見事になり損ねた 独り言加筆有
昔、子供だったアナタへお贈りする、
新感覚セイギのミカタの物語、ここに参上!!
このキャッチコピーを見て思うとこはありました
実際ストーリーも最後までこの言葉を体現してたと言えます
ヒーロー物として基本は押さえつつ
各設定、人間関係のつながりなどはとてもうまく扱っていて
盛り上げる場面でのアニメーションといい
瞬間的な驚き、感動は十分入っているかと思います
2人の結城ヤマト、2人のほんごうはるな、電激ストライカーにミラー
序盤に設定自体はほとんど明かされつつ
少しベタなくらいにメッセージ性をもつ、願ったヤマトと願いが生んだヤマトを分離させ
はるなと共に最後のオチまで様々なメッセージをのせてたと思います
「子供の頃の夢は恥ずかしい思い出なんかじゃない」
「子供の頃のまま夢見たっていいじゃないか」
「子供の頃夢中になって見たアニメは、大人になってアニメを見なくなっても(エンドで消えても)思い出になって残るんだよ」
(アニメのくだりは的確な言葉が無くて例えてみました
言葉足らずで申し訳ない)
思い出をテーマにした主人公、ヒロインを配置して作られたストーリーはなかなかに秀逸
「昔、子供だったアナタへお贈りする」
いや、お贈りしたい何かとして、説教くさいわけでもなく
1つのお話としてはとてもよく出来ていると思います
正直1週目をやった時には久々に90点台でも付けるかも、とさえ思っていました
でも最後までやってみるとゲームとしては長所も短所もとにかく多い
盛り上がる戦闘と盛り上がらない戦闘
声優の熱演(緒方さん素晴らしかったです)好演に一部の微妙な演技
よく出来たシナリオに短すぎる文章、描写
圧倒的に出来のいいOP曲&ムービーに、全く印象に残らない他の曲
個性的な愉快な敵キャラに、全く見せ場の無い扱い(一部には有)
挙げていくと他にもあるんですが
一言で言えば
「もっと長くして」
これに尽きる
仮面ライダーでも戦隊物でもロボットアニメでも
ストーリーの根元に関わるとこの総集編+戦闘ダイジェストだけ見ても
全話見るのとは全く違うように
無駄も無く、削れるだけ削ったんだけど
どうでもいい物は残ってる割に
必要だったとこまで一部削った物を見たような、
何かがっかり感が、要所を押さえてるにもかかわらずあふれています
何がもっと欲しいのか人によって違うだろうと思うし
そこは個人的な意見になってしまいますが
ん、何かちょっと足りないなー感を感じた人は他にもいるんじゃないでしょうか
個人的には「あってもいいし無いとさみしいようなサイドストーリー」を
もっと入れて(特にヒルコ、母、リン、ジャック)
各描写をもっと丁寧にすれば
いろいろ感じる唐突感やいらない子感が無くなったんじゃないかな、と
よく出来ているのに、よく出来ていない不思議な作品でした
またバンド物に戻るのかもしれないけど
この路線でいくなら次こそはの想いと共に応援しますよ!
