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kabaj31さんの缶詰少女ノ終末世界の長文感想

ユーザー
kabaj31
ゲーム
缶詰少女ノ終末世界
ブランド
シルキーズプラス
得点
100
参照数
513

一言コメント

2周目をプレイして、めっちゃよかったんで100点つけとく

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

世界の果てまでぶっ飛ばされたくて、もう一度プレイしたくなった。

2周クリアして分かったこと、
『人は終末が近づくと缶詰を食べる』

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【更紗】
「そっ、それは!
 その……。
 ……しゅっ、終末になると人は缶詰を食べます」

【小海】
「うん」

【更紗】
「『終わりの街の終わり』でも食べてました。
 『マッドマックス2』でも食べてました。『ザ・ロード』でも!
 『超プロレスファン列伝』でも『終末のフール』でも……」
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既にプレイ済みの方も、気が向いたらもう一度プレイしてみて欲しい。
断片的な記憶の先に、きっと感動が待っているはずです。



以下、ごちゃごちゃした感想。


1周クリア済みだとしても、シナリオのすべてを記憶してるわけではない。
2周目は「あなたも少しだけ時間に立っている」ことになる。
それぞれのキャラが何者だったか、それぞれのキャラが持つ役割は何だったか、
だんだん思い出してくる。
自分の場合はミサイル基地のところは覚えていた。
そのあとどうなるかも知っていた。
烏森さんのサインの意味を今度はちゃんと汲み取れた。
そのあとの展開は忘れた。
シーンの切り替わり、屋上だった、これは忘れていた。

とにかく、最後は世界の果てまでぶっ飛ばされることは覚えていた。
それに期待しながらゲームを最後まで進めた。

そして、2周目をクリアして、また3周目がやりたくなったという。
冒頭のシーンと終盤が良いんだなぁ。
「私の少年」っていうフレーズも好きだな。
なんだかんだでツバキが一番好きかも、男の娘はかんべんしてほしいが。

「JZ4の意味は・・・マッポウです」
マッポウ?
お? ん? ん?

みたいなやり取りのシーンがやたら可笑しかった気がする。

川原の水切りのシーンで、
主人公が投げた水切りが永遠に続いて、
「すごいすごい」「どこまで続くんだ」と、ぼんやり画面が白くなって、
だんだん意識が遠のいて、別のシーンに切り替わったような気がしたが、全然違ってた。
うーん、記憶違いだったか。

タイムスリップではなく時間を行き来する、時間だけでなく、歴史まで行き来する。
過去こそが複数存在していて、1つしかない現在を決定付けているというのがこのゲームの主張だった、と思う。
SF小説は筒井康隆しか読んでいないが「脱走と追跡のサンバ」という長編を少し思い出した。
読んでいて非常に面白かった記憶があるが、昔、1度読んだだけで内容はほぼ覚えていない。
調べてみると、この世界の「情報による呪縛、時間による束縛、空間による圧迫」からの解放、
こんなフレーズが出てくる。
缶詰少女のシーンがぶつ切りになる部分は、このフレーズっぽいなと思った。

あと、他の人のレビューにもあるが、これはセカイ系かな。
竜生九子とかはファンタジーだが。
でも、やっぱり大まかにはSFのような。

サバの缶詰に終末をイメージし、台風に世界の果てをイメージする。
そんな作品。

以上 2021年4月15日 追記
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2020年10月14日 1周目プレイ後
ひとこと感想
『はるまで』が好きで、『なつくも』『あきゆめ』が微妙だった自分には、本作は期待通りの良作でした。
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