先の読めない心理描写がメインの作品ではあるが、バトル物というよりは人間ドラマとしての魅力が強かった。未プレイで興味のある人は前作をやってから。
Episode A - Absolite Revenge -
魅力的なキャラが少ないなぁと感じる中、琴美が本当にいい子だなぁと思っていたけど銃の練習をしている辺りの修平と琴美のやり取りが(これ完全に死亡フラグだなぁ…)と思っていたら案の定でした。
黒河をあいつは必ずこの手で殺すと誓っていた修平が、殺害対象である真島に止めを刺さず、恨みのある奴に襲われたときにでも護身のために使うんだなと銃を与えたのは謎だった。(真島と黒河が争っていたことは結衣に聞いて知っていたはず)
修平の行動を不自然にしてまで真島を黒河と対峙させて退場させることに意味があるとは思えなかったが。
最後まで大祐の胸くそ悪さが目立ち、春菜が修平の妹だったこととかどっちかしか生き残れない生死をかけた打ち合いでどちらも殺す気がなかったこととか悠奈からのバトンを引き継ぐだとかいまいち感動できませんでした。
結衣にいたってはほんと無念極まりない。
司と玲はシーンに入ったのが唐突な感じは否めませんでしたが、いいコンビだったと思う。
冷静沈着な司が玲を見捨てずに匿い、瞳に相討ち覚悟で勝負を挑んだところは心境の変化が行動として分かりやすく表れていて人間味があって好感が持てた。
瞳が修平に一途に尽くす理由が薄すぎるのでさすがに何かあると思うが最後まで分からず。
Episode B - Bloody Rave -
説明会を抜けた春菜を追って修平と琴美が抜け出したことでストーリーが変化。
修平がいないことで自ら運営に確認をとった司に瞳が仕えることになる。修平に特別思い入れがある訳ではなかったようだ。
特定の人物に固執するのは性格の問題で運営側の人間で有能な人物を求めただけなのだろうか?
(後の回想で運営の駒ではあるが瞳にその意志はなかったことがわかる。過去にゲームを勝ち抜いた倫理観の壊れた元プレイヤーに嘘をつかれて連れ去られた先で、手を血で染め、歪んでしまった瞳にとって唯一の心の支えだった漫画の悪と戦うメイドの姿に執着することで自我を保っていたことがわかる)
今回は大祐におもちゃにされた初音が大祐を殺すことで2ndステージへ以降。
司は前エピソード同様パートナーと決めた相手を命懸けで助けて死んだ。
冷静な中にある人間らしさがやはりとても魅力的。
初音も大祐と修平を殺したものの充と共にいたことで時間をかけて正常さを取り戻すことができたのは救いだった。
結衣は思ったとおりの優しい女の子だったが、しっかり状況を理解した上で平和を望んでいるし、純粋にその正しさを主張できる。
そして撃つべき時には銃を打つ覚悟もあるし、その行為に悲しむことができる心も持っている。
思っていた以上に人として強く優しいキャラだった。
黒河と玲、そして真島と結衣の4人と瞳の最終決戦では、瞳を討ち取った代償に真島と玲が力尽き、黒河と結衣が生き残った。
共に信頼が芽生えていたパートナーを失った2人が、戻ってきた現実でゲームを主催した運営に対して行動を起こすラスト。
Episode C - Code Revise -
運営から悠奈に送られたメールにより悠奈と修平が共に行動する。
大きく2つに分かれた集団は、それぞれ悠奈と結衣の人間力によってどちらもいい感じにまとまっているなと思ったら、やっぱりそれを乱したのは大祐と黒河の2人。
黒河は初音と結衣に襲いかかる大祐を殴り飛ばしたときはすかっとしたし、真っ直ぐな性格ではあるけど短気で自己中な所は大祐とかわらないんだよな…。
(春菜は1stステージの間に他プレイヤーに3度危害を加える条件を満たすため、まり子は少々問題はあるが許容範囲)
解決不能かと思われた、前回のゲームで死んだ弟の敵を討つという目的を持つ玲と、その彼を知る悠奈がリピーターであることを2ndステージに入るまで明かしてはいけないというルールによる衝突。
