いろいろと詰まっていてそれなりに労力を掛けた感じはする分、印象も悪くけなしやすい作品ではある。ゲームは労力を掛けただけ面白くなるものではないと思うが、今作は「一刻を争う大事件の続くメインパート」と「のんきに遊びまわる学園パート」をどう1つの料理にするのかと思いきや、何も考えず適当に混在させるだけという企画の部分からつまずいていて、少し労力を無駄にしたように感じる
初めに言っておくと
いろいろ事件の続くメインストーリーとのんびりまったり学園物というのは
相性は悪いが決して合わせられないものではないと思う
名前は挙げませんが例えばコンシューマのRPGとかでありますよね
アニメ化もされましたが、あれけっこうわたしは好きです
既存のパターンとしては
わけのわからないまま事件に巻き込まれる>徐々に真相に近づくパターン
これだと主人公達に真相や元凶が見えてくる終盤までは
「無理に焦って行動をする必要がない、何かしたくても具体的な攻撃対象がわからない」ので
その都度何かに巻き込まれるまではのんびりまったり青春パートがあっても特に違和感はない
あとは山を複数作るパターンもあり
事件が起きる>解決する>平和なのでまったりする>でも裏ではまたさらに大きな事件が・・・
これでいくつか山を作ると谷間は主人公の主観では平和なので問題なくまったり出来る
他にも考えればいろいろ出来ると思われます
比率は気にせず合わせるというだけなら単純に
夜が来る!のようにシリアス目に寄せるか
ぱすてるチャイムCのように(少なくとも途中までは)一刻を争う大事件が起きないようにするとかそれだけで十分
まあそれを避けたのだろうけども
今作は最初からバインドを一刻も早くどうにかしないと暴れるし憑かれた人は廃人になるし大変な事に!
という出だしから常に何かしら大事件に巻き込まれるわけですが
実際は買い物したりデートしたり温泉で女湯覗いたり学園祭でメイド喫茶をやったり
対極なまったりパートが間にどっさりあるので
主人公達は自発的に、必死に事件を収束させようとする行動があまり描かれない、というか描けない
偶然巻き込まれた事件はすべてバインドからみという予定調和で何とか話は進行するが
展開は1から10まで悪役任せ
結果いろいろと落ち着かない作りになっている
最後の最後まで悪役の手のひらで踊らされつつ最後だけ完勝
よしこれで世界の平和が守られた!と感慨に耽りドヤ顔するには少々さみしい
全く別の世界のように気にせずどっちも楽しもうとすればいいのかもしれないが
手に汗握る大事件を描くほどまったりしてる場合じゃないわけだし
平和なまったり学園物を頑張って描くほどメインの事件は
「焦るほど大した事件じゃないんじゃね?」と茶番に感じられる
調理し1つの料理にしたというより、生の食材を交互にかじってるようなこの作りが
少し自分の首を絞めてしまったかなという印象
ただ意図はわかるし狙いも伝わる
カイトス「もう一度学生になってわかったんだ まだまだ捨てたもんじゃないこの世界も(中略)」
このハードの一番ラストのセリフでどっちのパートも意味があったという事なのだろう
この言葉も目指そうとした物も評価したい
ただそれだけに緊張感のあるメインストーリーと
全力で青春をする主人公達をきちんと両立させて描いて欲しかった
評価はするが同時に、1週間買い物やデートしっぱなしでもその間は絶対何も起きないという半端な部分や
途中から散々世界の危機と煽りながら緊張感に欠けたメインストーリーの弱さで少々白々しい言葉にも感じた
世界観に伴うご都合設定てのは好きに作ってくれていいと思うけど
世界の危機でもデートの時は絶対平和なので気にせず楽しんでねってのは少し違う気がする
ついでに言えばメインパートも学園パートもSRPGも正直そこまで大したものではない
3つ合わせればそれなりの労力を掛けたとは思えるが
俺達の戦いはこれからだ!で終わり緊張感にも欠けたメインストーリー
メイド服CGがあるだけで会話もエピソードもろくにないメイド喫茶イベントなど、熱意を感じないテンプレ学園パート
スレイヴバインド2つとアクセサリーが1つつけられるだけで武器や防具もなく底が浅い上に周回も微妙なSRPG
まあ特に強制の学園イベントはメインとの食い合わせの悪さのせいか
シリアスなイベントはともかく、のんびりまったり青春イベントは
「学園物なんてこの程度で十分だろ」というほどほど感があって印象はあまり良くない
エロ含む個別のイベントの流れは全部見るのはかなり手間だが個性的なものもあるし数、質共に何とか及第点と思う
シャーリーの後半のエロかわいさなど考慮してもあまり高く評価は出来ない作品
とはいえ誉めようがないクソゲーというわけではないので
紙芝居ノベルは嫌いでゲーム性があればとりあえずやりたい、という方にならオススメ出来る