非常にストレートな話。ネタは陳腐かもしれないが深く掘り下げてあり飽きなかった。そしてラストは秀逸。心に残る佳作だと思う。そして、僕のMMORPG感を変えたと思う。
序章でケンがネトゲーをやめる時の言葉「僕はここにいたよね」、これでどういうネタかが分かってしまった。ただ、そこでケンを探そうとする主人公の勢いと、それがマナー違反であるという葛藤、オフでの仲間との人間関係などが深く掘り下げられていて、先が分かりつつも読んでしまった。そして最後が秀逸だった。
MMORPGではキャラは死なない。消さない限り永遠である。また、キャラと本人はまったく別人のように振舞うことができる。こういった要素はMMORPGが現実とひどく乖離したものとしている。しかしながら、だからこそそれは救いであり希望となり得る。
そういう細い細い結論をテーマにしたこともすばらしいが、そこへの道をつなげたライターの実力に脱帽する。