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kadさんの蒼海の皇女たちの長文感想

ユーザー
kad
ゲーム
蒼海の皇女たち
ブランド
アナスタシア
得点
75
参照数
1191

一言コメント

うん、なかなか楽しかった。

長文感想


戦争モノ、それもシリアスな傾向の作品というのはあまり見られないですし、
それも潜水艦です、個人的にはそれだけで凄く評価したいところ。

群青みたいにシビアすぎるストーリーではありませんが、
この作品も戦争、人の命を扱う題材ですので多少重めな雰囲気は否めません。
私は結構好きなので全く問題ありませんでしたが、重いストーリーを好まない方にはお勧め出来ないです。
乗組員が艦長以外全員女性ということもあってか、その辺はかなり緩和されているので普通に見れますけどね。

架空の世界であるため、見知った国や名称が無い為、情勢や国の敵対関係等の思い入れが多少弱まるのは少し残念なところ。
ゲーム開始で多少なりとも主人公とその属する国の情勢について語って欲しかったです。
主人公に対する思い入れが少し低かった印象が、というかちょっと主人公の空気レベルが最初は高かった。



シナリオ
言わずもがな、戦争モノです。
こういった作品ではやはり戦争といった日常とは程遠い世界観を感じるのがメインだと思いますが。
この作品も充分にその雰囲気を感じさせてくれています。
軍隊という特殊な場所での生活や人間関係を女性だけの艦というかなり異色の設定ではありますが
これも良い感じ。寧ろ男くさいのが抜けている分暑苦しさも無くとっつきやすい印象。
ライト過ぎるかもしれないですが、そこまで重過ぎる作風にしている訳でもないのでこれで良いのではないかと。

群青や戦争モノの他ジャンルの作品と比べて、命の重みとか個々の信念があまり表に出てこないですが、
これも作品の傾向としては致し方ないところ。
ある意味、一番面白いところなので惜しいなと思いはしましたが。

ボリューム的にはもう少しあっても良かったかもしれません。
決して短い訳ではありませんが、国家間のネタだけに展開としてはちょっと急な印象はあります。特に後半。
と、いうかもう少し見たかっただけという感想なんですけどね。

戦闘シーンは豊富ですが、日常シーンとしての訓練の描写が余りにも少ないのが不満点。
初っ端にひとつあったくらいで、あとは殆ど戦闘なのが極端すぎな感じです。



CG
凛々しい雰囲気漂うキャラが大半です。個人的にはかなり好き。
戦闘描写の一枚絵はそんなに多くないのが残念なところ。
枚数は平均的の100枚強、多分103枚。
差分含めて471枚は中々の数だと思います。フルコンプも厳しい訳ではないですがちょっと大変かも。
ただ、ヒロイン一人に対してのCG枚数にばらつきがあるのと、平均的に少なめなのが欠点だと思われます。
立ち絵も一枚絵もあり何気に登場シーンが多いキャラクターが実は攻略できないことも残念、
酷いキャラだとシーンすらないです。

一枚絵、立ち絵の質は共に崩れたところもそんなに見つからず、最後まで安定しています。
稀にですが汗やびっくりの演出も施されており全体的に見て丁寧に仕上がっている感じ。

…立ち絵があまりにも某喫茶店ゲームのチーフに似ているキャラがいて、なおかつ兵士の格好をしているのが
最後まで違和感ありまくりでした。一枚絵だとそんなに被った印象が無いので気にはなりませんでしたが。



CV・BGM
声優さんは鉄板を揃えてるとは言いませんが、それなりかと思います。
ただ、直ぐにこの人だと思うようなメジャーな人は2,3人くらいかも。
下手すると知っている人でも気づかないまま終わるかも、
他の作品と違って甘めなセリフは殆どないので分かりづらいかもしれません。
音楽は戦闘中や戦闘直前のシーン、緊迫したシーンの音楽ばかり耳に残っているような印象です。
他はあまり覚えていません。



システム
ゲームコンフィグは最低限揃ってはいる程度で特に特筆した点はありません。
SAVE&LOADはそれなり。コメント記入は出来ませんが、コピーや移動が可能なので保存の整理がしやすいのは好感。

ゲームシステムは賛否両論あるとは思いますが私は及第点だと思います。
明らかに大雑把で、2周目以降は簡単且つ作業プレイになりがちではありますが、
あまり詳細で難しくしても面倒だと批判が出るでしょうし、そもそもSLGではないので仕様が無いとは思います。

殆どの戦闘は攻略方法が既に一定であってやることが変わらないこと。
挟み撃ちにあっても前進して逃げるだけであまりイベントとしては意味が無いこと、
選択時のタイマーが極々一部にしか影響が無いこと、その他色々と改修する点はありますが、
一周する分にはあまり気にならないと思います。

欠点はスキップやオート機能がこのゲームには致命的に合わない事。
二周目以降、既読はほぼ間違いなくスキップすると思いますが、そのままスキップで戦闘シーンに突入すると
敵の行動が部下のセリフで分かる仕様上、それに併せての行動が分からなくなります。
しかも戦闘行動時は下メニューのスキップボタン含む全てが使用できず、Backlogすらできないので確実に勘。
その一回目の選択で任務が失敗なんてこともよくありますので、最悪だったりします。
メニューバーを固定の設定にして常に表示してもそのときだけは消えてしまうという劣悪仕様なので、
確実に一回目の選択は勘に頼るハメになります。
実際は上部にもメニューがありますのでそこで解除できますが、一回目は諦めましょう。
オート機能は単純に選択肢がタイム制限付きだった場合、間に合わないことです。
手を離して見るためのオート機能だと思うのですが、
3秒そこそこの制限だと気づいてからマウスに手を置くだけで既に間に合わなかったりとこれもかなり微妙。
どちらもある程度攻略を知っていないと巧く使えないのが痛い。




ヴィルが攻略できなかったのは残念。
潜水艦の至る所でしちゃってる主人公って何気に凄い奴かもしれん。