だれる、疲れる、そんな力作
選択肢で各ヒロインに分岐、ではなく
1-6章を順番に違う視点から見せて
各エンドにたどりつく、壮大な作り。
題材の難しさなどを考えれば納得の作りであり
だれる原因にもなりやすい諸刃の剣とも言える。
自分としては、何度もだれました、でも面白かったという
半ば矛盾するような感想が同じようにあって
点数もとても付けづらい作品でした。
だれた点としては、いろいろな引用、要素がたくさんあって
鏡の国のアリスだの銀河鉄道の夜だの哲学だの三位一体だの
でも何というか、引用すりゃいいってもんじゃないじゃ?
と思わざるを得ない半端な物が多かった気がします。
サティをもってきて、うんうんサティいいよね、不思議な人だし…
あれ?でも何も関係ないの?
鏡の国のアリスをもってきて、鏡って女の子が出てきて…
あれ?原作の鏡の国の解釈と鏡の正体は特に何もないのね
三位一体をテーマにしてあっても、宗教的な概念とかを昇華させるわけでもなく
ただ3つの人格が…、という展開。
もちろん引用しまくっただけで無視してオリジナルの解釈したんだよ、と
それでもいいんですが、じゃ何であそこまで人の文章を数え切れないくらい引っ張ってきてテキストに載せまくるんだろう?、と変なすかされ方をした気分でした。
実際違うとは思いますが、かっこいい文章コピってきて
ただ貼り付けてあるような、投げっぱなし具合に
もうちょいすっきり出来ないのかな?と感じて
それが読んでてだれた原因と思います。
もちろん話の前後的にぴったりな引用もあったので
テキスト全体がひどいというのとは全く違うのですが
良かった点はシナリオの良さでしょうか
徹底して電波なとこは電波に、残酷な場面は残酷に描いてあるので
苦手な方には勧めませんが、最後まで1つのテーマを描き切った力作だなあという感じです。三位一体(宗教的な概念ではなく、転じて言われる3つの要素が1つの物を作っているという意味で)という難しいテーマを人物にあてはめて
出だしの不思議な感覚から、最後どうなるんだろう?というとこまで全編力の入ったシナリオでした。
昨今特にシナリオ、絵は分業制が当たり前の中、この作品も分業制ではありますが、
徹底してるないろいろ、と感じました。
その分1つのカラーはうまく出たんじゃないかと思います。
次回作は終の空とか引用とか使わず、新しいカラーを見てみたいと思います