シリアスや泣き要素はあまりありませんが、ホッとする内容でした。登場人物がお互いを分かり合うやり取りにため息です。
この作品のお話は、学園内外の様々なトラブル解決を請け負う『相談室』の一員である崇村虎太郎が主人公。傍から見れば苦労人ではあるものの、元来世話焼きな性分である彼は、『相談室』の仕事を当たり前のようにこなしていた。そんな彼はある日、『退学一歩手前の校則違反を犯したひねくれ者・空小路織衣』の教育係となることを命じられる。
そんな感じで始まります。
『相談室』という性質上、なにかと学園内を東奔西走することになり毎日が慌しいです。
そもそもこの学園が実験的な学園都市構想の上に成り立っていて、登場人物がモブに至るまで割とアクティブなんですよね。この点が学園生活を盛り上げていて、作風が気持ちいいというか随分とさっぱりしていました。
そうした学園での生活と、アパートに帰ればオンオフが切り替わってゆったりした空気が流れるのでこの二面性が私のツボを突いてくれました。
この作品の主人公はあまり人の心にズカズカ入り込んでくるタイプではなく。『相談室』という立場で培った、聞き上手なところがありますね。少々出来すぎで人心掌握の傾向が強いのが気になるところですが、人との距離感が非常に上手く描写されています。
この距離感がとにかく心地よいです。特に幼なじみの有希とのやり取りはお互いを分かり合ってる感が強くて、人気が出そうだなと。
主観ですが、最近のキャラゲーと呼ばれるジャンルにおいての主人公は自分の気持ちを押し付けるタイプが多い気がします。もちろんそれが悪いとは言いません、純粋であるとも捉えられますからね。けれども直情すぎるとカップル成立へのプロセスが省かれてしまい、結果的にイチャラブに多くの時間を割けるものの、『恋』が成立した理由があいまいになってしまう。私はこの『恋』というものを見たくてエロゲをやっています。なのでカップル成立まで比較的じっくりと楽しめたこのシナリオがとても気に入っていますよ。
こうしてカップル成立するわけですが、以降はもうイチャコラするのみなのですw
恋する過程がしっかり描写されてきただけに、感情移入度が高まりキャラクターの可愛さだとかエロさが上がりました。
ふとした会話に妙な安心感が沸きあがりますね…ため息が出ますよ。
シナリオは有希と織衣が抜きん出ていますね。有希は幼なじみ故の過去話にグッときます。
織衣はメインヒロインとして、他のルートでの語りがかなり心に刺さるので、最後に攻略で正解でした。
・エロについて
各6+予約特典で追加、計37枠。
私としては上記の通りにキャラにハマったのでgoodでした。
けれども織衣の声優さんはエロに慣れていないようでちゅぱ音が弱いですね。
シーンの尺は中程度、シチュエーションにはこだわっています。
文中のハートは要らないと思いますがw
ルートの3/4をすぎるくらいでカップル成立→エンディングまでの間にエロが入る(一部暁の護衛AorBパートみたく強引な挿入アリ)わけでかなりスパンが短い。ここは回想におまけのがまだ良かったですなぁ。
例の作品に出たシーンですが、ライターさんの別名義ということで一応の決着?
シーン回想でオート中にctrlスキップするとループするバグがあるので修正希望。
・音楽について
『相談室』の活動その他あれこれやっている割にそう忙しなく感じないのは、ゆったりとした曲調が多いおかげなのでしょうか。
OP「Happy! Puppy!」は中毒性抜群です。はぴはぴ ぱぴー うぉーううぉー!
総評
何はともあれ『僕らは恋するために生まれてきた』とのサブタイトル通りに恋する過程を楽しめたので満足です。プレイ後の気分が清々しい。
学園ものというくらいですから、何か活動をしてみたり人間関係や恋に悩んでみたり。この作品にはそういった要素が詰まっているので楽しさがいっぱいでした。
シナリオにシリアスや超感動はないので、掛け合いに感心しつつも展開は平坦なのが正直なところ。私はこういったいわゆる“雰囲気”が好みですが、人によっては物足りなさを感じることもあるでしょうね。
W.L.O.世界恋愛機構のアレンジが数曲あるのと、登場人物の繋がりがあるようなのでそちらをやると一層浸れるかも。あちらも面白いです。