ナンバリングタイトルに恥じないいい作品だと思うの
銀条 春心(パル子)
純粋に服作りが好きな女の子で前作のメリルとなんとなく似てるなーという印象
メリルの純粋さや優しさを別ベクトルに伸ばしたようなイメージ
普段の明るさそのままに素直で根が優しいいい子
いつも一緒にいる相方きゅうたろうとの信頼関係も見ていて気持ちよく、日常での掛け合いは息があっていて聞いていて楽しい
自らは自由な性格でありながら他人にはしっかり気の使える所も魅力的
一般クラスと特別編成クラスの根付いた確執を解消するため、エストと朝陽が一般クラスにクラス変更するお話
才能がありながら人間関係や自身のトラウマに苦労し、それでも自分が好きで作った服で楽しんでもらいたい、ただそれだけを願うパル子の気持ちを吐き出したシーンはぐっときた
人間のきたない部分が表面的にでているお話でありながら、前向きな展開で「楽しさ」がいちばん溢れ出たパル子らしいルート
少なくともこの学年はこれからすぐにとは言わずともクラス関係なく上手くやっていけるのではないかなと思えた
八日堂 朔莉
正直あまりいい印象がなかったのですが、日記に綴っていた本心を知ってからすごい好感度が上がりました
小倉朝陽の正体が才華と気づいていたこと、そしてそれをおくびにも出さず初恋の相手だった才華の安全を優先して動いていたこと
後から知って振り返ってみるとそれまでの見方も変わりますね
女優ということで普段から喋る際に演技を入れてよく声が変わっていましたが、通常と思っていた話し方までが全て演技だったことには驚きました
「そうゆうわけで、これが私です。どーもー、八日堂朔莉でーす」
ここでやっと本当の朔莉というキャラクターに会えました
ネタにしか見えない言動や行動も途端にかわいく見えてきますね…
大蔵 ルミネ
才華くん大好きのルミネさんが口も聞いてくれないどこかシリアスで重苦しい雰囲気が続きましたが、最終的には後味のいい終わりにまとめたかなーという印象
(個人的にはやはり、現実を受け入れ、悩み、もがいたルミネがそれまでの考えを改め、優しく魅力的なピアノを取り戻して才華とともに最優秀賞に輝く、という王道な展開を見たかった気持ちはありますが)
前作で強いインパクトが残っている前の世代の大蔵家(衣遠兄様、朝日、りそな、スルガ、アンソニー)ですが、
このルートでは、今の世代の大蔵家(ルミネ、山県大瑛、アンソニーJr)の中にもこの世代としての新しい大蔵家の関係性が感じられて新鮮な気持ちが味わえました
当初思っていた完璧なイメージはもはやなく弱い部分も見せましたが、以前よりずっと魅力的になったと思います
やっぱり笑った顔の方がかわいいですしね
しっかり者で弟のお願いを断れないルミ姉かわいい…
エスト・ギャラッハ・アーノッツ
誇り高きエストかわいいよウフフ
貴族でありながらあまり品性のないだらけた行動や言動をする困ったちゃんですが、芯の通った心を持つ素敵な女性
文化祭では朝陽が自分のためにデザインし、みんなで作った衣装のモデルを大好きな姉と入れ替わるくだりがあったが、姉とのエピソードが少ないせいもあってかモデルを譲った理由としては弱く、エストの価値を下げるようなシナリオで個人的には不満…
(ただ、その後のお姉さんと一度会いたいという朝陽に対して、朝陽をお姉ちゃんに取られちゃうという気持ちがこもった「ダメぇ…」は最高にかわいかった)
フィリコレでは、エストの衣装制作で、才華が父親である朝日に昔言われた言葉の意味を理解し、その答えとして自慢の髪を糸がわりに使ってエストへの気持ちを込めた所は素直に良かったと思う
最後の表彰式で、自慢の髪ではなくウィッグではあるが、才華も衣装を着た姿をお披露目できたのもよかった(ただ服飾のゲームなんだからエストの衣装とデザイン丸かぶりしてるのは何とかして欲しかった)
ルナアフターアフター
久しぶりにルナ様のお声が聞けて感無量
と同時にやはり朝日の主人公としての魅力を再確認(皆に愛されている朝日に微笑みの目)
こんな2人の幸せなそうな会話を聞きながら、才華とアトレは愛されて生まれてきたんだなぁ、いい親を持ったなぁ、としみじみ
想像通りにアトレは朝日似の大和撫子に、才華はルナ様似の美男子に育っているのも微笑ましい
前作の他キャラクターの絡みも見ていて懐かしく感じた
総評
東乃助の乙女シリーズのテキストはほんとテンポがいいしセンスがある
テキストでキャラの個性をだすのが上手いし日常パートが楽しめるいいゲーム
人気作である「月に寄りそう乙女の作法」「乙女理論とその周辺 -Ecole de Paris-」から続く新作である今作は、一部キャラクターを除き新しいキャラクターが作る物語になっているが、前作のキャラクター達の未来にも触れられ、前後の繋がりやキャラクターの関係性も楽しめる要素として、シリーズ通して楽しめる新作だった
やはりつり乙でのルナ様、朝日コンビの魅力、そして乙りろでの大蔵家のメインストーリーに比べると話のインパクトとしては劣ると感じたが、新作として以前とはタイプの違う才華という主人公で新しい挑戦をした上でこれだけの出来の作品を作ってくれたことには素直に感謝
おそらくまたFDがでるかと思うが、その作品においてこのつり乙2という新しい世代も深みが増し、さらなる魅力がでることを期待します