キャラゲーに見せかけたシナリオ特化のノベルゲー
まず驚いたのはヒロイン2人の攻略を終えてEDが流れる所までプレイしたがエロシーンが一度もなかった事。本編ではどちらかといえば町や記憶喪失、謎の現象についての解説がメインで、特にこちらの概念そのものを覆すようなトリックは圧巻だった。さらにそのトリックが存在する理由についてもプレイヤー側が納得させられる設定もしっかりとある。
芸術、特に絵画の説明が何度も挟まるので個人的には興味深かったが、全く興味が無い人にとっては退屈に感じるかもしれない。しかしそれもこのアメイジンググレイスという作品に欠かせない要素だったのだと最後までプレイすればわかるだろう。
萌え要素やキャラの可愛さ等、所謂キャラゲーに求められる特定のキャラに焦点を当てた話だが、本編では共通+個別√の半分程度なので物足りないように感じるが、こちらも長めのアフターである程度は補完できていると思われる 。終盤では泣けるシーンも多かった。しかしやはり短めな事に変わりはないのでその部分を求めて買うものではないだろう。
総評としては傑作ノベルゲーと言った所。細かな伏線も丁寧に回収されているので読んでいて気持ちのいいものだった。とにかく芸術を重んじるという独特な世界観なのでキャラに共感しにくい部分はあったが、逆にそれがキャラの魅力を引き立てていたともとれる。特にサブキャラもストーリー展開の為に用意された駒にならず、一人の人間として好きになれるような魅力溢れるキャラばかりなのは高評価。
シナリオゲーや泣きゲーを求めて購入するならばまず後悔することは無いだろう。ここ最近発売されたものの中なら群を抜いて素晴らしい出来なので是非プレイして頂きたい。