それは悠奈が申し出た自らの命をかけた決闘の末、悠奈と弟の関係の誤解を察した玲と、引っ込みがきかない玲を冷静に論破して引かせた司の手腕により回避。
中央管理室から12人が集結する様子を見て、ひよって合流した大祐と危険性の高い黒河を捕縛すると、最後の1人である春菜が現れる。
春菜は修平を矢で打ち条件を満たすも、激昂した瞳が襲い掛かる。
身を呈して春菜を庇った修平の問いかけに昔の辛い記憶を取り戻して瞳は自我が崩壊してしまうが、琴美が持ち前の優しさで母代わりとなることで無事落ち着いた。
ようやく全員が集まり協力して解決できるクリア条件と全て達成させ、ゲームの終わりを待つのみとなるも、6日目になっても運営から終了の通知はなく、悠奈・春菜・修平の3人は多数決により解放された黒河と大祐に気を配りつつ、状況を打破するために脱出の糸口を探すこととなる。
終わらないゲームに他プレイヤーも気づき、まり子が回収していたメモから首輪に飛ばされる信号を無効化する電気吸収体を作るという方針を決めるも黒河は1人その場を去ってしまう。
遂にこの平穏も終わったか…と思いきや、隠し部屋の壁に殴り書きされた遺書で失踪していた姉がこのゲームで昔死んでいたことを知って消沈した黒河と最後まで信じ続けた結衣の想いが通じて結ばれるという予想外の微笑ましい展開~からの翌朝結衣が殺され即2ndステージ。
私は悲しい。
完成していた2つの電波吸収体を使って代表して修平と悠奈がエリア外に踏み出す一方で、リピーターに次々と送られてくる運営からの非情な殺害指令と暴走する黒河。
琴美は2人が帰ってくるまで殺し合いが起きないよう訴えるが黒河は大祐を殺し、瞳は真島を殺害。中央管理室でメールの指示通り殺害を行うか決めかねていた春菜も結衣殺害の真相と修平・悠奈の失敗を知り、初音・充・黒河を殺した。
修平と悠奈が運営により意識を奪われてエリア内に戻され、合流してからも殺し合いは止まらず、瞳の手でまり子が殺され、春菜が殺され、執念で生き延びていた黒河に銃撃されて瞳も命を落とし、瞳から司と玲を守って致命傷を浴びた悠奈も息絶えた。
残った4人は、ジョーカーで4のPDAを代用し琴美の条件をクリア、ジョーカーを破壊して玲の条件をクリア、どちらかしか生き残れない修平と司は公平に勝負をして修平は生き残り、司は死んだ。
琴美・玲・修平の3人がゲームをクリアし、現実に戻って事実を訴えるも隠蔽され、次回のゲームに参加して運営の男に宣戦布告をするラスト。
結局終わってみれば今までと変わらず救いのない内容だったが、先の読めない展開に終始はらはらさせられ見せ場も多く楽しめた。(リピーターズコードの内容があまりに直接的でひねりも何もないものだったのは都合のいい展開だなとは思ったが)
これが最後のエピソードだと思っていたが、新たにEpisode Dが解放されたようなので最後にハッピーエンドを期待したい。
Episode D - Decoded Real -
運営の男が上司の謎かけに動揺したこともあり、質問に来た修平と春菜に今回のゲームの特殊性や選考基準などを語りかけたことでシナリオが変化。
修平と春菜の父親かなぁとエピソード開始時点で想像はしていたが、面影もあり修平に至っては苗字も変わっていないのに気づかないのは明らかに不自然だと思っていたら案の定記憶が消されていたらしい。(あ、先が見えたな…)
リピーターであることを隠す必要がなくなった春菜は、修平にその理由やゲームについて知っている知識を話し、修平は運営が動いてくることを読んで結衣の殺害を未然に防いだ。
見せものであることを利用して運営の男と交渉を計ると、5分以内誰かを殺さなければ首輪を爆破、誰か死んでほしい奴の名前を言えば助ける、と条件を出されるが全員が死を覚悟して必死のだんまり(大祐はここで名前を叫ぶ姿しか想像できない)
