三章が至高
自分は歴史苦手な人間ですがバトルものと聞いて手を出してみたらあたりでした。
とりあえず孫太夫さんのキャラが半端なくよかった。唐突に出てきたときはびびったんだが、それ以降なじんでましたね。ことあることに出てくるあのこけしが江戸でよく売れてるらしいとかもう…(笑)
最近は長い話は途中で投げてさわりだけやって積むことがほとんどだったんですが、なんかこれはスラスラ読めたのは確か。キャラが立っているから退屈しにくいってのと目的がわかりやすく先が気になったってのが良かった。そういう意味では4章が今一歩退屈でした。勉強にはなったけど。
以降章ごとの感想でネタバレ全開です。
1章は仇討ちの成功へと向かう過程が熱い、忠臣蔵としてはここが面白いんだろうと思う。細部にわたり描き切っていて、作者がよく勉強しているのがわかる。武士の矜持の尊さみたいなのがきちんと表現できていた。このゲームならではのよさだと思う。
2章は仲間の生存ルートを探すが歴史には勝てないというループものらしい展開が良い。ここで生存に成功したらゲームが終わってしまうので必然、主人公はいろいろ失敗したりもする。とはいえ、修行で剣術の素質が開花していく展開は燃える。そこら辺をもっと広げてくれたら完璧だった。
3章は現代に戻るのがわかっているのでその過程に期待していたのに気づいたら完全に主税との恋愛ルートになっていた。というか2章の主税がすごく物わかりが悪く嫌いだったんでダメかと思ってたらあれは3章のための前ふりだったんですねという。まあ、主税の失禁シーンがこのゲーム屈指の衝撃シーンというちぐはぐさも結構好き。現代に戻って接点がない状態からのあのトラップは主税さん反則すぎると言いたい。
4章は忠臣蔵の表の物語からは見えてこない裏の面について言及しています。橋本兄弟の話もそういうことだと解釈しました。5章へ向けた溜めですね。
5章は小夜関連が秀逸。姉妹愛がそんなに言及はされていないながらもすごく感じられて好きだった。小夜は討ち入りで姉を失うことを理性では理解しても気持ちでは理解していなかった。まあ子供なんで。そして、最後には1人江戸まで来たのに討ち入りの決心が鈍るから近づいて言葉はかわせず。それでも遠い距離からお互いの気持ちを確かめたシーンはわがままを言っていた小夜の成長がものすごく感じられた名シーンでした。小夜とえもしちの成長の物語が見どころだと思います。
ラストはアレでしたが、まぁ見どころや名シーンが4章以外の各章にたくさんあったので個人的総合では名作認定。
名シーンを描く力量のあるライターという面で見たら大御所のライターにも余裕で並んでいると思うので、文章の粗さとか締めで損しているとか色々突っ込みどころははありますが、今後楽しみな人が出てきたなと。