-以下 独り言な加筆-
今も子供の心を持ったアナタ
にではなく ましてや
今現在子供のアナタ
に贈るわけでもなく
(実際年齢が子供ならやっちゃいけないわけなんですが)
この作品のテーマは別な所に向いている
多くの特撮物、戦隊物、熱血ヒーローアニメ
それらの多くは冒頭から
世界征服をもくろむ悪の組織及び怪人や地球の平和を脅かす怪獣などが登場し
基本的に毎話ごと地球にプレッシャーをかけてくる
それを主人公が毎回撃退し次の回へと進んでいく
回によっては怪人そのものが出てこなかったり
良い怪獣が出る回だったり
恋物語だけの回だったり
地球の平和を脅かさない回というのも存在することもあり
また主人公自体が負ける回というのもある
その後に何か大逆転劇があったりするわけだが
それはあくまでイレギュラーな回であり
最終的な結末は
「地球の平和は守られた」
という事に収束する
だが電激ストライカーでは
悪の組織は存在すらしない
悪役は序盤からいるが
彼らは零の章で約半数が
天、空の章では死んだキャラはともかく全員が悪役ですらない
天の章から純然たる悪役であるカーチスが登場するが
そこでのカーチスは自分を強化するため研究所を襲う存在で
空の章では別の手段で強化に成功し
「空腹だから」近くの物を食べる存在である
「強くなったし(世界征服をたくらむ)バルボラ帝なんてどうでもいいや
それより腹ヘッタ」というラスボス
世界制覇的な事をほのめかすテキストもあるし
放置すれば世界は滅びてしまうだろうが
それを倒すミラーの体に子供の頃のヤマトの想いが宿った電激ストライカーは
(長いので以下ヤマト(幼)で)
世界平和のためではなく
幼馴染みである実在の本郷春奈を守るため
カーチスを倒せば春奈が元に戻るから
子供の頃守れなかった約束を胸に 今度こそ約束を守るために戦う
そのため最後にヤマト(幼)が言うセリフは
「これで地球は平和になったんだね」などという事はなく
「ぼくはヒーローになれたかな」
から始まる一連のセリフとなる
多くの特撮、戦隊、ヒーロー物は
イレギュラーな回はあっても
最後まで地球の平和を守る勧善懲悪が根底に、そして主題にあり
そのオチは悪の組織、ラスボスを倒し
「これで地球は平和になった」というとこに落ち着く
いうなれば「勧善懲悪」、「世界平和」という主題に恋物語や主人公が負ける回や友情、コミカル、その他のエッセンスが加わった話である事が多い
でも電激ストライカーは
子供の夢が叶う
約束を守れなかった子供がついに約束を果たす
子供の頃の夢、思い出を(強制的に)失ったヤマト(大)が
それを見届けた後に彼にとっての現実に帰るお話であり
勧善懲悪、世界平和はテキスト上、エッセンスですらあるか怪しい
それゆえに
実はバルボア帝国が実在し
その悪の組織の大群を迎え撃つため
すべてのストライカーが命を賭けて地球の平和を守り
最後に思い出コレクターをぶっとばして一泡ふかせるような
痛快なエンドになる事はない
そういう話と思えば確かにうまく起承転結がついているし
各章のラストを含めいくつかのエピソード
例えば現代の日本には殿様がおらず
夢敗れるも新たな夢を見つけるジャックのエピソードなどは
製作者が書きたかった何かなのだろう
だがその主題の違いは
結果的にひずみを生んだ感を持っている
勧善懲悪に様々なエッセンスを詰め込んだ作品では
エッセンス部分は量が少なかったり、唐突だったり、欠点がある事はあっても
そこの部分自体がうそくさくなる事はない
出てくる恋物語は1話で破綻するつたない内容であっても真実の恋であったりする
でも電激ストライカーでは
話を盛り上げるはずのエッセンス部分が
いろいろな設定のために
描写不足のためにうそくさくなってしまっている
敗北の回はあるが
それまでヤマト(大)が戦ってたのは
コミカルに描かれ、人的被害を出さないさほど地球の脅威ではない強化人間であり
ウルトラマンならば毎回怪獣を大爆発させ倒す事で「ウルトラマンが勝った」「平和を守った」「怪獣は悪いやつだった」
と暗黙の了解があるが
ストライカーでは後に味方になる相手と戦うせいか
敗北の回までに爆発させて大勝利どころか
そもそもちゃんと勝ったことがない
むしろそれまでけっこう負けてるんじゃないかと思うような決着すらある
そこに敗北!?の回がきたところで手に汗握る展開にはならないだろう
最初に出てくる強化人間は
後に仲間になる存在であり
また全力で世界平和を脅かす存在ではなく
子供向けマンガ「電激ストライカー」の
ネーミングなどある意味間抜けな作戦を
マンガの通り実行するキャラクターという設定になっている