制限時間が過ぎる直前、修平と春菜が自らの子供であることも思いだし、その姿に根負けした運営の男はパネルを壊して組織に背いた。
自動発火装置で燃え盛る中、実行部隊と対立して島から脱出するための船がある北西を目指す。
初音を守って充が死に、まり子を守って真島が死に、かっけーよこいつらと思ってたら大祐はやっぱクソだった。
今回はみんなの生存を考えての行動だったようだがやり方が最悪だし彼の生き方には何も賛同できない。
黒河をかばって銃撃を受けた結衣が死に、琴美を逃がして戦った春菜と瞳も死んだ。狙撃された悠奈も、最後の狙撃兵を仕留めて力尽きて死んでしまった。
生き残ったのは7人。
脱出後、エースに救出され組織の手を逃れて10年。
彼らは理不尽と戦う最後の戦いへ踏み出す。
真島の姉の形見を引き継いだまり子がそこに刻まれた姉の名前であるHUMIKAから文香と名乗り前作であるシークレットゲームに参加していたこと、そして救出にきたエースのメンバーがこの生き残ったメンバー達だったことは衝撃だった。
客を装って情報をリークしたのが初音、タカ派の部隊には黒河・玲・司、中継役として最前線で指揮をとったのが修平・琴美。
今作はハッピーエンドにはならなかったが、この作品のエピソードがあったからこそ前作シークレットゲームのハッピーエンドがあったのだと思うととても感慨深くて涙がでた。
まり子はこんなに精神が弱かったのに今作の経験と10年の時を経て見違える程強くなったものですね。
Episode Z - Zeroing Rebel -
悠奈が最後に銃撃されて意識が朦朧としていた一瞬で見た走馬灯のようなもので、玲の弟である彰と出会った彼女にとって最初のゲームの記憶。
まり子が拾ったメモは前回参加者の刑事である英吾が書いたものだったが、クリア条件を満たさなくても首輪を無効化させる手段に気づいていながら2ndステージに移行した直後に殺人を犯したのはなぜなのかと思ったが、貴真が裏で動いていた可能性は想像できたが、彼がジョーカーでそして生きていたことはさすがに分からなかった。
悠奈と彰は、英吾のPDAのクリア条件を入れ替える機能とJOKERを使って2人とも生き残ろうとしたが、貴真は自らが理不尽となるという歪んだ思想から2人目の前で自殺。
彰は悠奈を生かすためにひと芝居打って悠奈が打った銃弾を受け止め、悠奈だけが生き延びた。
おまけのようなものかと思ったけど1ルートのみにもかかわらず1つのゲームをしっかり描いていてくれていてよかった。
前回のゲームの死者が集められていた教室になぜ英吾が回収されなかったのか、調べたところ地上の死体は数ヶ月~1年で完全白骨化するらしいので1年後の次回のゲームで白骨化していたことは不自然ではないようですが、リュックの中身の金属が残っていなかったことを考えると英吾のだけがみすみす置き去りされたことになります。メモに関しては抜き忘れで、真島が言っていたエリア境界線付近の見せしめの線が強いでしょうか。
総評
今作では全エピソード通して不確定な運営の行動や演出のための都合のいい展開があったのも事実で、ジャンルのサスペンスとしては改善の余地がある。
しかし、それを考慮してもシナリオはよく考えて作られていて、最後に前作のシークレットゲームに繋がると展開はとても素晴らしかった。
内容自体は趣味の悪いものだが、理不尽な状況の中で人間ドラマを描き、そこで生きるキャラの意思と根本的な悪である組織に対し、抵抗の末それを覆す姿まで描ききったシークレットゲームシリーズは、今作でさらに深みを増し魅力的な作品になったと思う。
バトルロワイヤルとして高度な駆け引きや戦闘描写、違和感のない展開を重視する人にとっては評価が下がってしまうかもしれないが、しっかり作られた各キャラの設定とその関連性や背景を組み込んで描かれたシナリオは作品として大きな強みだった。