決意を固める。
杏子も桜和の行動の意味を悟って素直に虎春を頼り、お見合いぶっ潰すぞ作戦開始。
恋人になって父親を説得、ダメならお見合い相手と杏子をかけて勝負に持ち込む、神冠対戦で勝って中華街の問題も解決、と方針を決める。
父親には認めるためにもお見合い相手に勝ってみせろと言われ、相手が揚げ足を取って用意したプロに奥の手(隠しコマンドで出るじゃんけんゲーム)で勝利。
杏子の奴隷がかかってるのにじゃんけん…。
何か絶対に勝てる根拠があるのかと思いきや癖を見ていました(キリ、という謎の自信。
はたして他のゲームの癖でじゃんけんに通ずるものがあるのかという疑問があるが、あったとしてそれを勝負の前に言う余裕はどこからくるのか。
結局どうやって勝ったのかわからないけど無事勝負に勝って神冠対戦頑張るぞーで終わり。
他で勝つ要素がないとはいえ、平然と勝負をした虎春くんにびっくりした。