女装ゲーというよりお嬢様学校ゲー?
シナリオ
私見ですが、女装主人公モノだと「女装のためのお嬢様学校」という作品が多い中、この作品は「お嬢様学校のための女装」であるように感じます。極端な話、主人公である千早くんが素性と過去を隠した女性という設定であっても、(面白味は薄くなりますが)成立し得る作品だと感じます。そのぐらい、男性から見たお嬢様学校というものを綺麗に、丁寧に描いていると思います。
物語としては、恋愛よりも友情に重みを置いた作風。また、千早くんとヒロインたちは皆家族との問題を大なり小なり抱えており、共通終盤以降はその部分に踏み込んでいきます(PSP版でも同様)。
ただ、共通ルートがとにかく長い。物語の期間は4月から翌2月まで(EDのみ3月)、夏休みの8月以外のひと月を1話とした10話構成なのですが、このうち共通ルートは4月から12月の8話まで。流石に途中の選択肢で展開が変わったりはしますが、それでも長い。ただし、作中期間が長い分、友情から恋愛への発展という感覚は強いです(特に薫子さんルート)。
また、ファンタジー・オカルト要素もあるので、苦手な人は注意。ケイリさんルートの超展開っぷりにも注意。
キャラ
何はともあれ主人公の妃宮千早くんですよ。私の中での揺るがぬ最良主人公。「女性でも成立する」とか書きやがりましたが、それとこれとでは話は別。
女装主人公としては珍しい美青年・美人系。ちょっと皮肉屋でクールかつ紳士的な素の性格と、母親のような抱擁力の女装時の性格、そして両方に共通した他者への思いやりと優しさ。暗い人生故の達観的・諦観的・自虐的な考え方と、そこからの脱却。崩れゆくジェンダーアイデンティティー。
もう最高。とても語り切れない。
また、演じている菜ノ花さくらさんの演じ分けも凄い。素と女装時のそれぞれの性格と、共通した内面を見事に表現しています。
千早くん以外では、もう一人の主人公兼メインヒロインとして終始存在感のあるダメカワな薫子さん、千早くんと母娘のようなやりとりをする優雨さんがお気に入り。優雨さんルートはPSP版限定なのが残念ですが、優雨さんとのHシーンは流石に絵面的にヤバそうなので仕方ない気もする。
それ以外のキャラもサブ・モブキャラ含め、みんな良いキャラしてます。また、名有りのモブキャラにもコンパチ立ち絵が用意されているのはナイス。
その他
BGMは作風にあってる。立ち絵・CGはやや癖がありますが私は好き。OPは最高。Hシーンは期待するな。
またPC版とPSP版で攻略可能キャラが一部違うので注意。エロい2人がPC版限定、子供っぽい2人がPSP版限定と、一応合うには合ってる。
女装ゲーに少しでも興味のある方はやりましょう。そうでなくても体験版はやりましょう。