一方完全な悪役であるカーチスも
一般市民を襲う事も辞さない残酷な面は見せるものの
「こいつを倒せば平和が訪れる存在」
というよりも
「ヒーローになってこいつを倒せば春奈が救われる存在」
という意味合いが強い
そのため後半は春奈をいじめる事に時間を割き
倒せば春奈が救われるという存在になるための行動を強いられる
別にその設定自体を批判するわけではない
でも例えば
最初悪役だった強化人間が仲間のようになる過程は
ちゃんと描かれているのだろうか
気づけば何となく味方チックになってるだけで
心を通じ合わせる熱い友情物語があるわけでもなく
結果、強い信頼があるわけでもない
そこを省略しすぎたせいで
中途半端なバトルしか出来ない悪役な上に
デュランが何者かに襲われた場面であっさりストライカーを疑う
中途半端な仲間になっていないだろうか
カーチスも最終的に
春奈をいじめる事で憎たらしい悪役として成立はしているが
最後以外は中途半端な存在に感じる
最後にヤマト(幼)の夢を叶える、
「春奈を守る」という約束を成立させるための存在としての設定だけを重要視して
天の章ではヤマト(大)に倒される事も許されず
天の章を盛り上げ切らずに終わらせてはいないだろうか
恋物語もエロゲだしいくつかある
でもゲームとしてはるな×ヤマト(大)が
シナリオ上次の章でなかった事になってるのはしょうがないにしても
さやか×ヤマト(大)はあんなことやこんなことをしたにも関わらず
つながっているはずの空の章でよくわからない事になっている
ヤリ逃げなのか?とも思えない、何しろ詳細を描く事すら放棄しているのだから
設定のためわざと描かなかったのか単なる描写不足なのかは微妙だが
ヤマト(大)が平和を守る主人公として完全に成立していない上に
最後に電激ストライカーというヒーローの存在自体をヤマト(幼)に託すという特殊設定が
そこの描写をかろんじる原因になったと思える
デュランがヒルコに恋心をほのめかせ
全く相手にされない描写はたびたびあるが
そのデュランはとある場面で死ぬ間際
年齢が何となく妹に近いだけの少女を救うために犠牲になり
その少女にヒルコではなく妹への伝言を頼み倒れ
ヒルコの事などまるでふれない
じゃあヒルコへの愛はなんだったのよ状態
盛り上げるエッセンスのはずのバトルも恋物語もまた親子関係や他の事も
何かずれている
短い話だけど真実味があるわけでもなく
脱線気味だけどていねいに描写したわけでもなく
主題を起承転結させる事を何より優先させるために
エッセンスをすべて適当にしてしまったような感じさえする
ウルトラマンは第39話の最終回でゼットンという怪獣に敗北する
だがそれまでの38話で圧倒的に怪獣を倒し続けた事によって
その敗北は衝撃的な物となり
またゼットンの強さは真実味を持っている
その敗北には軽さやうそくささが無いのだ
でもウルトラマンの主題は「勧善懲悪」(もしくはそれに近いもの)であり
ヒーローの敗北自体がテーマや主題なわけではない
あくまで最終話に取り入れた
時間で言えば1/39に過ぎない、1つのエッセンスなのだろう
ならば主題が「勧善懲悪」ではない電激ストライカーにだって
真実味をもった衝撃的な
バトルや恋や他のエッセンスがもっともっとあってもいいんじゃないだろうか
どんな結末であろうがデュランとヒルコのエピソードはあった方がいいし
ヤマト(幼)と母のエピソードも欲しい
ラストで「息子はいなくなってさみしいけど、娘が出来たようでうれしいわ」
なんてのはやはりずれている
主題の補足として
「夢を叶え巣立った子と見送る両親」を表現したかったというならば
決定的に描写が足りていない
リン×ミラーやジャックのエピソードも同様に描写が足りない
主題を書ききれば他どうでもいいでしょとは決して思わない
主題が他でもかまわないが
エッセンスでも盛り上げてこその
昔子供だったアナタに贈る お話だったはず
そのための電激ストライカーというヒーロー素材ではなかったのか
一部声優さんの熱演や
素晴らしいアニメーションで
何かをごまかしているような作品に
なってはいないだろうか
様々な要素をしっかりとおさえた上であのラストにつなげたのなら
文句なしの名作になっていただろう
子供の頃にヒーローになりたい!という幼稚な夢を
肯定する事によって
子供の頃の夢も思い出も失った現実のヤマトも
無理に消滅させるわけでもなく
自分の意思で元の世界に帰し肯定する事によって
このお話は出来ているのなら
子供の頃の夢の具現化された
電激ストライカーのバトルや恋などはせめて
単なるエッセンスであってもいいからちゃんと描ききるべきではなかっただろうか