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kaglaさんの無限煉姦 ~恥辱にまみれし不死姫の輪舞~の長文感想

ユーザー
kagla
ゲーム
無限煉姦 ~恥辱にまみれし不死姫の輪舞~
ブランド
Liquid
得点
76
参照数
1136

一言コメント

怪作?問題作?いいえ とある不死な人の物語です

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

1Gを超える体験版にエロ部分はだいぶ詰まっていた、と思っていい
ただ本質はエロが徐々に薄まっていく体験版後の章であり
また随時開放されるサブキャラ視点のEpicにも比重が置かれている

序盤からのガチ陵辱、人体破壊(CGは無し)が目立つ暗い展開と
最終章の温度差は単にHシーンの有無、というよりまるで別印象なのだが
プレイをした時の違和感はあまり無い

全体の作りは良質であり、サブキャラと女主人公の関係性や各エピソードのつながり
主人公の劇的な成長と共に進んでいくストーリーに
多さはさておき陵辱がある、という所にも意味をもたせた部分など
「男性主人公とヒロインが惹かれあえばHシーンをとりあえず入れちゃえ」というものとはだいぶ違う
そういう作りを否定するわけではないが
ああ、ここまで作り込んだんだ と素直に思えるレベル
最後までキスすら交わさなかったゾワボと舞美には
強烈な愛を描きつつそこらのエロゲとは同じにはしないという作り手の自己主張も垣間見えた

反面 数百年という時間の要所のみを切り取って見せる手法ゆえに
切り出した部分と飛ばした部分の落差は激しい
「文章量」が足りないと言うのはさすがに気の毒ではあるが
全体の作りに甘えた「文章力」や「配分のバランス」にも難があると感じる

ゾワボがなぜいつも奴隷を傍観していたかの告白や
最終章で舞美が「美幸や美和子のために」という部分など
全体の核心を担うようなシーンでも
説得力抜群というよりは、文章力の弱さ、描写不足のまま話を進めていく場面が
序盤から最終章まであまりに多く見られる

プレイヤーは当然、何百年も生きた事はないのだから
なおさら王の孤独には強い「共感」は出来ないだろう
様々なシーンで「へーそういうもんなんだな」とかなり遠くまで引いて納得するだけになりかねない
最終章だけでもぐっと引き込む的確な文章量と文章力まで欲しかったと思うのは贅沢だろうか

数ヶ月の出来事より数百年の残酷な話×すさまじい数のループという方が
単純に重みは出るかもしれないが
無限煉姦にあるのは単なる長い年月による重みだけではなく
昔話や神話でも多く描かれる愛や勧善懲悪などの 安易に共感出来るものに終始したわけでもない
題材や手法ゆえに引き込みきれない作品とも感じたが
この人はいつもこういう作風だ、と片付けるにはもったいない強い魅力はあったと思う