ラブストーリー。90%はミステリーで、謎に捉われてしまうかもしれませんが、そこには究極のラブストーリーがありました。今から見れば古臭いかもしれませんが、大正明治の雰囲気がする良い作品だと思います。
【感想】
究極のラブストーリーでした。
物語の登場人物は『彼女』と『主人公』だけ。
あとは主人公の自慰的存在だったと思います。
『彼女』が存在を示すことが出来る主人公が描く空間。
そこで彼女は主人公を、愛し、癒し、嫉妬し、導いてくれました。
もちろん主人公が自分の自慰に浸るハーレムエンド、希(望み)エンドもありますが、現実に戻るエンディングは『彼女』エンドオンリーでした。
-------------------------------
ミステリアスな繭実であり、元気な繭実であり、嫉妬(瑠璃への攻撃)、愛し合うこと(エロ)
いろいろな彼女の演技や想いが見れ、結果的に自慰をしている主人公を目覚めさせ、現実に導いたこと。
ホラー的なシナリオでは(シナリオは三本あります)、主人公には狂気だけだったかもしれませんが・・・私の視点(二週目以降)では、カップルがイチャつき痴話喧嘩しているのと同じこと。
官能シナリオ、希との融合は主人公を受け入れたいからでしょうか・・・ここでも瑠璃を邪険してます。
人殺しや融合なんて、実際には愛も何もあったものではないと思いますが、
狂気でさえも、【創作という舞台の上】ではラブストーリーになると感じました。
---------------------------------
【裏繭実エンド1:蜜柑の始まった場所】
器は消えた、何か器と現実を割り切れた感じがします。
そして理由を思い出し、なお物語を書き続ける主人公…。
「夢の中で覚めないまま、ずっと私はいるのかもしれない」「私の夢は痛いと思うわ」
主人公も彼女が理想としていた夢を見ていくのかもしれない。
主人公が書くネバーエンディングストーリー…その中に彼女の存在は?
永遠を望んでいた彼女、階段の上から見つめる瞳、そこに答えがあるのではないでしょうか。
【裏繭実エンド2:蜜柑の中のあの屋敷】
エンド1と違うのは、主人公が物語を書き上げる…ということでしょうか。
彼女にさよならを言う悲しい物語。
そして『もう大丈夫だよ』と言った主人公。
繭と実から抜け出すこと、彼女からの自立。
彼女もそれを望んで導いていたのかもしれません。
何にせよ夕日の彼女はとても・・・心に入り込んできました。
エンド1、2の違いはあれど、彼女が主人公を想っていたのは間違いありません。
精神と肉体と、二つのエンディングを用意していたのかもしれません…。
でも、言葉を止めたことで死んでしまったのなら、言葉を紡ぐことで生きるかもしれない…。
そんな裏繭実エンド1が好きですね…。
【希エンド・・・】
自慰から抜け出せない、現実感のない永遠。
…自分の望み(希)の物語。
希も媒体の力で我を持てたのかもしれませんが、どこか痛々しいエンディングでした。
------------------------------
彼女のために物語を書く主人公、それに答えるであろう『彼女』
全てが彼女と主人公のラブストーリーであり、現実なのだと、そう思いました。
【戯言】
本当に面白かった作品はひとつの世界
テキストがどうとか、画像がどうとか、興ざめしているレベルならともかく
世界に入り込んでいると気にならないものかもしれません
自分の好みとか、または集中力があったからか
作品そのものの力か
いろんな要素あるにせよ、作品に入り込めるのは良いものです