短さはあるものの、各ルートで言いたいことややりたいことはわかるのでそれなりに『おっ』とくる場面はあります。ただ、メーカーさんが推してきた佐本二厘さんを起用した舞白ちゃんですが、シナリオも優遇とは言えず……。
『"魔法"が当たり前に認知されている世界で暮らしながらも、実際に魔法を見たことがない主人公。そんな彼が通う学園で、"魔法部"と"科学部"が生き残りをかけた勝負をすることになってしまう』
パッケージにはこういったあらすじが書かれていますが、実は違います。
まず、魔法を見たことがないということ。
ゲームを開始すれば早々に主人公の母親が魔法使いだったことが主人公自身により語られるので?となってしまいます。
抽象的で、はっきりと~をする魔法とは明記されませんがわざわざそこを押しくるのは疑問。
そして次の"魔法部"と"科学部"の対立という点。
正確に言えば魔法の肯定派と否定派で意見が分かれているのは確かなのですが、そう対立を強調するほでの展開もなくずいぶんと緩やかに進みます。
さてゲームの進行ですが、学園モノらしい体育の授業風景や学園祭といったCGを見れるようなイベントもなく、部活動メンバーでのずいぶんと波のない日常がしばらく続くことになります。
集団になるとホモくさい友人に電波な舞白ちゃん、エセチャイナを全員でいじる繰り返しで正直飽きがきましたね。
そういったマイナスの反面、ヒロインと一対一になった際のやりとりは個々の良さが出ていて個別イベントがある度に好感度が上がっていきます。この点は割と良かったです。
ここからは各ルートに軽く触れます。
私が攻略した順に
・あやめ
"科学"という分野で努力する、その理由が軸。あやめが悩み怯える描写はもっと徹底的に落としてくれたくれたほうが、ラストに反動で良い終わり方になったのではないかと。
クーデレ。付き合いだしてからのストレートなベタつき具合にはニヤリとできました。
オッドアイはただのデザインです。
・佳奈香
魔法への憧れと現実のギャップ。一応筋は通っているものの、他の三人に比べて共通での扱いがぞんざいなので影が薄い。
・依吹
ゲーム開始直後から主人公にべったり。好意はもちろん持っているのですが、胸中には他の感情も持ち合わせており…。
若干精神状態が不安定なのでともすれば化けそうなキャラだったのですが、惜しい。
中の人の演技で引っ掛かったこと。
○願った、とある
×願ったと、ある
他にも読み違えている部分がいくつか、これは文が間違っているのかなんなのか。何にせよチェックしてないのでしょうか。
・舞白
ふーりんボイスで容量を通常の三倍にしたよ!とのメーカーさんの売り方にきたないとか思いつつも釣られました
蓋を開けてみれば随分と天然というか電波な痛い娘で、会話を成立させるのが困難です。
そして正真正銘の魔法使いで真のヒロインとしてのシナリオはというと……特に突出しているわけでもなく。
総評
舞白ちゃんが心優しい魔法使いだということはわかりましたよ、えぇ。
ただ、この作品では魔法を扱うことにメリットはあまりなく、魔法そのものに魅力が感じられない。イベントCGにおいても魔法を使うのは5,6枚程度、しかも物体停止や光球くらいの能力しか登場しません。
一番納得がいかないのが舞白のみエピローグが存在しないこと、いきなりタイトルになった唖然としました。
キャラゲー+本当にちょっとしたファンタジー。
依吹の性格やあやめルートでの黒さなど、惜しい点もいくつか感じられます。ライターさんの旧作をプレイした限り、冒険というか一歩踏み込んだシナリオを見られないのが引っ掛かりましたね。
ここからは私個人が感じた内容とは別のことを。
パッケージにクリアブルーコミュニケーションズの名前があるということで、関連ブランドを彷彿とさせるものがいくつか。しかも負の部分ばかり。
まず全体的にキャラの肌の色がおかしい。
かつてしとろんソフトの初恋タイムカプセルにて男が色黒になりましたが、この作品でも男性キャラに違和感が。
しかも近作では立ち絵で登場する友人がそれですから、画面内でやたら浮いて見えます。
ちなみにしとろんソフトもクリアブルーコミュニケーションズ傘下でしたからそこから邪推。
次にBGMが空気を読んでくれてない。
タイトル画面で流れるbeliefをそのまま学園内で使っていますが、どうにも大人しすぎて活気が感じられない。
Orange Memories(こちらもクリアブルーコミュニケーションズ)でも似たような引っ掛かりを覚えていました。
このブランドで果たして二作目は出るのでしょうか。